出題校にインタビュー!
明治大学付属明治中学校
2017年01月掲載
明治大学付属明治中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
1.「自分は何ができるか」一段深く考えよう
インタビュー1/3
時事問題は出来事を知っているだけでは意味がない
初見の資料を提示して、「どんなことが読み取れますか」という問題はよく目にします。貴校はさらに踏み込んで、「何ができると考えますか」と聞いている点が目を引きました。
宮下先生 受験生は戦争に関する知識をある程度押さえていると思うので、知識を踏まえて「自分は何ができるか」を考えてもらおうと、この問題を出題しました。
時事問題を出すのは、単に世の中のことを知っているかどうかを聞いているのではありません。本校の社会科では、自分でしっかり考える力を身につけて、最終的には自分は社会のために何ができるか、アクションを起こせるようになってもらいたいと思っています。この問題はまさにその見本といえるものです。
社会科/宮下崇先生
戦争体験者でも戦争を正しく理解できていない
宮下先生 設問文に「表も参考にしながら」とあるので、解答には表から読み取ったことを書きます。こんな読み取り方もできるかなと思える事柄が少しでも書かれていれば点数をあげられますが、表を無視して、自分が知っていることだけを羅列した答案は点数をあげられません。
この表全体から、「世代が若くなるにつれて戦争への関心度が低くなっている」ことが読み取れます。ただし、読み取れるのはこれだけではありません。「日本が最も長く戦った相手国」(中国)については、戦争の体験や記憶がある1938年以前生まれの「戦前・戦中世代」でもあまり認識していないことがわかります。
ここの読み取りはとても重要です。答案の多くは「世代間ギャップ」というステレオタイプの情報だけの読み取りでした。ごく少数でしたが、そこまで気づいた受験生もいました。
周りに働きかけようとする積極的な意見も
宮下先生 「自分ができる取り組み」についても具体的に書きます。「戦争はやめた方がいい」といった解答は具体性がなく、当事者意識が伝わってきません。
答案を見ると、「戦争についての知識をもっと増やしたい」「戦争のことについてもっと知らなければいけない」などがありました。中には「自分から情報発信する」というように、自分のことだけでなく、周りに働きかけようとする姿勢も見られました。
齊藤先生 全体の印象は、模範解答的な解答内容ではありますが、それでも「自分で考え、行動しよう」とする姿勢が反映された答案が多かったと思います。
明治大学付属明治中学校/掲示物
覚えた知識と今の出来事をつなげる
表の中で「真珠湾攻撃の日」(日本時間12月8日=太平洋戦争開戦の日)は正確な日付を知らない人は多そうです。
齊藤先生 その点はニュースを見聞きして情報をキャッチしてほしいところです。
真珠湾といえば、安倍総理がオバマ大統領とともに真珠湾を訪問し、慰霊するニュースが大きく取り上げられましたが、明らかにされたのは12月5日夜のことです。なぜこのタイミングでの訪問決定なのかを考えると、覚えた知識と「今」が結びついて社会科の学びがおもしろくなると思います。単に知っているだけでなく、「そういうことか!」というつながりの発見をおもしろがってほしいと思います。
家族でニュースについてざっくばらんに話をしよう
齊藤先生 入試では基礎的な知識を問う問題に加えて、考えさせる問題、それも自分の行動に落とし込むところまで一段階深く考えさせる出題を意識しています。そうした問題を出すのは、正解のない問いを出題すると、学ぼうとする態度や、自分の身に引きつけて考えようとするスタンスなど受験生の姿勢が見えてくるからです。
学びの場は教室だけではありません。日頃からご家庭でテレビや新聞のニュースに関心を持つと同時に、 興味のある事柄について、「どう思う?」「私たちにできることは何だろう?」と家族で話題にしてください。私たちは世の中のことを学ぼうとする姿勢の生徒とともに学び、成長していきたいと願っています。
明治大学付属明治中学校/掲示物
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