シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

学習院女子中等科

2017年09月掲載

学習院女子中等科の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.一生学び続けられるきっかけを与えたい

インタビュー3/3

近現代史を学ぶ動機づけになる「校内史跡めぐり」

先生 本校の社会科は、中1・中2で地理と歴史を並行して学習して、中3で公民を学びます。
入学すると早速、「校内史跡めぐり」として学校の歴史を学びます。本校は明治、大正、昭和、そして平成の現在まで、名称や校地を変えながら続いてきた長い歴史があります。戸山キャンパスの赤い正門は、学習院が開設した神田錦町時代(1877~1887年)の正門を移設したもので、日本最古の洋風鉄門として重要文化財に指定されています。

また、本校がある新宿区戸山はかつて陸軍の各施設が置かれていました。敷地内には近衛騎兵連隊の兵舎(現学習院女子大学4号館および学習院女子中・高等科B館)の戦争遺跡のように、歴史的・文化的価値の高い建物も現存しています。
近代化は学習院の歴史とも重なります。「校内史跡めぐり」は近現代史の学習の動機づけになっています。

正門

正門

「世界の国調べ」は調べる国の特徴にフォーカスする

先生 中1の地理は世界地理からスタートします。昨年は、自分の住んでいる街または自分の興味ある街を実際に歩き、ルートマップつきのレポートを作成しました。そのレポートは文化祭で展示しました。
地理分野として昔から取り組んでいるのが「世界の国しらべ」です。興味のある国を調べてB4~A3サイズの紙にまとめて発表します。一目でその国がわかるように国旗をあしらってデザインに凝ったり、紙でも立体的なシカケをして見せ方を工夫しています。
その国を網羅的に調べるというより、食習慣など特徴的な事柄にフォーカスして楽しいものができあがっています。帰国子女の生徒は、自分が住んでいたところを取り上げています。

経済の動きを“観察”する「株価レポート」

先生 中3の夏休みの課題に「株価レポート」があります。
まず1学期に、株価が上がると予想する会社を選び、その会社の情報をウェブサイトなどで調べます。自分が選んだ会社と比較する会社も選びます。同業でも、異業種でも構いません。ゲーム会社などその会社の商品に親しみがある会社を選んだりしています。憧れがあるのか、航空会社は人気があります。親御さんへの相談もOKなので、親御さんが勤めている会社も多いです。

夏休み中の3週間程度、2つの会社の株価を毎日チェックし、日経平均株価と円相場も同時に記録します。経済の動きを“観察”するようなものでしょうか。
株価の上がり下がりをグラフにまとめて、このときなぜ上がった(下がった)のかを考察し、最終的にワークシートにまとめ、グループ発表も行います。

アナリスト的な分析を求めているわけではなく、中学生なりに世の中の経済の動きをとらえるのがねらいです。予想が当たったかどうかではなく、その会社の株価が上がった(下がった)根拠を自分なりに見つけられればいいと思っています。社会の一員になる感覚で、将来にもつながる取り組みだと思います。

生徒ホール

生徒ホール

文系・理系問わず「倫理」と「政治・経済」が必修

先生 高等科では文系・理系を問わず、全員が「世界史」、「倫理」と「政治・経済」を必修としています。
科学技術の進歩が目覚ましい時代では倫理の問題に直面します。例えば医療分野では、延命治療や出生前診断など生命倫理は避けて通れません。将来どんな職業に就こうとも、政治・経済に関係ないことはあり得ません。本校は公民分野をしっかり学べる環境にあると思います。

主体的な判断力を身につけて卒業してもらいたい

中高6年間で、社会科のどんな力を身につけさせたいですか。

先生 社会に出てから、困ることのないように、この時期から問題意識を育てたいですね。周囲に流される、他人任せにするなど、大人も主体的な判断力、社会的リテラシーが低くなっているように感じます。投票に行かないのは自分で判断できないからではないでしょうか。
例えば、政策の違いがわからないということがないように、判断材料を自分で見つける力を身につけさせたい。中3のディベートや、高2(文系)の現代史のプレゼンテーションといった活動の中で、判断力を育んでもらえたらと思っています。
また、社会科に限りませんが、損得にかかわらず一生の財産になるような教養、あるいは教養の入口になるものを身につけさせたいと思っています。授業の中でいろいろな問題提起をしていますが、「これは何とかして解決しなければならない」と、1人でも気づいてくれたらと思います。

現代史中国

現代史中国

インタビュー3/3

学習院女子中等科
学習院女子中等科1847(弘化4)年、京都で開講された公家の学習所がその起源。1885(明治18)年に華族女学校開校、創立130年を越える。1906年学習院と合併し、学習院女学部となる。1918(大正7)年に学習院から女学部が分離して女子学習院となる。1947(昭和22)年、宮内省の所管を離れ、私学として現校名に。1999(平成11)年から高校募集停止。
重要文化財でもある鉄製の正門を入ると、四季折々の自然が望める6万6千m2の広大な敷地に女子中・高等科と女子大学の校舎がある。理科・芸術科・家庭科は科目ごとの専用教室があり、コンピュータ室や、2つの体育館、温水プール、テニスコートなど施設も充実。沼津游泳場など校外施設もある。官立から普通の私立として再発足してから70年を越える歴史をもつ。「広い視野、たくましい創造力、豊かな感受性」を教育目標とし、世界的視野に立って、広く国際社会に貢献できる積極的な女性の育成をめざす。同窓会には皇族妃殿下が名を連ねるが、校内は気取らず明るく活発な雰囲気。
実験や実習を多く取り入れた授業を展開。特に創造性に富む表現力、情報を的確に伝える論理的構成力を育てるため、国語の作文、理科や社会のレポート作成などに力を入れる。中1の国語(古文・表現)、中1の数学(数量)・中2の数学(図形)・高1の数学Ⅰ、中1の技術家庭では1クラスを2分割。中1・中2の保健体育(水泳)、中2の技術家庭、中3の社会(公民)では1クラスに2人の教員が入るT.T.の形をとっている。また、英語はすべての学年で少人数制の授業。帰国生を除き、中1・2では均等分割をして基礎力を強化し、中3からは習熟度別授業を行う。高等科ではドイツ語・フランス語も履修できる。高2で文系・理系のコース制を導入。高3では卒業レポートを作成。60%程度が学習院大学・学習院女子大学へ推薦入学するが、最近は国公立大や早慶上智大への合格者も伸びている。海外の大学への進学者も増えている。
校長を科長、ホームルーム担任を主管と呼び、あいさつは、常に「ごきげんよう」である。「ことば」の尊重とともに芸術教育も盛ん。道徳の時間には、正式な作法教育も取り入れている。林間・臨海学校、運動会、文化祭、学芸会、スキー教室など行事も多い。クラブは文化部20、運動部11、同好会3と活発。特にテニス、ブロックフレーテ・アンサンブルは好成績を収める。運動部1と文化部1、または文化部2の合計2つまで入部可。オーストラリアの姉妹校メソディスト・レディーズ・カレッジで英語を学ぶ研修旅行や中3・高2希望者対象のイギリス・イートン校でのサマースクールがある。