シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!

城北中学校

2017年06月掲載

城北中学校【理科】

2017年 城北中学校入試問題より

月の表面には、たくさんの「くぼみ」が見られます。こうした月の表面のくぼみも、地層と同じようにできた順番を考えることができます。図は月のある場所における、くぼみのりんかくを表したものです。
これについて、つぎの問いに答えなさい。

(問1)このくぼみはどのようにしてできましたか。つぎの(ア)~(エ)から1つ選び、記号で答えなさい。

  • (ア)宇宙からのいん石がぶつかってできた。
  • (イ)流れる水のはたらきでできた。
  • (ウ)地面の動きによってできた。
  • (エ)火山のふん火によってできた。

(問2)図にあるくぼみができた順番を、記号で答えなさい。

図

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この城北中学校の理科の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)

解答と解説

日能研による解答と解説

解答

(問1)(ア)
(問2)(B)→(A)→(C)→(D)

解説

クレーターは、月にいん石が落ちたときにできたくぼみです。月には、大気がないため、いん石は月の表面に落ちやすく、おおきな円形のくぼみをつくります。

図のように、いん石が同じような場所に複数落ちた場合には、円形のクレーターが重なり合って、複雑なくぼみができます。

地層のできた順でも目を向けたように、断層や不整合などは、火山の侵入など、後の変化によって、形が変わっていきます。このクレーターも、完全な円形になっているものがいちばん新しく、円形の重なり方に目を向けることによって、クレーターのできた順番が読み取れます。

円形が切れていないくぼみは、「くぼみC」と「くぼみD」です。「くぼみC」の中に「くぼみD」があるように見えることから、「くぼみC」ができた後に「くぼみD」ができたことがわかります。また、「くぼみA」と「くぼみB」は、「くぼみC」によって円形が切られた形になっています。このことから、「くぼみA」と「くぼみB」ができた後に、「くぼみC」ができたことがわかります。さらに、「くぼみB」は「くぼみA」と「くぼみC」によって円形が切られた形になっています。これらのことから、「くぼみB」がいちばん古くできたもので、その次に「くぼみA」、「くぼみC」の順にでき、最後に「くぼみD」ができたことがわかります。

日能研がこの問題を選んだ理由

図で示されたクレーターのようすから、自分が持っている知識と結びつけ、クレーターのできる順番を考える問題です。

子どもたちにとって、あまりなじみのないテーマですが、自分が学びの中で目を向けた地層のできる順などの筋道の立て方をもとすることで、クレーターのできる順を推測できます。この問題を通して、子どもたちは、未知の課題に向きあうとき、既知のことがらと結びつけることで課題が解決できるということに、目が向いていきます。

子どもたちは、今後さまざまな未知の課題と向き合うことになることでしょう。このとき、既知のことがらや考え方を結びつけてみるという方法があることに気づいてほしいと思います。

このような理由から、日能研では、この問題を□○シリーズに選ぶことにいたしました。