シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

学習院中等科

2016年06月掲載

学習院中等科の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.学習院は、時流にながされずに本質を追究する学校。じっくり学べる環境が魅力。

インタビュー3/3

初等科生は新しい友達に興味津々

先ほど、高等科での一貫生と高入生の違いを伺いましたが、初等科から上がる生徒さんと、中学入試を経て入ってくる生徒さんとでは、違いを感じますか。

上嶋先生 すぐ混ざってしまうので、わからないです。

近澤先生 初等科から上がる生徒は、中学入試を経て入ってくる生徒と仲良くなりたいという気持ちをもって、中等科へ進んできます。最初の数日は、慣れている初等科生同士が賑やかにしていますが、すぐに中学入試を経て入ってきた生徒も取り込まれて、仲良くなっています。だれが初等科だったか、わからなくなるくらいです。

人数はどちらが多いのですか。

上嶋先生 中学入試を経て入ってくる生徒です。ざっくり人数をいうと、初等科からが60名。入試組が120〜130名、高校入試組が10〜20名くらいです。

学校説明会では「初等科からの生徒と仲良くなれるか」と心配する保護者もいますが、「いやいや。圧倒的多数は入試組ですよ」と、お伝えしています。最初こそ緊張していて、塾で顔見知りといった子たちと話す程度ですが、オリエンテーションが終わり、5月にもなると、人間関係がだんだんできてきて、だれが初等科だかわからなくなります。男の子同士なので、当然ぶつかり合いもありますが、そういう中で仲良くなっていきます。

数学科/近澤一穂先生、上嶋敏裕先生

数学科/近澤一穂先生、上嶋敏裕先生

教員の個性にはまる生徒が多い

男子校ですから、先生に影響される生徒さんも多いのでしょうね。

上嶋先生 教科だけでなく、その教員が持っている趣味や、教科以外の得意分野に傾向して、「すごいや」と通ってくる子もいます。だからといって、その教員の教科も頑張るか、というと、そうではないのがおもしろいところです。

近澤先生 本当に個性的な先生が多くて、皆、専門性に長けています。1学年200名の生徒が、誰かしらに興味をもって、はまれるくらい。みんなで200名の生徒を育てるという雰囲気の学校です。

それだけ、先生方も、のびのびと指導をされているということでしょうか。

近澤先生 指導方法は一人ひとりの教員に任せられているので、かなり自由にやらせてもらえます。やることが決まっていると、自分らしさを出しにくいですが、本校では授業の仕方や指導の仕方、すべてが教員に任せられているので、みんなが試行錯誤しながら、自分なりの指導を追究しています。そこは、本校のいいところだと思います。

充実したキャンパスでじっくり学ぼう

近澤先生 一人ひとりが教材を作っているので、みんなで回して研究しています。私はパズルが好きなので、「円の角度マラソン」という冊子を作りました。円の角度を求める問題が、初級レベルから超難易度レベルまで150題くらい入っています。それを冬休み前に渡して、「これをやって提出すれば、点数をあげるよ」と言うと、円の角度を求めることが好きな子は、解きまくって持って来ます。好きなことにどっぷりはまって、思考力を伸ばしてくれれば、それに越したことはありません。「よく頑張った」と成績をつけてあげられる環境は、本校の魅力だと思います。

大学受験結果で学校を見られる傾向が強い中、独自の教育を展開できるのはさすがです。

上嶋先生 勉強の数値斬りではなく、各教科を通して人間性の成長を見守っている。それが本校だと思います。非常に充実した施設の中で、のびのびと生活できる学校はそうそうないと思うので、じっくり力をつけることができる環境を求めているご家庭には、ぜひ足を運んでいただき、学校の雰囲気を感じていただきたいです。

学習院中等科 図書室

学習院中等科 図書室

インタビュー3/3

学習院中等科
学習院中等科1847(弘化4)年、孝明天皇により京都につくられた公家の学問所が始まり。「ひろい視野、たくましい創造力、ゆたかな感受性」の育成に力を入れている。早い時期から帰国生を受け入れ国際化する現実にも即応。アメリカ・メリーランド州セント・ポール高校と、高等科との交換留学も行われている。
中等科は大学までの基礎と位置づけられ、じっくりと基礎学力を養成する。近年は学習院大学への進学は5割程度。JR山手線・目白駅からすぐの学習院大学と同じ敷地内にあり、校地の広さと緑の多さは都内でも随一。
中高が独立しているため生活環境ははっきり違う。中等科では規律正しい指導をするが、高等科は自主性を重んじた自由な校風となる。クラブ活動は原則として、中等科は週4日。硬式テニス部、陸上競技部、囲碁将棋部は全国大会に出場する実力派。天体観測や化石採集を行う地学部は文化部でもっとも人気がある。