出題校にインタビュー!
逗子開成中学校
2018年01月掲載
逗子開成中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
2.出題形式にとらわれない対策をしよう
インタビュー2/3
物事を大局的にとらえる力を身につけさせたい
小和田先生 この問題で片方の資料のみの解答が多かったことから、視点の異なる資料を「組み合わせる」ことが難しいと思いました。
知識を組み合わせて考える力は選択問題でも試していますが、こちらの正答率はやや低いように感じます。まず用語を暗記することから始める勉強スタイルも関係しているのでしょう。入学した生徒を見ると暗記に頼った勉強をしてきたせいか、「大きくとらえる」ことが苦手です。
2017年度1次試験でいえば、「室町時代の農業・農村・農民の説明」や「江戸時代の陸上交通の説明」の文章選択問題がそうでしょうか。
小和田先生 その通りです。高校生でも「その時代の、ある事柄についてひと言でまとめる」ことがなかなかできない。最近、大きくとらえる力の不足に危機感を持っています。
そこで、生徒に何を学んでほしいか、生徒にきちんと伝えています。授業の始めに「この授業で何を学ぶか」、終わりには「どんなことがわかったか」を意識しています。
授業の終わりに小さなメモ用紙を配り、今日の授業のポイントを書かせることもあります。授業で学習したことが身についているか、ほかの場面で応用できるかを確認するのに、ある事象を提示して「今日学んだことをふまえて、この問題をどうやって解決するか」を聞くこともあります。
社会科主任/小和田 亜土 先生
興味・関心が高いと知識がどんどんつながっていく
物事を大きくとらえる力としては、歴史の並べ替え問題もそうでしょうか。
小和田先生 日中戦争に至る出来事の並べ替え問題を出しました。近現代史に手をつけられているかやや心配でしたが、比較的正答率が高く安堵しました。
並べ替え問題は、出来事の因果関係をつかめれば、西暦を覚えていなくても歴史の流れをとらえられます。知識と知識がつながるということは、彼らにとっておもしろいはずです。中1の授業でその点を意識するとおもしろがってくれます。
片山先生 興味・関心が高い生徒は、知識をつなげるのが比較的得意なように思います。やらされている意識で丸暗記に頼ると、知識はなかなかつながっていきません。教員の投げかけによって生徒の反応がガラリと変わるので、好奇心を刺激できる、おもしろがってもらえる問いを心がけています。
子どもは日常から情報をキャッチするのが苦手
ユニークなのが、郷土料理とその地域の組み合わせとして誤っているものを選ぶ問題です。この問題のように、日常の中で知っているだろうことを知らない子どもが意外に多いのです。
小和田先生 誤りは「きりたんぽ鍋:宮城県」です(正しくは秋田県)。この問題の正答率はあまり高くなかったと思います。
いろいろな情報に触れる機会が多い大人は、この問題の正答率はかなり高いと思います。新聞を隅々まで読もうとは言いませんが、テレビでニュースを見聞きしてほしいですね。
高田先生 ニュースは何かをしながらの「ながら見」でもいいのです。「何となく聞いた」程度でも、そのとき理解できなくても、あとでその出来事に触れたときに「そういえば」と引っかかるものを残せればいいと思っています。
逗子開成中学校 掲示物
総合1題でも分野別3題でも求める力は同じ
小和田先生 1次試験は3分野にまたがるテーマの長文による大問1題です。40分という入試時間の中で、これだけの文章量(3000字程度)を読むには「慣れ」が必要です。
受験生には、長文にひるまずに「楽しんで読もう」とアドバイスしています。リード文中の[和食の歴史]は、背伸びをしなくても学校で学んだ知識を使えば理解できる内容だと思います。
小和田先生 一方、2次・3次試験はオーソドックスに分野ごとの大問3題構成です。ただ、受験生にはあまり形式にとらわれない学習をしてほしいと思っています。問う力はどれも同じです。その対策ができていれば、どんな形式でも対応できるでしょう。入試問題では基本的に「勤勉度」を測ります。
インタビュー2/3