シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

渋谷教育学園渋谷中学校

2017年08月掲載

渋谷教育学園渋谷中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.主体的に動く「自調自考」の力を伸ばす

インタビュー3/3

中学の化学・物理の授業は実験が中心

田中先生 低学年は「理科が楽しい」と思ってもらえるように実験中心のカリキュラムを組んでいます。中1の化学はほとんどが実験です。2コマ連続で行えるように時間割を組んでいるので、実験について注意事項を含め説明をして、実験をしてまとめまで行えます。まとめは実験プリントの設問に結果や考察を書き込みます。
中2の物理も実験を多く組んでいます。生物は顕微鏡を用いた観察が中心ですが、ブロッコリーからDNAを抽出するなどの簡単な実験も行っています。
理科の授業ではできるだけ実物を見せたいと思っています。教科書などで見て「こういうものなんだ」でおしまいではつまらないので、各自で実験ができないときは演示実験で見せるようにしています。
夏期講習では、DNAのクローニングやDNAの分離(電気泳動)など普段の授業ではできない実験にじっくり取り組んでいます。

渋谷教育学園渋谷中学校/観測モニター

渋谷教育学園渋谷中学校/観測モニター

知識量よりも知識を使う「活用力」を鍛える

田中先生 今の中学生を見ると、「そんなことまで」と思うようなことを知っていて感心します。一方で、「実験の結果からわかることを書いてみよう」というと、なかなか書けなかったりします。入試問題のように段階を踏んで考えるようにしていますが、つまり何が言えるのか、肝心の結論がわからない生徒が少なくありません。例えば、アンモニアを用いた噴水の実験を行った際、アンモニアの特徴を生徒に聞くといろいろ出てきます。なぜアンモニアで噴水が起こるか、アンモニアの特徴を踏まえて説明してみようというと黙ってしまいます。
最近の受験生の知識量は格段に増えていると思います。本校では知っているだけでなく使えるように、知識をある程度活用できるかどうか試す問題を出していますし、中高6年間でもしっかり育てたいと思っています。

知識を活用できるように、授業ではどんなことを意識されていますか。

田中先生 雑談のようになることもありますが、教えている内容に関連した話題に触れるようにしています。あるとき生死や安楽死について“脱線”すると、生徒から「それについては現代文で習いました」と言われました。教科横断的に知識と知識がつながることがわかれば、知識をうまく活用できるようになると思うので、知識がつながるきっかけを作るように心がけています。

渋谷教育学園渋谷中学校/観測モニター

渋谷教育学園渋谷中学校/観測モニター

「自調自考論文」は大学院に通う卒業生が助言

田中先生 本校の基本目標は、自らの手で調べ、自らの頭で考える「自調自考」です。その集大成として、高1と高2の2年間かけて取り組むのが「自調自考論文」です。
論文のテーマ設定は生徒に任せています。例えばアリの運動における消費エネルギー量を調べるなど、理科のテーマを選んだ生徒は楽しんで実験しているのが伝わります。
「自調自考論文」の特徴は、テーマの「問い立て」に時間をかけていることです。自分で疑問を見つけて、論文化に耐えうる適切な「問い」の確立や、実現可能性の検討など、論文作成の最初の工程をじっくり練ります。これには大学院で研究している本校の卒業生がアドバイスします。論文を通してレポート作成に必要なスキルも身につけます。

渋谷教育学園渋谷中学校/掲示物

渋谷教育学園渋谷中学校/掲示物

中高6年間で課題解決のアプローチ方法を身につける

6年間でどんな理科の力を身につけてほしいと思っていらっしゃいますか。

田中先生 課題を解決する方法を授業を通して学んでほしいと思います。どんな種類の文献に当たればいいか、どんな調べ方をすればいいかなど、アプローチの方法を習得します。知識は自分でどんどん蓄えていくと思いますが、課題に対する科学的にアプローチは一朝一夕で身につくものではありません。最初は教員が組んだ実験を通して学びます。
中1の調べ方で多いのは、「気づいた疑問について調べよう」というと、インターネットの知恵共有サービスに載っている回答をそのまま引用する生徒がいます。これは事実ではなく「意見」です。まず事実を参考にする情報検索の基本から教えます。次の段階として、結果を導き出すための方法は適切かどうかを検討します。異なる結果が出ていれば両者を比較・検討します。
玉石混交の情報が氾濫する中で、正しい情報を見極める力、正確な情報にたどり着ける方法は必須と言えます。本校では、将来国際的に活躍できるグローバル・リーダーの育成を目指しています。リーダーとして正しい判断ができるように、科学的な視点を身につけさせたいですね。

インタビュー3/3

渋谷教育学園渋谷中学校
渋谷教育学園渋谷中学校地上9階・地下1階の校舎は、地域との調和と快適な環境をコンセプトとして設計されており、都市工学の先端技術が駆使されています。これからの新世代にふさわしい、充実した学校生活を提供されています。教育目標は、21世紀の国際社会で活躍できる人間を育成するため「自調自考」の力を伸ばすことを根幹に、国際人としての資質を養う、高い倫理感を育てる、という3つです。
学習面における「自調自考」を達成するために、シラバス(学習設計図)が活用されています。シラバスは、教科ごとに1年間で学習する内容と計画が細かく書かれたもので、家づくりにたとえるならば設計図にあたるものです。シラバスをもとに、生徒自身が「いま何を学んでいるのか」「いま学んでいることは何につながるのか」ということを常に確認し、自ら目標を設定することで学習効果が上がるように指導されます。「何を学び、学んでいることは何につながるのか、全体のどのあたりを勉強しているのか」を確認しながら、授業に目標を持ち積極的に参加して、毎日の学習に取り組むことができます。外国人教師による少人数英語教育が実践され、さらに、中学3年生から、希望者は英語以外にもうひとつの言語を学ぶチャンスがあります。ネイティブの教師と一緒に自分の世界を広げてみましょう。開講講座は、中国語、フランス語、ドイツ語、スペイン語です。海外研修は希望者を対象に、中学のオーストラリア研修、高校のアメリカ・イギリス・シンガポール・ベトナム研修があります。研修の目的は若者交流です。異文化理解や語学研修など、さまざまな経験を通して交流の輪が広がります。海外からの帰国生も多数在籍しており、留学生も受け入れています。
自分を律する心を養い、一人ひとりの人生をより豊かにし、人のために役に立ちたいと思う人間を育むため、生徒の発達段階に合わせたテーマで、6年間で30回にわたる「学園長講話」が行われています。