シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

白百合学園中学校

2016年06月掲載

白百合学園中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.自分の手を動かすから知識として定着する

インタビュー3/3

1年後に自分が読んでもわかるレポートを書く

檜枝先生 社会人になったとき、きちんと報告書が書けるように、中学では「他者に伝わるレポート」を意識して指導しています。自分が書いたレポートを1年後に読んで、何を伝えたいのかわからないようでは困ります。レポート指導は、教員にもよりますが、足りない点があれば再提出させます。
中学では実験を行えばレポートを提出するのが基本です。各教員が、目的、方法、結果、考察という実験の一連の流れがわかるプリントを作成します。

白百合学園中学校 理科教員

白百合学園中学校 理科教員

表やグラフをかく技術は社会人になっても役立つ

檜枝先生 生徒にはじめから表を作らせると時間がかかります。表は穴埋め形式にしてプリントを配ることもありますが、中学のうちに作表の基本を身につけてもらおうと、授業中に表を作る時間を設けるようにしています。
表計算ソフトを使うにしても、「表はこういうもの」という必要な要素や構成が頭に入っていないと表を作れません。作表のコツをつかむには、実際に自分の手でかいてみることです。グラフも、毎回ではなくても、縦軸と横軸を取るところからかく機会をつくるようにしています。

グラフの作図は慣れていないと目盛りの間隔が適当でなく、見やすい形になりません。それは自分で試行錯誤して初めて気づきます。

檜枝先生 生徒に方眼紙を渡してグラフをかかせると、B5の形そのままでかいてしまいます。できるだけ正方形に近い形で、広い範囲に線が引ける方が見やすいことに気づかせます。
グラフの作図は大学生でも社会人になっても役に立つ技術です。理科の知識を身につけるのはもちろんですが、作表などの技術も習得してほしいと思います。

自分の手を動かして実験するから知識が定着する

相澤先生 本校の生徒は総じて実験・観察が好きな生徒が多いですね。

檜枝先生 中学はとにかくたくさんの実験・観察を行います。ある年度の中学3学年で行った実験・観察(天体の動きを説明する「ヘッドアースモデル」も含む)を数えたら、100ぐらいありました。特に中学では、生徒が受け身にならず能動的に知識を獲得できることを意識しています。
4人1組の班実験、2人1組のペア実験のほかに、個人実験を行うこともあります。自分の手を動かして実験し、結果を考察することで知識として定着します。逆の手順で行うこともあります。電気などは先に事実(実験結果)を確認してから実験しないと、混乱してしまうからです。いずれにしても教員が一方的に教えることをしないように授業を進めています。

白百合学園中学校 プラネタリウム

白百合学園中学校 プラネタリウム

発表の場を多数設けてプレゼンテーション能力を磨く

檜枝先生 理科に限りませんが、今後は2020年の大学入試改革を見据えてプレゼンテーション能力を鍛えたいと思っています。
理科でもアクティブラーニングを意識しています。全員が発表しなくても、グループで話し合いをしてグループ内で発表したり、グループの代表者がクラスに発表したりする機会を授業の中で積極的に設けたいと思っています。

相澤先生 中学は時間に余裕があれば、各自で考察し各班で話し合わせて各班の代表者に発表してもらうことがあります。
また、実験の内容にもよりますが、自分の班の結果だけでなく、各班の結果を総合して考察する課題を出すことがあります。必ずしも予想通り、教科書通りの結果ばかりではありません。そうした“失敗”も併せて考えます。

檜枝先生 中学の生物分野で、ゾウリムシなどの原生動物は単なる知識で終わってしまう傾向があります。そこで、あえて調べ学習を行い、各班に発表してもらいます。この場合は調べ学習がグループワークになり、発表がプレゼンテーションになります。
地学の惑星も機械的に覚えるだけになりがちですが、各班に担当の惑星について調べて発表してもらっています。その際、各班でB5サイズの用紙にプレゼンテーションの内容をまとめます。これをカラーコピーして、そのクラス専用の“資料集”を作ります。ですからいい加減な調べ方はできません。
口頭発表だけでなく、指定の用紙に収まるようにまとめるのもプレゼンテーションの一種です。今の生徒は色使いを工夫して「見せる」まとめ方が上手で、よろこんで取り組んでいます。
このように、これからは実験・観察以外のところでもアクティブラーニングを取り入れて、生徒の可能性を伸ばしたいと思います。

白百合学園中学校

白百合学園中学校

インタビュー3/3

白百合学園中学校
白百合学園中学校1881(明治14)年にカトリックのシャルトル聖パウロ修道女会を設立母体として創立。校名に冠している白百合の花は聖母マリアのシンボル。「キリスト教の精神に根ざした価値観を養い、神と人の前に誠実に歩み、愛の心をもって社会に奉仕できる女性の教育」が教育目的。勉強だけではなく部活動も委員会活動も行事にも力一杯取り組みながら、この目的達成を目指すのが白百合学園の教育方針である。校訓である「従順・勤勉・愛徳」の精神をあらゆる場で実践する。
多くの文教施設に囲まれ、緑豊かな靖国の森と隣接し、九段の閑静な住宅街に厳粛で落ち着いた風情が漂う。聖堂、講堂、図書室、体育館など施設・設備は充実しており、校内は整然とした美しさを保つ。併設の大学はあるが、純然たる進学校としてのカリキュラム編成。当然学ぶべき基礎教養を身につけることが、結果として進学実績を高めている。高2から大幅な選択制に。難関大学への現役合格率は高い。理系志向も強い。
一日は朝礼での祈りに始まる。社会奉仕も行う小百合会、ボランティア委員会などの活動は盛ん。クリスマスの時期に1日かけて、全校生徒が校内・校外にわかれ、奉仕活動を行う。週5日制だが、土曜日は行事などにあてられることもある。学園記念日ミサ・合唱祭、高原学校、球技スポーツ大会、学園祭、クリスマスミサなど行事も多種多彩。「修養会」では、心静かな祈りや講話、友人との話し合いなどを通じて、人生の根本問題を深く考え、自分で自分の心を育てる喜びの体験をしている。