シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

聖光学院中学校

2017年07月掲載

聖光学院中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.フェイクニュースが横行する時代。真実を見抜く力をつけてほしい。

インタビュー2/3

知識を身につけることと、使うことを意識して問題を作成

入試問題全体で大切にしていることを教えてください。

千綿先生 知識を身につけることと、身につけた知識を使うことのバランスを大切にしています。「社会は暗記科目だから」と言われるときの「暗記科目」という言葉には、非生産的な響きが多分に含まれていると思います。しかし、覚えるべきことを覚えなければ考えることが出来ません。どちらも大切な要素であると考えます。

問題全体を貫くテーマや、取りあげる題材、使用する資料に関してのこだわりや選択の視点などについては、「印象に残った」「家でさらに調べたくなった」という声をよく聞きます。

千綿先生 大変ありがたい感想です。その年の受験生への思いとともに、本校を志望してくださる多くの未来の受験生にとっても学びのきっかけとなるよう意識はしております。

公民科教諭/千綿 正洋先生

公民科教諭/千綿 正洋先生

世界が平和なら授業をする

そういうことを大切にしながら授業も行っているのでしょうね。

千綿先生 授業に入る前に生徒がいい質問をしてきたら、準備していた授業はせずに、「世界が平和なら授業をする」というスタンスです。今なら北朝鮮の問題や共謀罪の問題などが多いです。

おもしろそうですね。

千綿先生 誰かが口火を切り、こちらが受けとめると、(そういう問題を)気にかけていなかった生徒も気づくことができます。井戸端会議のような、かたくるしさのない雰囲気で行っているので、意外な生徒が手をあげて、意見を述べることもあります。それも楽しみの一つです。

私は中3と高2を担当していますが、高校生のほうがそういう授業になりやすいですね。中学生には教えなければいけないことがあるので、5割程度です。教科書に書いてある内容は、読めば理解できる生徒たちなので、できる授業だと思います。

聖光学院中学校 人工芝グラウンド

聖光学院中学校 人工芝グラウンド

身につけてほしいのは、必要に応じて疑う力

聖光学院のイメージが変わりました。大学合格実績が素晴らしいので、もっと型にはめた授業をしているのかと思っていました。

千綿先生 そういう授業をしている教科もありますよ。こういう授業ができるのは、社会科の中でも公民だからです。地歴ではそこまでできないと思います。

公民の授業で大切にしているのは、どのようなことですか。

千綿先生 公民科のキーワードは「リテラシー」です。「ポスト・トゥルース(post-truth)」が今年、話題になったように、ものすごくハイレベルなリテラシーがないと乗り切れない世の中になってきていると感じるので、生徒には、そのリテラシーを身につけてほしいと思っています。

私が話していることも、正しいかどうかを、自分で判断してほしいということです。メディアリテラシーならぬ、スクールリテラシーです。ただ単に「疑え」と言っても、生徒に響きません。日常にあるものをすべて疑っていたら疲れてしまうので、それを取捨選択する主体的な力。つまり「必要に応じて疑う」という考え方が必要なのではないかと思います。

聖光学院中学校

聖光学院中学校

中3は校則の意味を考える

千綿先生 中3では、規範意識を身につけるために、「なぜ学校には校則があるのか」ということを扱います。最近は流行っていないのでいませんが、一昔前は「ピアスの穴を開けたい」「茶髪にしたい」という生徒がいて、「なぜ茶髪はいけないのか」と聞かれました。そういうときは「悪くない。ルール違反なだけ」と返します。サッカーでもそうですよね。ボールを持つと反則になりますが、ボールを持つこと自体は悪いことではありません。「ルール違反」と「正しい・悪い」とはまったく違います。世の中には、校則は学校が子どもを管理するためのものだと思っている人がたくさんいます。教員の中にも、そう思って生徒指導をしている人もいます。中学1、2年生に対しては、多少はそういう観点が必要かもしれませんが、校則を設けている意味は、学校で規範意識をもつ練習をするためなのです。学年が上がるにつれて自律し、自然に秩序が保たれているのだと思います。

インタビュー2/3

聖光学院中学校
聖光学院中学校聖光学院の設立母体であるキリスト教教育修士会(カトリックの男子修道会)は、1819年、ジャン・マリー・ローベル・ド・ラ・ムネ神父により、フランスに創設される。
日本においてはまず1854年、東京に「国際聖マリア学園」を、次いで1956年、横浜に「さゆり幼稚園」を設立した。「聖光学院中学校」が創立されたのは1958年4月、「聖光学院高等学校」の創立は1961年4月のことであり、カトリック的世界観から、「人格の尊厳と愛」の理念を掲げて今日の教育に至っている。
「カトリックの精神を基盤にして、キリストの教えである愛と奉仕の精神を尊重し、中高一貫教育のもとに将来社会に貢献できる健全で有為な人材の育成を目指す。「紳士たれ」をモットーに、学力面ばかりでなく、礼儀を重んじ、強い意志と弱者をいたわる優しい心を持たせる教育を目指している。
山手地区に連なる丘陵の一画、文教風致地区にあり、背後が根岸森林公園という抜群の環境。聖堂、ラ・ムネ・ホール(講堂)、ポアトラホール(多目的ホール)、食堂、グラウンド、体育館など施設は充実。21時まで使用できる高3用の自習室もある。プールは屋外。長野県班尾高原にキャンプ場もある。
面倒見の良さは折り紙つき。英語は首都圏屈指のレベルで、中1から週7時間。中2・中3・高1の英会話の授業を1クラス2分割で実施。帰国生対象の特別授業もあり、希望すれば一般生も受講できる。高2から文系・理系に分かれ、高3は演習中心。平常時(中1~中3まで指名制)、夏期(中1~高1は英・数・国中心で成績不振者の指名制、中2~高3は希望者対象で各教科)、冬期(高3の共通テスト対策)など、親身の補習で「予備校いらず」といわれる。東大・早慶上智大への現役合格率は首都圏トップクラス。
クラブ活動だけでなく、生徒が自主的に立ち上げる同好会活動も盛ん。カトリックの宗教行事もあり、入学・卒業の祝福ミサ、クリスマスなどがある。ほかの行事ではスキー教室、芸術鑑賞会、文化祭、カナダ、ニュージーランド、イギリス、アメリカ、オーストラリアなどの海外研修も実施。また、豊かな感性を育むため、毎週土曜日には中2の選択芸術講座が開かれる。夏休みの数日を使って、体験学習重視の「聖光塾」(中1~高3、自由参加)も開講。ボランティア活動は日常的に行われている。