シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

横浜女学院中学校

2016年09月掲載

横浜女学院中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.入試でできなかったところは、6年間かけて学べばいい

インタビュー3/3

生徒一人ひとりを先生全員で見守り、寄り添う

人間教育についてお聞かせください。

吉田先生 キリスト教精神を土台にしている女子の人間教育を行っています。入試問題の選定にしても、プレゼンテーションで扱うテーマにおいても、教科書に載っているテーマではなく、生徒の人間の核の部分に迫るような題材を与えることが多いです。人間が生きていくうえで考えたほうがよいこと、感じたほうがよいことを、考えさせて感じさせることができるようにと、技術・知識だけを与えるのではなく、生徒の心に何かを残そうと思って指導しています。

本校の校訓の「愛と誠」は、様々なことを他人事にせず、自分ができることを少しでもやっていくということですが、その考え方はESD教育と同じです。人が転んだら手を差し伸べますよね。自分は愛されている存在で、同じく他人も大切な存在であるということを理解し、自分は何ができるのかをつねに考えてほしいと思います。

自ら学ぶ力を育てるサポートとしては、何がありますか。

佐々木先生 月曜日から金曜日の放課後45分間は、中1・2生を対象とした“勉強クラブ”を開設しています。せっかく受験勉強で身についた「自学自習」の習慣を継続してほしいという思いから、大学生のチューターがサポートする“勉強クラブ”を今年からスタートさせました。20分くらいで終わる課題を英数で出しますが、残り時間は生徒それぞれが考えて「自学自習」します。“勉強クラブ”のノートをとおして、難関大学の現役学生のチューターからアドバイスを受けることも生徒の励みになっています。

生徒と先生の距離がとても近い雰囲気を感じますね。

佐々木先生 職員室と廊下とを仕切る壁がなく、生徒と教員の距離が近いのが本校の特徴です。気軽に質問に来る生徒たちで、つねに職員室前には人があふれています。職員室の席からも生徒たちの顔がよく見えるので、「最近、あの子とあの子は一緒にいないな」などと、一人ひとりを気にかけることもできますし、気軽に声をかけられるこの環境を大切にしています。思春期という時期に、1人でも多くの家族以外の大人を信頼してほしいと思っています。

国語科主任/吉田峻先生、広報主任/佐々木準先生

国語科主任/吉田峻先生、広報主任/佐々木準先生

受験生のみなさんにメッセージ

受験生のみなさんへのメッセージをお願いします。

吉田先生 小学校の国語の勉強で大切にしてほしいのは、漢字を正しく書くことですね。中学前半までに覚えた漢字は忘れないものなので、間違って覚えると一生残ってしまいます。書き順が違うと形がくずれてしまいますし、意味もわかりません。例えば、「しめすへん」だから神様に関わること、「ころもへん」だから衣服に関わることと意味があるので、小学校の時にしっかり覚えてほしいですね。

また、間違いを恐れない子に、ぜひ本校を受験してほしいと思います。自分の得意なことがあってそれを伸ばしたいと思う子、人と協力して何かを成し遂げたいと思う子は、ぜひ、本校に入学してほしいです。そういう思いが生きる入試にしたいと思っていますし、そういう子は、本校の入試ではいろいろなものが書けると思います。

失敗したところは入学してから6年間かけて勉強すればいいのです。うまくいかなかったところこそ、大事にしていきたいと思っています。今回の出題のように、人権問題を読みとれなかったのであれば、6年間のなかで学んでほしいと思っています。また、良かったところはさらに伸ばしていってほしいと思っています。

横浜女学院中学校

横浜女学院中学校

インタビュー3/3

横浜女学院中学校
横浜女学院中学校日本プロテスタント発祥の地、横浜山手の丘でキリスト教の教えを柱に校訓「愛と誠」の女子教育による人間教育を実践している。変化の激しい社会に対応ができる力を身につけるために「神様と人に愛されている存在として、自己受容力を高め、多角的かつグローバルな視野をもち、社会貢献を果たすことができる生徒の育成を目指し、「自らを知る」「隣人を知る」「世の中を知る」「自ら行動する」「隣人を愛する」「世の中に働きかける」の6領域とこれらを具体的に実践するための12コンピテンシーを設定し、すべての教育活動を実践している。
コンピテンシーとコンテンツを効果的に結び付けて学力を高めるために2022年度より1時間の授業を65分授業としている。月曜日から金曜日までは5時間、土曜日は3時間(国際教養クラスは4時間)の週6日制を実施。国際教養クラスでは、実際のグローバルトピックにアプローチするCLIL(内容言語統合型学習)を中学3年生より実践し、さまざまなテーマについて教科を横断して学び、「英語で」考える力を身につけている。また、第二学国語(中国・ドイツ・スペイン)も必修とし、言語を通じて文化に触れ、世界への視野を広げるチャンスとなっている。
学校行事や部活動においては、生徒が自ら進んでチャレンジしていく時間となっている。部活動は希望制だが多くの生徒が入部をしている。全国大会で上位入賞するチアリーディング部を始め、ダンス部やバドミントン部、吹奏楽部や書道部などが人気を集めている。学校行事では、体育祭、コーラスコンクール、なでしこ祭(文化祭)は、生徒運営委員を中心に自分の役割に取り組む経験、その責任を果たしていこうとする経験、仲間との大切な時間を過ごす経験など多くの学びを体験できる機会となっている。