出題校にインタビュー!
逗子開成中学校
2016年09月掲載
逗子開成中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
3.興味があれば主体的に学び、知識を深めていく。逗子開成にはその土壌がある。
インタビュー3/3
生徒が興味ある講座に積極的に参加する『土曜講座』が充実
アクティブラーニングは取り入れていますか。
小和田先生 科として体系的に取り入れているわけではありませんが、中学ではところどころ取り入れています。たとえば中1の地理では、夏休みに地理の新聞を作ります。そのため、国別にグループを組んで、授業の中で調べたりまとめたりして、発表するということはあります。ただ、授業では、人の話をじっくり聞くことを大事にしているので、通常の授業スタイルをベースに、協力して主体的に1つの事をやり遂げるようなことも取り入れているというのが実情です。
片山先生(社会科教諭/広報部長) 本校では、平日の授業とは別に、授業で学んだことを活用したり、考え方の幅を広げたりできる場として、『土曜講座』(中1から高2対象/約100講座)を設けています。
授業の中では、ニュースなど、教員が集めた情報を通して実社会とつないだり、因果関係を説明し、単発の知識と知識をつなげたりする作業を6年間繰り返していきます。合わせて、生徒は多彩な講座から自由に選んで参加できる『土曜講座』に参加し、授業担当以外の先生や、同じ興味や趣向をもつ先輩後輩とかかわりながら、授業で学んだ知識を自分のものにしていきます。
広報部長/片山健介先生
講座の幅が広がっている
片山先生 たとえば、地球探査で有名な科学掘削船「ちきゅう」に乗船している生徒のお母さんがいました。一旦調査に出るとなかなか帰って来られないそうですが、帰られた時に「海から地球の謎を探る-『ちきゅう』の最新成果-(JAMSTEC横浜研究所見学)」という講座を設けて、話をしていただいていました。すでに生徒は卒業していますが、今も講座を担当していただいています。
「青銅鏡を作る」では、青銅鏡を、卑弥呼の時代の作り方で作りました。「海・空・港の研究所~港湾空港技術研究所~を体験しよう」には、80名もの生徒が参加しました。
※最新の土曜講座報告はこちら http://www.zushi-kaisei.ac.jp/news/cat9/
『土曜講座』の講師は本校の教員ですが、保護者や外部の専門家の方々にも協力をいただいて、講座の幅を広げています。鈴木先生もウォークラリーをやっています。地図を見ながら歩いて披露山まで行きます。これも社会科的発想から始まり長年行っている講座の1つです。
高校生には『必修土曜講座』も開講
片山先生 高校生には、『土曜講座』とは別に、各界で活躍された方を講師に迎えてワークショップ型の授業を展開する『必修土曜講座』も設けています。経営教育の一環で『イノベーションコンテスト』など、いくつか取り組みを行ったり、『交渉学』など、今までにない講座も開講したりしています。
『交渉学』は、どのようなことをするのですか。
片山先生 たとえば、サッカーのメンバーから外された。理由がわからない。そこでキャプテンに聞く時に、お互いが納得する聞き方を見つけていくとか。博物館にある資料を企業が持ち出したい。どうやってお互いの妥協点を見出すかとか。大学の先生に来ていただき、課題を通して、交渉の仕方を学びます。こういうことは社会科の授業の中でやってもおもしろいと思いますが、本校では『交渉学』という形で総合学習の中で行っています。
逗子開成には『海洋教育』もあります。教科学習以外のプログラムが充実していますね。
片山先生 総合して逗子開成の生徒が出来上がっていき、結果として社会に有為な人物を送り出せていると思います。
逗子開成中学校 海洋教育センター
授業をしっかり聞こう
では、受験生をもつご家庭へのメッセージをお願いします。
鈴木先生 私がよくお話するのは、「小学校での学習を大切にしようね」ということです。社会科が苦手という子によく見られるのは、豊臣秀吉を漢字で書けないなど、基本的なところで点数を落としているケースです。授業を聞いてノートを取っていれば、自然と覚えて書けるはずですから、学校や塾の授業にしっかり取り組むことから始めて、その上でプラスアルファの知識を得ていくという順番で学ぶことをオススメします。11月にもなってそんなアドバイスをすると「間に合いますか?」と言われますが、間に合う、間に合わないではなく、やらなければいけません。ケアレスミスを減らすには、1つひとつのことにしっかり向き合うしかないのです。何事にも一生懸命取り組む姿勢は、本校の受験に限らず、すべてにつながる大事なことなので、頑張っていただきたいと思います。
子ども自身が興味をもつことが大事
鈴木先生はお子さんが3人いらっしゃるそうですが、ご家庭ではどう接していらっしゃるのですか。
鈴木先生 忘れ物をしない。約束を守る。それさえしっかりやれれば、勉強についてはあまり言いません。受験生の親なら問いかけるかもしれませんが、基本的には学校の先生にお任せしています。小中学生の社会は、社会に出るための教養として広く浅く学ぶので、いつ興味がもてるかは人によります。もちろん聞かれたことには答えますが、授業をしっかり受けていれば、いつか気づくというスタンスで見守っています。
子どもたちがちょうど生徒と同じ年齢なので、中学生はゲーム。高校生はスマホやソーシャルネットワークなど、生徒の間で話題になっていることを子どもから教えてもらうことが多いです。今の子どもたちは、ネットが普及しているので、話題になっていることはたいてい知っていて、ニュースに関しても「知ってるんだ」と驚かされることがあります。
逗子開成中学校 図書館
この学校に入りたいというモチベーションが入試突破の鍵
小和田先生 相談を受けた時にお話するのは、お子さんがこの学校に行きたいという、モチベーションがあるとないとではまったく違うということです。文化祭で、あるいはオープンキャンパスで、こんな体験ができた。この学校なら自分も楽しい学校生活を送ることができそうだ、という気持ちがお子さんの中に宿っていると、最後の最後で勉強の頑張りを発揮できるようです。そういう話を保護者の方からよく聞きます。
社会科からのアドバイスとしては、本校では約70%が基本的な問題です。過去問を見てもらうとわかりますが、大事なところは何度も出しています。ですから、まずは教科書の太字になっている基本的な語句を抜き出してみてください。そんなに多くないはずです。そういうところからしっかり学んでいくといいと思います。語句・用語は漢字で正確に書く力を求めています。参考書を黙読しているだけでは、その力はつきません。目で見て、それを口に出して読み、手を動かして書くという一連の習慣をつけましょう。
インタビュー3/3