シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

西武学園文理中学校

2018年03月掲載

西武学園文理中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.世の中の出来事に広くアンテナを張ろう

インタビュー2/3

理社合計の入試は解く順番や時間配分の戦略を練る

田原先生 2017年度入試から時間割が変わり、理科・社会科で合計60分になりました。社会科にかけられる時間は平均30分です。最後の自由記述問題に時間をかけられるように、基礎的な問題は受験生のペース配分を想定して作問しています。理社合計になってから、明らかに時間が足りないと思われるような解答はなかったように思います。

長嶋先生 60分をどう使うか、時間配分や問題を解く順序を自分で自由に組み立てられます。社会科と理科それぞれの得意分野でしっかり点数を取ってもらえればと思います。

田原先生 考える上で一定の知識量は必要です。入試問題でも知識が定着しているかどうかをきちんと見ます。

西武学園文理中学校 校内

西武学園文理中学校 校内

初見の資料でも持っている知識を使えば読み解ける

2018年度入試では世界地図を用いた問題を出していますね。世界地理は小学校ではあまり触れませんが、最近、六年生の教科書(下)にいろいろな国が取り上げられています。日本は諸外国とのつながりなしには成り立ちませんし、グローバル化という観点からも、中学入試で世界地理を用いる学校が増えています。

田原先生 今回、南米大陸を示した2種類の図法の世界地図を出しました。正距方位図法といった図法を知っているかどうかではなく、その場で考える力、知識を活用する力を試しました。

ふだんは日本が中心の地図を用いることが多いので、南極大陸が中心の地図は大陸の形が変わり見慣れなかったかもしれません。それでも2つの地図を見比べて対応させる力があれば解ける問題だと思います。

田原先生 持っている知識と対応させる力があれば初見でも解けると思います。正答率は高かったと思います。

見慣れない図だからこそ、受験生はしっかり調べたのではないかと思います。

西武学園文理中学校 BIG BEAR GYM 北斗館(重層体育館)

西武学園文理中学校 BIG BEAR GYM 北斗館(重層体育館)

興味のある・なしで取捨選択するのはもったいない

「働く」ことをテーマにした大問の中で、「プレミアムフライデー」と「ブラック企業」を答えさせる問題がありました。こちらの正答率はいかがでしたか。

加藤先生 私が採点した答案は、正答は半数といったところでしょうか。2017年に始まったプレミアムフライデーよりも、それ以前から話題になっていたブラック企業の方が書けていたと思います。

これらは教科書で習う用語ではありませんが、世の中の出来事に敏感な子どもは知っています。

田原先生 自分の興味・関心を深掘りすることも大事ですが、興味のある・なしで取捨選択せずに、アンテナを広く張っていろいろなことに食いついてもらいたいですね。頭が柔らかい小学生は、見て、聞いて、考えて知ろうとする姿勢を大切にしてほしいです。

社会科/加藤 潤先生

社会科/加藤 潤先生

初めての行動には他者からの働きかけも必要

田原先生 2017年の衆議院選挙のときに、選挙権を持つ高3にアンケートを取りました。本校の生徒(有権者)の投票率は約69%で、18歳の全国平均(50.74%)を大きく上回りました。投票に行った理由の約3割が「親に言われたから」でしたが、始めのうちは家庭で話題にするなど周りからの働きかけも必要ではないかと思います。
行かなかった理由は、「雨が降っていたから」「外部模試があったから」などが挙げられました。中には「世の中のことについて、もっときちんと考えられるようになってから投票したい」という意見も、少数ですがありました。

インタビュー2/3

西武学園文理中学校
西武学園文理中学校栄養士、臨床検査技師などの専門学校を系列にもつ西武学園が1981(昭和56)年に高等学校を開設。93(平成5)年には満を持して中学校を開設。短期間で東大などの難関大学に合格者を輩出するほどの進学校として成長してきた。2004(平成16)年には小学校も開校。緑あふれる武蔵野の台地、入間川のほとりの恵まれた自然環境のなかに、レンガタイル貼りの校舎が建つ。中学校校舎は「銀河館」、高等学校校舎は「大志館」「希望館」「躍動館」など、建物ごとに名称がついている。多目的ホール、総合学習センター、情報館(I・I・YOU館)、LL教室など施設は充実している。キャンパスのあちこちに彫刻作品が飾られている。「誠実・信頼・奉仕」を校訓とし、中高一貫教育をとおして、全員が目標とする大学に進学することができるような教育を行うとともに、“世界を見つめ、人を想い、未来を創る”ための、6年間のさまざまな出会いやプログラムを通じて、不確実な未来社会をたくましくしなやかに生き抜く人材を育成する。シンボルマークは熊(BEAR)で、これには英語の「耐える」という意味も込められている。
2021年度から、中学1年生のクラス編成が変更となった。将来、東京大学や京都大学、国公立大学医学部などの難関大学への現役進学を希望する生徒を対象としたグローバル選抜クラスと、高度な英語力と知的土台をベースに、グローバルシチズンシップを備えたグローバル人材の育成をめざし、多彩な進路を希望する生徒に合わせた、きめ細かい指導を行う、グローバルクラスの2つのクラスから編成されている。また、朝のSHR前の時間を利用した確認小テスト(S時限)、理科実験の2人1組での指導など、密度の濃い授業で生徒の向学心を引き出している。基礎学力の定着に英検・漢検などを活用している。
高校進学については、2021年度から内部進学者は高校進学時に高校入学生との混成クラス編成がスタート。新たな人間関係の中で切磋琢磨し合える環境を構築し、将来社会で求められる協働力の育成と新たな価値観の発見、創造を可能とするため、高校の全クラスにおいて、高校入学生との混成クラスを編成している。また、内部進学者は高等学校進学時には希望や成績等により「グローバル選抜クラス(普通科)」、「グローバルクラス(普通科)」、「先端サイエンスクラス(理数科)」のいずれかのクラスに進学。そして、混成クラス編成にともない、数学・英語の授業では習熟度別授業を展開。中高一貫生と高校入学生の入学時の学習進度が異なるため、生徒個々に合わせたきめ細かな学習指導を実施している。
令和3年度より中学校、高等学校共に新たなグローバル教育プログラムをスタート。その一つが「GLOBAL COMPETENCE PROGRAM」だ。タブレットパソコンを利用するこの授業は、全て英語で行われる。予習・授業・振り返りのサイクルの中で、コミュニケーション手段としての実用的な語学力、異文化を理解する幅広い知識・教養、多角的な視点に基づいた高度な思考力、相手の考えを受け入れ相互に伝え合う力やホスピタリティの精神、世界をリードするグローバルな行動力の6つのコンピテンスを身につける。
また、中学校3年生でイタリア研修旅行、高校2年生でも海外研修旅行(グローバル選抜クラスとグローバルクラスはオーストラリアまたはマレーシア・シンガポールの選択、先端サイエンスクラスはアメリカ)を実施し、2度の海外研修を通じて、日本とは異なる言語、歴史、習慣などの文化の違いを肌で感じ、地球規模で物事を考えることが出来るような視野を養っている。
その他、中2のグローバルクラスではセブ島語学研修を行い、高1でネイティブスピーカーと寝食を共にするイングリッシュ・サマーキャンプなどメニューが多彩。また、中2では古都鎌倉を散策するほか、奈良・京都研修旅行を実施する。一方中学校のクラブ活動は、他校には少ないクラブ活動も盛んで、文化系では奇術研究部が“南京玉すだれ”などの古典芸能に挑戦するのをはじめ、体育系のライフル射撃部も活発に行われている。また、全国大会出場のスキー部や硬式テニス部、県大会出場の女子バレーボールも目覚ましい活躍をしている。毎週土曜日には、探究授業の一環として行われる、生徒の自主性や創造性を育むアクティブ・ラーニングとして、CA「Creative Activity創造的活動」授業(50分)を開講。中学1年生から3年生が各CAに混在するため、学年の枠を超え、お互いに協力しながら自主的に活動し、課題解決のための資質や能力を育みます。20講座の中から1講座を選択し、必修授業として1年かけて探究活動に取り組んでいる。