シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

洗足学園中学校

2017年12月掲載

洗足学園中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.社会へ出る前に、自分の考えをまとめて発信する力を育みたい。

インタビュー2/3

原因を追求し、考えたことをまとめて、発信する力が大切

理科の入試問題づくりで共有していることがあれば教えてください。

田村先生 まずはきちんとした基礎力が必要だと思っています。その上で、文章を読む力など、いろいろな力を見ることができる問題づくりを心がけています。たとえば日頃からアンテナを張って、気になるニュースを入手し、不思議に思ったことを調べていくようなことは、学びにおける一つの糧になると思います。そういう力をもっているお子さんと一緒に学習したいという思いがあるので、入試問題にもその思いは反映されていると思います。

不思議を探求する力は、授業の中でも育んでいますか。

田村先生 実験をやると、生徒は教科書どおりの答えが出れば成功、出てこないと失敗、というとらえ方をしがちです。そうではなくて、失敗したときになぜそうなったのかを考えるように指導しています。実験の操作の何かを失敗してしまったのかもしれないし、気温など、条件が違ったのかもしれません。失敗しても、原因を考え、レポートなどにまとめて、論理的に説明する力も育てていかなければいけないと思っています。

田村 江舟先生、玉木 大輔先生

田村 江舟先生、玉木 大輔先生

実験レポートをまとめる力は理科以外でも役立つ

田村先生 今、世の中にいろいろな問題がありすぎるので、子どもたちにはきちんとした知識をもってもらう。その上で、自分の考えをどうまとめるのか。考えたことをどう発信していくのか。そういう力を身につけて卒業し、社会で活躍してくれればいいなと思っています。

生徒さんに成長は見られますか。

田村先生 中1、中2は、授業時間の約半分が実験です。そこで一生懸命レポートを書くので、その時期にその力はものすごく伸びていきます。ただ、残念なことに、高学年になると知識重視の授業をせざるを得ないため、突然、高2で実験をすると、「低学年の頃はしっかり書けていたはずなのに、どうしてしまったのかしら」と思う子もいます。そういうことがあるにはあるのですが、理科で身につけた探究心や考えをまとめて発信する力は、理科の中だけで発揮しなくてもいいと思っています。他の教科や、自分の興味のあるもの(こと)などでも生かせるので、低学年の間にそういう力をつけることはとても大切なことだと思います。

洗足学園中学校 理科教室

洗足学園中学校 理科教室

レポートの添削で長所を伸ばす

田村先生 たとえば、学校の授業で学んだあることを極めたいと思った生徒が、東京理科大学で行っている、高校の先にある科学の世界を体感するプログラムに参加しています。中には基礎コースから発展コースに進み、大学の研究室で遺伝子工学などを学んで、成果発表の際、考察が素晴らしいということで海外に派遣していただいた生徒もいます。模擬国連に参加する生徒もそうですが、自分の興味があるところでどんどん伸びていってくれればいいと思います。

考察する力、レポートにまとめる力を育むために、先生方が力を入れていることを教えてください。

田村先生 添削をしています。一人ひとり見るには時間はかかりますが、いい視点だなと思ったら「いい視点だね」と、きちんと本人に伝えています。また、「こういうふうに書いた人がいるよ」とクラスに紹介したり、「プラスアルファの疑問が生じた人は自分でもっと調べてごらん」という声かけをしたり。そういう生徒の意識が高まるような工夫もしています。

生徒は学校生活の中で自分の長所を見つけて自信をつけていく

生徒さん同士で刺激を受け合うように仕掛けることは意識的にしているのでしょうか。

田村先生 そうですね。いろいろな教科でやっていると思います。私が中1を担当したのは6年前なので、少し情報が古いかもしれませんが、たとえば問題を解くというところから本人たちに任せて、グループの中で解けた子が友だちに教えるということをしていました。教えるという行為は、自分が本当にわかっていなければできません。教わった子の中には「あの子にじょうずに教えてもらったから、自分も頑張るぞ」とやる気を出す子もいますので、一石二鳥なのです。
生徒を見ていると、そういうさまざまな経験から、自分で自分の活躍できる場を見つける子もいますし、まわりから押し付けられたとしても、その役割を頑張っていく中で、「自分にはリーダーシップを執る力がある」「人の話をきちんと聞いてまとめる力がある」など、長所に気づいていく子もいます。一人ひとりプロセスは違っても、学校生活の中でなんらかの手がかりを得て、自信をつけながら成長していってくれているように思います。

洗足学園中学校 コンピュータコーナー

洗足学園中学校 コンピュータコーナー

教科を横断した取り組みを増やしていきたい

理科の実験以外に工夫をされていることはありますか。

田村先生 他教科とのコラボをめざしています。いろいろな教員がかかわることから、あまり例がないのですが、たとえば地学で地震の勉強をする時に、数学科に協力してもらい、我々理科の教員が地震波について解説する。続いて数学科の教員が図形の相似を使って震源の計算をする、という授業を、パソコンを使って行いました。
また、私自身のことでいえば、生物の授業の中で「ワトソン」と「クリック」の論文を紹介し、「英語の勉強にもなるから読んでみたら」という働きかけをしています。教科を横断した取り組みがもっともっと増えていくといいと思っています。

インタビュー2/3

洗足学園中学校
洗足学園中学校前田若尾により1924(大正13)年、平塚裁縫女学校設立。30(昭和5)年、洗足高等女学校として設立。46(昭和21)年に戦災のため現在地に移転。47年に中学校、翌年に高等学校を設立し、76年、洗足学園大学附属中・高となる。2000(平成12)年、中高の総合校舎が完成。幼稚園から大学までの総合学園だが、02年に現校名に変更。
新約聖書にあるキリストの言葉が校名の由来。ここから「謙虚」で慈愛の心を育むことを建学の理念とする。国際社会の到来を早くから予測し、他国の文化や社会を理解できる素養を英語教育に求め、10人のESL(外国人に英語を教える資格を持つ)教員がいるほか、海外帰国生教育を積極的に実施。
クイーンエリザベスⅡ世号と親しみをこめて呼ばれる校舎は、機能性豊かな生活空間キャンパス。バリアフリーの校内、大小の講堂と体育館、学習意欲をかき立てる図書館など、申し分ない快適さと充実度。広めの普通教室は特注の木製机を使用している。カフェテリアではパンや軽食の販売もある。大学の温水プールを授業で使用。
シラバスを導入し、授業の進行状況を明確化している。特に英語は目標が高く、テキストは『ニュートレジャー』を使用。ESL外国人教師によるレッスンは、語学力はもちろん、豊かな国際感覚を養う。国語は中1から百人一首を教材に古典の総合学習を行い、中2で漢文も取り入れる。数学は反復練習を必要とする部分は徹底してこだわり、基礎固めを確実にする。英語は少人数制の授業を実施。放課後は、進学講習、TOEFL(留学用)やスピーチコミュニケーション・ドラマコースなどESLの多彩な講座など自由選択コースを設置。
帰国生ともHRは一緒。それぞれの良いところを認め合い、刺激しあえるよい関係が築かれている。海外研修・留学は複数あり、長期サンフランシスコで1年間の寮生活、短期はロサンゼルスに4~7カ月間ホームステイ。中2以上の希望者には、アメリカまたはイギリス、セブ、マルタ、ニュージーランドへの語学研修もある。クラブ活動は運動部15、文化部13のクラブがあり、中1・中2は90%以上が参加。中学のクラス対抗合唱コンクールでは、クラスが団結し盛り上がる。修学旅行は中学が九州方面、高校が関西方面。在校生の父親によるキャリア・プログラム、牧師による中学講話、大学の施設で好きな音楽を鑑賞する音楽鑑賞会などもある。全員が生涯親しめる楽器をもてるようにと、楽器演奏指導もスタートした。