シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!

立教新座中学校

2017年11月掲載

立教新座中学校【理科】

2017年 立教新座中学校入試問題より

オジギソウは図のように、細長い小さい葉が葉へいの先端(せんたん)からたくさんついています。この葉は、昼間は開いているが夜になると閉じ、翌朝また開くことから、オジギソウはネムリグサともよばれます。
また、昼間でも葉に触(ふ)れるなどの刺激(しげき)を与(あた)えると葉が閉じて、さらに葉へいが「おじぎ」をするように動くことがあります。
しかし、昼間にオジギソウに箱をかぶせて光が当たらないように暗くしても、葉は夜になるまで閉じません。

(問)葉へいが動くしくみについての後の文章を読み、①~④には右の模式図の(ア)、(イ)のどちらかを、⑤、⑥には以下の語群の(ウ)、(エ)から適切な語句を選び、それぞれ記号で答えなさい。

葉へいの動きには葉へいの付け根の部分が関係しており、その部分は水を含んで膨(ふく)らんでいる。特に刺激がないとき は付け根の上部と下部で水の量は一定に保たれているが、ひとたび刺激が伝わると図中の( ① )の部分から( ② )の部分に水が移動する。水が移動すると図中の( ③ )の部分が膨らみ、( ④ )の部分はしぼむので、それに応じて葉へいは( ⑤ )に動く。
仮にオジギソウを逆さまにしても、水が移動する方向は( ① )の部分から( ② )の部分へと変わらないので、葉へいは( ⑥ )に動く。

問題

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この立教新座中学校の理科の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)

解答と解説

日能研による解答と解説

解答
  •  ① (イ)
  •  ② (ア)
  •  ③ (ア)
  •  ④ (イ)
  •  ⑤ (ウ)
  •  ⑥ (エ)
解説

オジギソウは葉に触れるなどの刺激を与えると、葉が閉じて、葉へいが「おじぎ」をするように動くことが、問題文から読み取れます。

また、この動きは、付け根の部分の水が移動して、一方が膨らみ、もう一方がしぼむことによって起こることが、問題文から読み取れます。付け根の下部(図の(イ)の部分)から上部(図の(ア)の部分)へ水が移動すると、水が集まった上部が膨らみ下部がしぼむので、葉へいが地面に近づく向きに動くと推測できます。

もし、オジギソウを逆さまにしたとしても、水が移動する方向は変わらないことから、オジギソウを逆さまにして刺激を与えると、図の(イ)の部分から(ア)の部分へ水が移動して、(ア)の部分が膨らみ(イ)の部分がしぼむため、葉へいは地面から離れる向きに動くと推測できます。

日能研がこの問題を選んだ理由

オジギソウの葉へいが動くしくみを、図と文章から読み取った情報をもとに、筋道立てて推測する問題です。

葉が閉じたり、葉へいがおじぎをするように動くオジギソウは、多くの子どもたちが興味を持つ植物です。実際に葉に触れたことのある子どももいることでしょう。この問題では、オジギソウが「おじぎ」をするしくみを、オジギソウの体内で起こる水の移動と、それに伴う膨張と収縮に目を向けることによって明らかにしていきます。

この問題は、子どもたちが日常生活の中で何か不思議に思うことに出あったとき、既にわかっている情報を使って、仮説をたてたり推測したりすることができるということに気づくきっかけになることでしょう。

このような理由から、日能研では、この問題を□○シリーズに選ぶことにいたしました。