シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

城北中学校

2017年06月掲載

城北中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.様々な出題形式で理科の表現力を測る

インタビュー2/3

グラフは入試と授業での取り組みでかけるように

貴校の入試問題は、分野のバランスだけでなく、出題形式のバランスもとれていると感じます。基礎知識を確認する問題、計算問題、グラフやスケッチなどの作図問題に加えて、この問題のような初見の問題で思考力も試されます。

中村先生 本校の入試問題は実験・観察に基づく問題を中心に出題しています。入学すると実験・観察後のレポートや理科の自由研究があるので、入試では「図をかく力」や「文章を書く力」など表現力を測る問題を出します。
グラフのかき方は中1からしっかり指導していて、かき方だけで1時間取ります。授業でグラフのかき方を指導し、中学入試でも出題するようにしてから、グラフがかけるようになってきました。

理科主任/中村 純先生

理科主任/中村 純先生

短文記述は文の空欄を短い文で埋めて完成させる

中村先生 表現力を測るため、2017年は短文記述の出題を始めました。
2017年第1回入試では、生物分野で文の空欄を5~10字の短文で埋めて文を完成させる問題を出しました。用語の穴埋め問題は当てずっぽうで正解することがありますが、文章として整えると理解しているかどうかがわかります。

正答率は81%で予想よりよくできていました。
対策として、実験・観察の結果や考察をまとめて書く作業に慣れておきましょう。要点を落とさずに、「~だから~だ」「~は~のため」のように、ノートの1行、20~30字程度の短い文でまとめましょう。

グラフの読み取り問題は知識で解こうとしない

竹村先生 他の分野と比べると、地学は観察対象が卓上に載せられないものが多く、実験も実際に行うのが難しい。出題が知識問題に偏らないように、実験・観察から何がわかるか、考える問題を出すように心がけています。
数年前に地球温暖化のグラフを取り上げたことがあります。グラフから読み取れることを選ぶ問題で、「温暖化は二酸化炭素が原因」という選択肢を入れましたが、それはこのグラフだけでは読み取れません。グラフ問題は知識で解こうとしないで、提示された資料から純粋に読み取ってもらいたい。

城北中学校 自由研究の模造紙

城北中学校 自由研究の模造紙

「もし~なら」と想像すると本質が見えてくる

竹村先生 地学の授業ではイメージ力を大切にしています。地学の場合、中学・高校レベルでは実験が難しいことが多いので、頭の中で思考実験して、この条件ならどうなるだろうと想像します。
例えば、地球の平均気温は約15度ですが、もし、大気や海がなかったら気温はどうなるかを想像してみます。このように、実際にはあり得ないようなことでも想像してみると、本質が見えてきます。
地学ではこうしたアプローチが大事だと思っていて、授業では「もし~なら」と生徒に投げかけ、考えさせています。イメージ力は地学に限らず実験の仮説を立てるときに役立ちます。

実感が伴っていれば文章化しやすい

中村先生 表現力は、実験・観察のレポートを通して鍛えます。自分で手を動かしたことなら、実感を持って文章化しやすいと思います。実験方法は自分が操作したことを、結果は見たことをそのまま書きます。こうしてレポート作成の過程で文章が書けるようになる生徒もいます。
実験がやりっ放しにならないように、実験の最後には「この操作をしてどうなった?」と全体に確認してフィードバックします。
また、高校生になると大学入試対策として、入試問題で扱われている実験を実際に演示して見せて、「いま、○○に変化したよね」と解説します。問題文と実験を連動させて実感を持たせます。

竹村先生 レポートの書き方を知らない生徒もいるので、見本を示すようにしています。よく書けているレポートをiPadで撮って、モニターに映しながら、「この考察の目のつけどころがいいね」「見やすくまとめられているね」など書き方のポイントを説明します。

城北中学校 先生

城北中学校 先生

インタビュー2/3

城北中学校
城北中学校都立城北中央公園と石神井川に沿った緑豊かな環境に、約4万平方メートルもの広大なキャンパスが広がり、創立50周年を記念して建設された校舎には充実した学習・スポーツ・文化施設が整備されている。厳しい寒さにも耐え、春を告げる花の代表格である桜の花をあしらったデザインが。城北学園のマーク。創立からの、着実・勤勉・自主の精神と質実厳正の姿を象徴しています。
6年間を2年ずつ「基礎期」「錬成期」「習熟期」の3期間に分けて連携させる「3期体制」。その経験とノウハウから生まれた理想の教育プログラムは、難関大学への高い実績を生み出し、各界で活躍する卒業生の輩出している。各期間で生徒の発達段階に応じた目標を掲げ、一人ひとりの生徒が目標の達成に向かって努力し、成長を遂げられるように指導が行われている。
活発なクラブ活動は城北学園の伝統。全国レベルにある部活動も多く、運動部では、ラグビー部、少林寺拳法部、水泳部(水球競技)、文化部では、ラジオ部や囲碁将棋部が過去に全国優勝を果たしている。運動部や文化部。すべてがひとつになって城北学園の圧倒的なムーブメントを生み出している。