シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

逗子開成中学校

2018年01月掲載

逗子開成中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.自分で選んでやりたいことができる環境

インタビュー3/3

新聞の読者投稿は「世論を動かす」のが目標

社会科の取り組みを教えていただけますか。

高田先生 中3は夏休みの課題として新聞の読者投稿欄にコメントを投稿します。今年度は学年の1割以上が掲載され、例年よりも多かったです。

片山先生 テーマは自由。投稿の目標は、世論に問題提起する、自分の意見を世間に表明することです。なかなか世論を動かすところまでは至りませんが、中には予想以上に反響があったものもありました。
クワガタが大好きな生徒が「クワガタが採れない」と投稿、掲載されると、他の読者から「ここで採れるよ」という返信がありました。最終的にはクワガタを送ってくれた読者もいました。

以前には横浜市在住の生徒が自転車通学について投稿し掲載されました。すると、横浜市の関係部署から通学路の安全性への返信があり、他の読者からも投稿が寄せられました。自分の投げかけに見ず知らずの大人が応えてくれたというのは、生徒にとってはうれしい経験です。

広報部長 片山 健介 先生

広報部長 片山 健介 先生

「地理/歴史/公民道場」が興味・関心のきっかけに

高田先生 社会科の基礎力テストとして「地理道場」「歴史道場」「公民道場」を行っています。歴史道場なら、徳川15代の将軍や、歴代の内閣総理大臣を太平洋戦争終戦まで書かせます。

小和田先生 地理道場では世界の国名とその位置を一致させます。そうすれば、ニュースを見たとき授業で習っていなくても頭に入りやすいでしょう。この「道場シリーズ」は授業の進度とは無関係に行っており、「使える知識」の習得を目指しています。全問正解するまで繰り返しテストを受けさせます。

興味・関心のきっかけになりそうですね。知識欲が旺盛な生徒さんは自らどんどん覚えようとするのではないでしょうか。

小和田先生 授業の内容と直接関係していないことでも、生徒はそのテーマについて知ることができたという達成感があるようです。ただ、「道場シリーズ」では動機付けが弱い生徒もいます。そこで、別の方法で生徒の興味・関心を刺激できないか、検討しているところです。

逗子開成中学校 新聞投書

逗子開成中学校 新聞投書

鎌倉のまちを実地調査する「中1フィールドワーク」

片山先生 中1の「社会科フィールドワーク」では、鎌倉の地理的な実地調査を行っています。班で担当した区画について、店舗や住宅などに地図上に色分けします。フィールドワーク後は作成したマップを提示して、古都・鎌倉のまちがどのような機能を果たしているか考察します。
店舗はお店の方に創業年を聞くなどして観光客向けか、地元住民向けかも調べて経年変化を見ていきます。今年度で4年目ですが、もう少しデータが蓄積すれば変化が見えてくるのではないかと思っています。多くの学校が校外学習として鎌倉を訪れていますが、本校のように実地調査をしている学校はあまりないのではないかと思います。

高徳院(鎌倉大仏)へ行くと、外国人観光客の多さに驚かされます。そうした空気感はインターネットの情報からは感じられないでしょう。一口に外国人といっても、欧米人よりもアジア系が、中国人だけでなく東南アジアの人が多いといったことも、現地に行ったからわかることです。自分で動いて調べるということがどういうことか実感できていると思います。

学校がある逗子のことをもっと知ってほしい

片山先生 今年度から「協働」をテーマにした中2の「TSキャンプ」を始めました。防災プログラムではスタッフの方と一緒に学校周辺の危険箇所をチェックしました。
本校は毎年、津波一時避難場所に指定されている披露山(標高約92.5m)へ避難する防災・避難訓練を行っていますが、このプログラムが生徒の防災意識を高めると同時に、逗子のことを知る機会になればと思います。

また、生徒が逗子のまちを取材したフリーペーパーの情報マガジン『ZK magazine』を創刊しました。本校の生徒はほとんどが横浜市など逗子市以外です。生徒たちが自分たちの学校があるもっと逗子のことを知る機会になればと思います。

逗子開成中学校 情報マガジン『ZK magazine』

逗子開成中学校 情報マガジン『ZK magazine』

外部の論文コンクールへの応募を推奨

片山先生 本校では社会科に限らず外部のコンテストへの応募を推奨しています。
中3は夏休みの課題として、「全国中学生人権作文コンテスト」、「税についての作文」、民俗学・歴史学に関する「櫻井徳太郎賞(板橋区)」の3つの中から1つを選択して作文・論文を応募します。高2の文系クラスは、「櫻井徳太郎賞」あるいは慶應義塾大学の「小泉信三賞全国高校生小論文コンテスト」、JICAの「国際協力エッセイコンテスト」にチャレンジします。さらに、本校では夏休みの課題として、中学生全員に各教科それぞれが課題を設けた「論文・創作・感想文コンクール」を行っています。

自主的に応募している生徒もいます。先日発表になった「小泉信三賞」に本校の高1が次席を取りました。中には、現場に足を運んで調べたり、詳しい人の話を直接聞いたりして中1のときから毎年原稿用紙100枚もの大作を書き上げる生徒もいます。これだけの熱量の高さは、自分の興味・関心のあることには努力を惜しまない男子ならではでしょう。

自分の関心事を他者に伝える生徒が増えてきた

小和田先生 本校は、海洋教育を推進する東京大学海洋アライアンスと提携しています。教授の方々には生徒の素朴な質問が「核心を突いている」とおもしろがられます。生徒を子ども扱いせずに対等に接してくれるのはありがたいですね。

本校は教科活動に加えて、「人間学」をテーマにした総合学習、土曜講座、フィールドワークのような校外学習や外部コンテストへの応募など、生徒にいろいろな経験ができるプログラムを多数用意していますが、これらが軌道に乗り始めています。それとともに、自分の関心事を発表する生徒が増えてきていると感じます。
また、興味・関心が進路とリンクする生徒も増えています。6年間の学校生活の中で将来の夢を見つけられるようになっているのは、うれしい収穫です。

逗子開成中学校 グラウンド

逗子開成中学校 グラウンド

インタビュー3/3

逗子開成中学校
逗子開成中学校1903(明治36)年創立の神奈川県下最古参の男子私立中学校。東京の開成中の分校「第二開成中」として設立されたが、ほどなく独立。中学募集は一時中断したが、86(昭和61)年再開。近年の目覚ましい学校改革の試みは、バランスのとれた学校像の確立を目指すものとして注目されている。2003年(平成15)年に創立100周年を迎えた。
建学の精神『開物成務』にのっとり、「真理を探究し、目標を定め、責務を果たす」ことのできる人材の育成が教育の目標。レベルの高い学問を修めさせると同時に、独自の海洋教育や映像教育、コンピュータ教育等を駆使し、国際社会で活躍すべく、単なる進学校にとどまらない21世紀の新しい教育の創造を目指している。
逗子海岸に臨む校地には、ヨット工作室や宿泊施設もある海洋教育センター、本格的映写機と音響システムを備えた徳間記念ホール、コンピュータ棟やセミナーハウス、研修センターなどの充実した各施設が並ぶ。自習室も完備している。教育環境を見事に整備し、高い塀を廃した開放的な発想から、世界にはばたく人材が育っていく。
逗子開成の授業には演習が多く取り入れられている。問題を解く力や表現する力を、すべての教科・科目で身につけ、バランスのとれた基礎学力を育成している。学年によって教科、レベルは異なるが、習熟度別授業を実施。補習だけでなく、通常授業の効果をさらに上げる「特習」もある。中3から選抜クラスが新設され、学年ごとに入れ替えがある。高2からは文系・理系にコース分けをする。土曜日には各種講座や行事を実施するが、教師、保護者、生徒の好奇心がぶつかり合う土曜講座は進学・世界・体験・達成・地域の5分野100講座以上とバラエティ豊か。
中1の時にヨットを製作するのは有名で、中3までの全員が逗子湾で帆走実習を行う。海洋教育と並び映像教育をも柱とする同校では、年5回映画鑑賞会が行われており、学校にいながらにして名作を鑑賞できる。中3では全員がニュージーランドに。高2の研究旅行はマレーシア・ベトナム・沖縄・オーストラリアのコース選択制で実施。中2~高2の希望者にはフィリピンセブ島の英語集中研修、1週間のエンパワーメントプログラムのアメリカ研修、3ヶ月間の短期交換留学、1年間のカナダ長期留学がある。また、中1・中2では、校内における異文化英語プログラムなどがあり、語学以外に様々な体験ができる。奉仕活動にも熱心。