シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!

栄光学園中学校

2017年05月掲載

栄光学園中学校【算数】

2017年 栄光学園中学校入試問題より

(問)立方体のサイコロについて考えます。サイコロの向かい合う面の数字の和は7になります。
図①は、あるサイコロを2方向から見た図です。このサイコロの展開図が図②です。
図②の空いている面に入る数字を、向きも考えて書き入れなさい。

図1 図2

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この栄光学園中学校の算数の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)

解答と解説

日能研による解答と解説

解答

解答

解説

問題の図1の「1」と「2」の間の辺に着目します。「1」の向きより、図アの見取図の太線①の辺と展開図の太線①の辺は対応していることがわかるので、「2」の位置と向きが図のように決まります。

同じように、問題の図1の「1」と「3」の間の辺に着目します。「1」の向きより、図アの見取図の太線②の辺と展開図の太線②の辺は対応していることがわかるので、「3」の位置と向きが図のように決まります。

図ア

「6」と向かい合う面の数字は「1」で、「4」と向かい合う面の数字は「3」なので、図イの見取図の2本の太線の辺と展開図の太線の辺はすべて対応していることがわかり、「4」の位置と向きが図のように決まります。

図イ

同じように、「6」と向かい合う面の数字は「1」で、「5」と向かい合う面の数字は「2」なので、図ウの見取図の2本の太線の辺と展開図の太線の辺はすべて対応していることがわかり、「5」の位置と向きが図のように決まります。

図ウ

「6」の位置は、残りの面に決まります。「3」と向かい合う面の数字は「4」なので、図エの見取図の2本の太線の辺と展開図の太線の辺はすべて対応していることがわかり、「6」の向きが図のように決まります。

図エ

日能研がこの問題を選んだ理由

この問題は、受験算数の体積や表面積の問題によく見られる、公式やパターン、技法に焦点があたる問題ではありません。この問題に取り組むとき、見取図(立体・3次元)と展開図(平面・2次元)の間を行き来します。頭の中だけでとらえにくければ、図にかき込んで考えようとするでしょう。しかし、図にかこうとしても、そもそも3次元のサイコロを2次元で完璧に表すことはできないため、「立体図形をとらえるとは何か」ということと直面します。テクニックではなく、立体をとらえる力そのものを見る問題といえるのです。

問題に取り組みながら、立体図形の本質を学んでいく。そんな問題を多くの人に紹介したいと考え、日能研ではこの問題を□○シリーズに選ぶことに致しました。