シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

明治大学付属中野中学校

2017年04月掲載

明治大学付属中野中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.問題文をきちんと読んで条件を押さえる

インタビュー2/3

子どもの生活に身近なテーマを選ぶ

齋藤先生 入試問題の素材文は、言葉遣いがあまりくだけすぎていないこと、小学生が読んでおもしろいと感じてくれるものを選ぶように心がけています。
ただ、言葉は“生き物”なので許容範囲かどうかは教員の間でも意見が分かれます。
小学生が読める内容はかなり限られるので、結果的に自然や動物、家族、友達といった内容が多くなります。子どもにとって身近で、想像しやすいテーマが本当にいいのかは議論しなければなりませんが、受験生の国語の力をきちんと測ることを考えると、素材文は子どもの目線に近いテーマが選ばれます。
また、問題集に載っていたり、他校の入試問題で取り上げられていない、なるべく新しい作品を選ぶようにしています。

入試広報委員長/海老澤 貞行先生

入試広報委員長/海老澤 貞行先生

読むスピードは物語文より論説文が遅い

齋藤先生 長文読解は物語文か論説文を1題出題します。本文の字数は論説文の方が短めで、この問題の本文は例年に比べても短いです。受験生の様子を見ると物語文は読みやすいのか、7000字程度は読めるようです。
一方、論説文は読むのが遅いと感じます。成長段階から見て、小学6年生の男子は、論理的思考力を発揮するところまでまだ達していないように思います。
私は女子校で教えたことがありますが、本校の中学男子は言語の発達が遅い生徒が多く、基本の4技能において遅い傾向が見られます。特に「書く」と「話す」については、頭で考えたこと、心で思ったことを、「言葉で整理して」「言葉で表現する」という2段階が必要ですから、それだけ言語化するのに時間を要します。
中3の後半になると変化の兆しが見られますから、成長段階に応じた指導を心がけています。

文中から抜き出す問題は条件に注意

長文読解は抜き出しや本文中の言葉を用いて記述する問題が多いように思います。受験生の読解力や記述力はいかがですか。

齋藤先生 読み取れていないわけではないと思いますが、問題の条件に当てはまらない答えが結構見られます。例えば、「この文章はどこに入るのが適切か」という問題で、「入る場所の直後の五字を答えなさい」という条件に対して、入れる前の五字を書く受験生がとても多いです。
慌てず、わかったつもりにならず、問題文を最後まできちんと読んで条件を確認するようにしましょう。
記述に関しては、主語がない文章がとても多いです。本人はわかっていて省いてしまうのでしょうが、主語がないと違う解釈が可能になるので正解にできません。主語と述語の関係がきちんと合っていること。修飾の関係にも気をつけてほしいと思います。「誰が」「何を」「どうした」という要素が明確だと伝わりやすくなります。

明治大学付属中野中学校/大階段

明治大学付属中野中学校/大階段

その使い方、大丈夫?「言葉の感覚」を大切にしよう

齋藤先生 語句問題の出題は、言葉に意識を向けてほしいというねらいがあります。例えば、実はたわわになりますが、花はたわわに咲きませんよね。「その言葉選びはちょっとおかしくないか」と察知できる言葉の感覚を大切にしてほしいと思います。

出題された「まばら」「すずなり」「ほとぼり」は、大人も間違って使っている言葉です。

齋藤先生 単に言葉の意味を覚えるのではなく、文の中で使って身につけてほしいですね。
文中の空欄に適切な言葉を選ぶ問題は、3問とも全滅だった受験生が多く少しがっかりしました。「家族全員   暮らしている」に、「たわいなく」を選んだ誤答が多かった(正解は「つつがなく」)。

大人があまり使っていない言葉ですから、子どもたちはどのように使われているか見聞きしていないでしょう。貴校の問題を見た保護者が少しでも言葉に気を配るようになるといいですね。

明治大学付属中野中学校/校舎

明治大学付属中野中学校/校舎

誤字・脱字のケアレスミスはもったいない!

齋藤先生 字を丁寧に書くことも意識してほしいと思います。漢字の書き取りは丁寧に書くのが前提のはずですが、そうではないような字が散見されます。正しく書いているつもりかもしれませんが、他者が見て間違いなくわかるように書きましょう。漢字のとめ・はねについてそれほど厳しくチェックしているつもりはありませんが、必ずとめ・はねすべきところは気をつけてほしいと思います。
中には、誤字・脱字のケアレスミスで10点くらい減点されている受験生もいます。この問題でも同じ記号が2つある解答がありました。こうしたミスは本当にもったいないので、ふだんから慌てないで書くこと、見直しをすることを心がけましょう。
誤字・脱字は学年が上がるにつれて少なくなります。精神的に落ち着くからでしょう。また、友達と比べて「これではいけない」と気づくようです。

明治大学付属中野中学校/教室

明治大学付属中野中学校/教室

インタビュー2/3

明治大学付属中野中学校
明治大学付属中野中学校1929(昭和4)年に、御木徳一により旧制中野中学校開設。1949年に明治大学の付属校となって再出発した。2009(平成21)年に創立80周年記念式典を挙行。
「質実剛毅」「協同自治」の精神にのっとり、知・徳・体のバランスの取れた教育を実践。生徒一人ひとりの自我と個性を尊重する姿勢は、「完責・修学・研心・錬身」を校訓としていればこそ。付属校の利点を生かし、のびのびとした学園生活のなかでさまざまな可能性が伸ばせる。他大学への進学に対応できる指導も実施。
中学では、高校との関連を重視。特に英語に重点をおき、中1・中2では外国人講師による少人数制の英会話を実施。高1から外進生と混合し、高2から文系・理系のコース別クラスを編成して他大学受験も意識したカリキュラムを展開する。平常講習は全学年が対象で早朝・放課後に。全学年対象の夏期講習は希望者制で行われるが、指名制補習もある。全体の75%近い生徒が併設大学へ進学。一方、他大学受験をする生徒も増えており、早慶上智大など難関大学への合格実績も徐々に上昇。明治大推薦希望者の国公立大併願も認められているので、国公立大進学者も増えている。
クラブ活動はとても盛んで、加入率は中学で約9割。柔・剣道などの武道や水球、ラグビーなど運動部の活躍ぶりや実績は有名。文化部を含めるとその数は35におよび、ほとんどは中高合同で活動しているので上級生・下級生の団結力も強い。高1の11月には全生徒に向けて、明治大学キャンパスでの特別進学講座(各学部紹介)を実施。各学部の公開授業の聴講、理工・農学部の実験・実習見学会なども行い、付属校ならではの進路指導をしている。