シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

鎌倉学園中学校

2017年09月掲載

鎌倉学園中学校の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.トレーニングするだけでは、中高の数学で行き詰まる。

インタビュー2/3

複雑な問題にも太刀打ちできる力が必要

中高生の空間把握についてですが、なにがわからないのでしょうか。

椎野先生 何角形になるか、とか。高校になると複雑になります。東大の問題では、円柱に円柱を刺すという。ああいうものも、イメージすることはなかなか難しいので、私は模型を作って考えました。おもしろい問題だなぁと思いました。中学生には、時間がある時に(模型を)作るということもさせたいと思っています。

立方体に課題があるのでしょうか。

椎野先生 そうですね。ベクトルなどをやっていると「わかってるのかな」と思うことがありますね。

鎌倉学園中学校/最寄り駅

鎌倉学園中学校/最寄り駅

国語が好きじゃない子が多い

中1の間で入試の話は出てきますか。

椎野先生 算数選抜の話は出てきます。出題した素数の問題を解くことはありますが、一般入試の問題はないですね。空間についてはまた、別の機会にやりたいと思います。

入学した生徒さんの傾向を教えてください。

椎野先生 中1には、国語が好きじゃない子が多いです。学力テストでも説明文読解、小説読解の点数が低いのです。だから国語をすごく勉強させています。これからの大学入試では説明文読解が必要になるでしょうから、力をつけなければいけないと思っています。
数学では、標準的な問題をそつなくこなせる子が多いです。1番の計算でミスをしない。最後まで解けなくても、(1)(2)をしっかり取るような子どもたちですね。ただ、文章題は学力調査をすると低いので、そこまで手が届いていないのかもしれません。

問題文を読み取る力をつけてほしい

文章題の点数が悪いということですか。

椎野先生 すごく悪いわけではありませんが、計算や基本的な問題と比べると低いです。できれば文章を読まないで解きたいという気持ちがあるように思います。文章を読むことができないと、数学だけでなく、英語の長文読解でもひっかかります。中2、中3は、長文読解で悩んでいます。

これは近年の傾向ですか。

椎野先生 いや、前からですね。国語でもう少し読み取る力をつけないと、ほかの科目にも影響を及ぼすということを感じ始めたのは…。算数の入試問題でも、誰しも時間をかけてトレーニングすればできる問題と、初めましての発想で向き合う問題とでは差が出ます。だから、後者のような問題を作りたいと思っています。

最後の問題まで手をつけない子も多いですか。

椎野先生 (今回の問題/最後の問題は)捨て問になっている可能性はありますね。まったく取り組まないわけではないでしょうけれど、文章を読まずに、自分の経験から勝手に文章を想像してやるような気がします。ただ、図があることで、「待てよ」と思わせることができるのではないかと思います。限られた時間の中で解くことを考えると、そういう工夫も必要だと思っています。先入観をやぶるという意図もあります。

鎌倉学園中学校/周辺景観

鎌倉学園中学校/周辺景観

初見の問題でも恐れず、じっくり取り組もう

椎野先生 解く力を見るには「初めまして」の問題が必要です。算数選抜ではそういう問題を出しています。文章をよく読んで、条件を頭に入れて、自分で手を動かしたり実験したりしながら、どういう仕組みになっているのかを考えます。ひらめきでパパッと解くということではなくて、ある程度書いて解く。そういう問題を解けてこそ力があるということが言えると思いますし、大学でも、早慶に行く子はそういう力を持っていると思います。そこが全く違うところです。

本当はじっくり解かせたい問題ですよね。

椎野先生 そうですね。たとえば「(1)は10じゃないよ」と言ってあげて、考える時間をとって、そこから(2)(3)に発展させていくと世界観が出てくるのではないかと思います。
授業を聞いていないので知識はそんなにないのですが、トレーニングを中心に勉強している子よりもできる子がいます。そういう子は、高校の問題でも中学の知識や技術で解いてしまいます。数学なので、自分で公式を作れるからです。自分で解き進めることができるというのは、数学者と同じ感覚なんですよね。そこはほめています。「授業を聞いていればもっと早く次のステップに行けるんだぞ」ということは言いますが、もっている知識を使って解いていくということをどこかでやっていかないと、ある程度しか伸びないと思います。

目に見える状態で考えることが大切

先を見据えて、小学生はどのように算数を学べばいいのでしょうか。

椎野先生 見える状態で考えることが大切なので、パズルをするとか、手を使う、動かすということを意識してほしいですね。経験をすることにより頭脳にインプットされていくので、そういう経験をたくさんしてきてほしいです。

中高の授業でもそういう工夫をされているのですか。

椎野先生 そうですね。通常の授業は進度が絡んできますので、『鎌学セミナー』(国語・数学・英語の特別授業のこと。1回完結の内容で、多角的な視点から学力の向上を図ることを目的としている)で、中1では整数などを毎週扱うのですが、公式を与えるわけではありません。例えば、どうやって素数を探すかから始まり、素因数分解はどう使われているのか、何かに活かせないか、など、生徒が新鮮な感覚で取り組める切り口をなるべく用意して、考えさせるようにしています。「この問題、知らない」じゃなく、自分の知っている知識や経験を使ってアプローチしていく、ということを、もっとできるようになってほしいと思っています。中1では、確率や場合の数などもやりますが、そういうものも自分で実験することが大切です。すぐにNPやNCを使いたがる子がたくさんいるので、そういう問題はほとんど出しません。

鎌倉学園中学校/建長寺

鎌倉学園中学校/建長寺

インタビュー2/3

鎌倉学園中学校
鎌倉学園中学校鎌倉五山の第一刹建長寺が、宗派の師弟教育のため設立した「宗学林」を前身とし、昭和22年(1947年)学制の改革により法人名を鎌倉学園とし、鎌倉中学校と鎌倉高等学校が併設されました。「質実剛健」の武士の魂と、「自主自律」の禅の精神を現代に受け継いで、知・徳・体のバランスのとれた教育を目指しています。校訓は『礼義廉恥』で、教育のモットーである『文武両道』は、今までも、そして未来へと鎌倉学園が追い求めていく姿です。
礼義廉恥を校訓としての人材が育成されています。「礼義廉恥」とは、中国の古典「菅子」という書物の中に出てくる言葉からとられたもので、「礼」とは「節度を守ること」。「義」とは「自分を実際以上に見せびらかさないこと」。「廉」とは「自分の過ちを隠さないこと」。「恥」とは「他人の悪事に引きずられないこと」。教育目標は、父の厳と母の慈を根本として、知徳体一体の教育を行うことです。殊に現代社会の進歩に適応できるように進路指導を特に重視し、適性・能力に応じて指導をすると共に、生徒会活動・クラブ活動・ホームルーム等を通じて、社会の一員として理想的な生活態度を養い、情操豊かな人間の育成に努めてきました。校風は、豊かな宗教的環境の中で、学校全体が家庭的友愛精神に結ばれ、誠実の気風に満ち、生徒達は明朗な生活を楽しんでいます。
生徒の学力と適性に応じた指導や基礎学力の充実に重点をおいた指導が心がけられており、英語、国語、数学、理科、社会等基本科目はもとより、国際化に向けた「話せる英語」の修得をめざし、外国人教師による英会話プログラムを実施、年一回の英語検定も行っています。土曜日には「鎌学セミナー」3時間と通常授業1時間の授業が行われます。「鎌学セミナー」とは、国語・数学・英語の特別授業のことで、通常授業とは一線を画した1回完結の内容となっており、多角的な視点から学力の向上を図ります。
広大な建長寺の境内に隣接して建つ鎌倉学園。静寂な環境の中、集中して自己研鑽に励むことができます。古都鎌倉との調和を図りながら整えられた教育環境に包まれ、日々の生活の中で四季の移り変わりが感じられます。