シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

白百合学園中学校

2016年06月掲載

白百合学園中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.理科の文章記述は事実をきちんと書くこと

インタビュー2/3

問題数が多く、リード文は長め。読む力も必要

貴校の入試問題は、どんなお子さんに入学してほしいのかメッセージが伝わる問題ですね。解答形式も、数値や作図、文章記述などバラエティーで、理科で求められる力を試す問題になっていると思います。

檜枝先生 基礎知識はもちろんですが、与えられた情報を基に考える力、表現する力、図やグラフを読み取る力、できれば図やグラフをかく力のあるお子さんに入学してほしいと思っています。入試問題ではこうした問題を何かしら出題するようにしています。
また、本校の入試問題は問題数が多く、リード文や設問文の文章も長めです。したがって、しっかり読んで、必要な情報を読み取る力、整理する力も求められます。

理科主任/檜枝美和子先生

理科主任/檜枝美和子先生

問2は地学教員の提案からできた問題

入試問題を作る過程で、他の教科や分野の先生の意見を反映することはありますか。

相澤先生 あります。問2がまさにそうで、これは最初はなかった問題です。
食塩の問題は化学分野ですが、地学の教員から、「食塩を化学的に合成する方法と、天然から取り出す方法を出題するなら、視野を広げる問題を出してはどうか」という提案がありました。その後みんなで検討し、追加された問題です。化学の教員だけで化学の問題を作っていたら、問2はなかったと思われます。

檜枝先生 毎日料理に使っている塩がどのように作られているのか、社会的なところまで目を向けてくれたら、理科の教員としてはうれしいですね。

主語がない言葉足らずの文章記述が目立つ

檜枝先生 受験生に求めている理科の記述力は、中学生でもそうですが、「事実をきちんと書けること」です。理科では、文学的な表現は必要ありませんし、長文や難しいことを書くことは求めていません。シンプルに、事実をきちんと書ければ十分です。
気になるのは、全般的に「言葉足らず」の解答が多いことです。「何が、どうした」という主語・述語の関係がはっきりしておらず、わかりにくい文章になっています。
例えば「大きくなった」だけでは、大きくなったのはAなのかBなのか、あるいは、どちらがより大きくなったのかわかりません。主語がなければ点数をあげられません。受験生本人は分かっているので主語を省略してしまうのでしょうが、それでは読み手には伝わりません。
理科の答案に見られる言葉足らずな文章記述は、教科を超えた課題ではないかと思います。入試説明会などでも、「文章記述は『何が、どうした』がわかるように」ということをどの教科でも説明しています。この点は普段から注意して練習しましょう。
人生は記号選択や穴埋め問題のようなわけにはいきません。自分で考えて、自分の意見をきちんと伝えられるようになってほしいと思います。

白百合学園中学校 図書室

白百合学園中学校 図書室

インタビュー2/3

白百合学園中学校
白百合学園中学校1881(明治14)年にカトリックのシャルトル聖パウロ修道女会を設立母体として創立。校名に冠している白百合の花は聖母マリアのシンボル。「キリスト教の精神に根ざした価値観を養い、神と人の前に誠実に歩み、愛の心をもって社会に奉仕できる女性の教育」が教育目的。勉強だけではなく部活動も委員会活動も行事にも力一杯取り組みながら、この目的達成を目指すのが白百合学園の教育方針である。校訓である「従順・勤勉・愛徳」の精神をあらゆる場で実践する。
多くの文教施設に囲まれ、緑豊かな靖国の森と隣接し、九段の閑静な住宅街に厳粛で落ち着いた風情が漂う。聖堂、講堂、図書室、体育館など施設・設備は充実しており、校内は整然とした美しさを保つ。併設の大学はあるが、純然たる進学校としてのカリキュラム編成。当然学ぶべき基礎教養を身につけることが、結果として進学実績を高めている。高2から大幅な選択制に。難関大学への現役合格率は高い。理系志向も強い。
一日は朝礼での祈りに始まる。社会奉仕も行う小百合会、ボランティア委員会などの活動は盛ん。クリスマスの時期に1日かけて、全校生徒が校内・校外にわかれ、奉仕活動を行う。週5日制だが、土曜日は行事などにあてられることもある。学園記念日ミサ・合唱祭、高原学校、球技スポーツ大会、学園祭、クリスマスミサなど行事も多種多彩。「修養会」では、心静かな祈りや講話、友人との話し合いなどを通じて、人生の根本問題を深く考え、自分で自分の心を育てる喜びの体験をしている。