シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

鎌倉学園中学校

2017年09月掲載

鎌倉学園中学校の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

1.問題文をしっかり読んで答えるという習慣をつけよう。

インタビュー1/3

空間を把握する力と文章を読み取る力を問いたかった

出題意図からお話いただけますか。

椎野先生 日頃、中高生に教えていて、「空間把握が著しく悪い」と感じています。そこで立体の問題を出したいと思いましたが、体積の問題、水の問題など、一般的な問題ではおもしろくありません。練習している受験生は、深く考えることなくできてしまいます。なるべく受験生にとって初見の問題を出したいと思い、試行錯誤している時に浮かんだのがブロックでした。
このように、ブロックを積んだ状態を目の当たりにした時に、(受験生は)どういう発想をするのだろうか。隙間なく積むのが当たり前というイメージであろうという予測のもとに、問題の文章と例を見て状況を正しく判断し、正しい答えを導き出す力を問いたいと思い、このような問題を出しました。空間を把握する力と文章を読み取る力、両方を見たいということですね。

鎌倉学園中学校/数学科 椎野 成信先生

鎌倉学園中学校/数学科 椎野 成信先生

誤答では10という答えが圧倒的に多かった

正答率が気になりました。

椎野先生 (1)が44%でした。誤答では10という答えが圧倒的に多かったです。(2)になるとさらに落ちて15%。(3)は8%でした。

この数字は予想通りでしたか。

椎野先生 (1)ができないと全滅します。そこで6割いけばいいけれど、五分五分かなと思っていました。他の問題とのバランスもあるので、この問題は少し難しくてもいいと思って出題しました。

真ん中が空いているという誘導があるにもかかわらず、読み取れていない、ということですよね。

椎野先生 私がこの問題を提案した時に、例は設けていませんでした。でも皆さん引っかかるので例を作りました。

どこに何個ある可能性があるのかを、Bを使って考えていけると一番早いですよね。1番なら、真ん中に0と書いて始める。それができる子の発想だと思います。

鎌倉学園中学校/図書室

鎌倉学園中学校/図書室

受験生の発想力に期待

問題を作る時は、どのようなプロセスを踏むのでしょうか。

椎野先生 まず、図形の問題をイメージしますよね。ありがちな問題から、なにか工夫できないかな、と考えます。

ひらめきではない?

椎野先生 相当悩みます。日常的に考えている場合もありますけどね。

どのあたりまでいくと、おもしろい問題になりそうだな、という手応えを得られるのですか。

椎野先生 まず、特別な知識がいらない、ということですよね。(受験生が)どれだけいろいろなものを見方を変えて見ているかを知りたいので、おもしろそうだなと思って取り組んでもらえる問題ができた時はうれしいです。
問題づくりは簡単ではありません。発想はあっても問題にならずに没になるものもたくさんありますが、鎌学に入りたいと思って勉強してくれている子どもたちが点数を取れるような問題と、発想力のある子にも興味をもってもらえるような問題をバランスよくつくることができればいいと思い、取り組んでいます。

鎌倉学園中学校/星月ホール

鎌倉学園中学校/星月ホール

受験の常識にない問題を作りたかった

この問題はどのようにして作られたのでしょうか。

椎野先生 ブロックを積むというのは、以前からやってみたいと思っていました。できるだけ受験の常識にないものを作りたいという意図と、試行錯誤により生まれました。

やはり手を動かして作るのですか。

椎野先生 そうですね。やってみないと不安なところもあるので……。

3問作ったのはなぜですか。

椎野先生 1個増えるだけで様子が変わるのでおもしろいかなと思いました。

(3)の正答率は、思ったよりも高かったのではありませんか。

椎野先生 そうですね。

問題のクオリティとしては、(2)が一番高いと思います。

椎野先生 はい。(2)だけでもよかったと思います。

最小を答えるということについては、先生方の間で何か思いがあったのでしょうか。

椎野先生 この切り口が「えっ?」と思うところもポイントでした。少ないとはどういうことかと。

鎌倉学園中学校/数学科研究室

鎌倉学園中学校/数学科研究室

インタビュー1/3

鎌倉学園中学校
鎌倉学園中学校鎌倉五山の第一刹建長寺が、宗派の師弟教育のため設立した「宗学林」を前身とし、昭和22年(1947年)学制の改革により法人名を鎌倉学園とし、鎌倉中学校と鎌倉高等学校が併設されました。、「質実剛健」の武士の魂と、「自主自律」の禅の精神を現代に受け継いで、知・徳・体のバランスのとれた教育を目指しています。校訓は『礼義廉恥』で、教育のモットーである『文武両道』は、今までも、そして未来へと鎌倉学園が追い求めていく姿です。
礼義廉恥を校訓としての人材が育成されています。「礼義廉恥」とは、中国の古典「菅子」という書物の中に出てくる言葉からとられたもので、「礼」とは「節度を守ること」。「義」とは「自分を実際以上に見せびらかさないこと」。「廉」とは「自分の過ちを隠さないこと」。「恥」とは「他人の悪事に引きずられないこと」。教育目標は、父の厳と母の慈を根本として、知徳体一体の教育を行うことです。殊に現代社会の進歩に適応できるように進路指導を特に重視し、適性・能力に応じて指導をすると共に、生徒会活動・クラブ活動・ホームルーム等を通じて、社会の一員として理想的な生活態度を養い、情操豊かな人間の育成に努めてきました。校風は、豊かな宗教的環境の中で、学校全体が家庭的友愛精神に結ばれ、誠実の気風に満ち、生徒達は明朗な生活を楽しんでいます。
生徒の学力と適性に応じた指導や基礎学力の充実に重点をおいた指導が心がけられており、英語、国語、数学、理科、社会等基本科目はもとより、国際化に向けた「話せる英語」の修得をめざし、外国人教師による英会話プログラムを実施、年一回の英語検定も行っています。土曜日には「鎌学セミナー」3時間と通常授業1時間の授業が行われます。「鎌学セミナー」とは、国語・数学・英語の特別授業のことで、通常授業とは一線を画した1回完結の内容となっており、多角的な視点から学力の向上を図ります。
広大な建長寺の境内に隣接して建つ鎌倉学園。静寂な環境の中、集中して自己研鑽に励むことができます。古都鎌倉との調和を図りながら整えられた教育環境に包まれ、日々の生活の中で四季の移り変わりが感じられます。