シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

横浜女学院中学校

2016年09月掲載

横浜女学院中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.知識を活用し、自らの可能性を広げてチャレンジする力を育てたい

インタビュー2/3

正しく書ければ、論理的に考えられる

国語の授業で大切にされていることは何でしょう。

吉田先生 中1のはじめは、まずは漢字を正しく書けること、言葉に関する知識を身につけることを重視しています。次に重視するのは論理性です。正しく書いて、正しく読めて、正しく話せるようにしたいので、文章を作らせて、論理性を、身につけているのか確認し続けます。最終的に国語の授業をとおして、正しく書けて、読めて、話せる生徒を育てていきたいと思います。

考えたことが言葉になるというよりも、書いていくなかで自分の思考になっていくと思うので、書く訓練がきちんとできていないと論理的に考えることもできないと思っています。字がしっかりしていて、句読点がきちんと打たれているなど、正しい文章が書ける生徒は、考える力があって成長していけると思います。それは生きていくうえで重要な力ですので、小学校の時から訓練できるといいと思います。

表現力に関してはいかがですか。

吉田先生 ESD教育では、論文やレポート、プレゼンテーションやポスターセッションなどを取り入れて国語科や英語科で表現について指導しています。生徒たちは国語科で培った書く技術や、目線や身振り手振りなどを含めた発表する技術を、学校全体の行事の場でも発揮しています。最近では外部の大会などにも自発的に赴いて、勉強する姿もみられるようになりました。

今回の入試問題の作成に関してはとくに他教科とは連携していませんが、授業でこんなことを生徒たちに考えさせたいということは、教員同士でよく話し合っています。本校では4年前から「公開研究授業」を取り入れていて、教科に関係なく声を掛け合いながら、教員同士で授業を見学し合っています。「公開研究授業」終了後には、放課後に研究会を開き、意見を交わして授業力の向上に努めています。

広報主任/佐々木準先生

広報主任/佐々木準先生

失敗を恐れずに、何にでも「チャレンジ」してほしい

入学の生徒のみなさんに伝えていることは何ですか。

佐々木先生 入学後は、勉強はもちろん、行事も部活も手を抜かないで、何にでもチャレンジしてほしいと思っています。6年間をとおして生徒たちに「失敗することが大切、失敗してもいいんだよ」と伝えています。それは、大学や社会に出たあとにも大切な「自己肯定感」につながっていくと思います。「チャレンジしていいんだ、失敗しても受け入れてくれる大人ってたくさんいるんだ」という安心感を、6年間で積み重ねてほしいと思っています。

その気持ちは入試にも込められているのでようね。

チャレンジする、あきらめないという観点からも、複数回受験でチャレンジしてくれている受験生を応援したいと思っています。掲示発表している時間に受験生が来校してくれれば、得点を記載したプリントを渡して個別にアドバイスを行っています。以前、複数回受験しても国語の点数が伸びない受験生がいたので聞いてみると「時間が足りない」と。そこで、設問文を先に読むようにアドバイスをしたところ、4回目で合格したケースもありました。

入試なのでハードルを下げるわけにはいきませんが、結果が良ければ良かったねと声をかけたいですし、うまくいかなかったのならどこが問題だったのか理解してもらい、次の入試で合格を手にしてほしいです。過酷な中学受験をがんばっている受験生のみなさんには、我々ができることで礼をつくして、背中を押してあげたいと思っています。

横浜女学院中学校

横浜女学院中学校

インタビュー2/3

横浜女学院中学校
横浜女学院中学校日本プロテスタント発祥の地、横浜山手の丘でキリスト教の教えを柱に校訓「愛と誠」の女子教育による人間教育を実践している。変化の激しい社会に対応ができる力を身につけるために「神様と人に愛されている存在として、自己受容力を高め、多角的かつグローバルな視野をもち、社会貢献を果たすことができる生徒の育成を目指し、「自らを知る」「隣人を知る」「世の中を知る」「自ら行動する」「隣人を愛する」「世の中に働きかける」の6領域とこれらを具体的に実践するための12コンピテンシーを設定し、すべての教育活動を実践している。
コンピテンシーとコンテンツを効果的に結び付けて学力を高めるために2022年度より1時間の授業を65分授業としている。月曜日から金曜日までは5時間、土曜日は3時間(国際教養クラスは4時間)の週6日制を実施。国際教養クラスでは、実際のグローバルトピックにアプローチするCLIL(内容言語統合型学習)を中学3年生より実践し、さまざまなテーマについて教科を横断して学び、「英語で」考える力を身につけている。また、第二学国語(中国・ドイツ・スペイン)も必修とし、言語を通じて文化に触れ、世界への視野を広げるチャンスとなっている。
学校行事や部活動においては、生徒が自ら進んでチャレンジしていく時間となっている。部活動は希望制だが多くの生徒が入部をしている。全国大会で上位入賞するチアリーディング部を始め、ダンス部やバドミントン部、吹奏楽部や書道部などが人気を集めている。学校行事では、体育祭、コーラスコンクール、なでしこ祭(文化祭)は、生徒運営委員を中心に自分の役割に取り組む経験、その責任を果たしていこうとする経験、仲間との大切な時間を過ごす経験など多くの学びを体験できる機会となっている。