シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

麗澤中学校

2016年05月掲載

麗澤中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.道徳を重んじる学校。教員志望の生徒が多いのも誇り。

インタビュー3/3

道徳で学んだことを実践し、成長する

田邊先生 本校では道徳の授業をとても大事にしています。高校にも道徳の授業があります。ただ、学んだことを、家に帰ったら忘れた、というのでは意味がありません。寮はそれを実践する場。教育寮なので、学校で学んだことの実践を繰り返し行うことにより、成長していると思います。一貫生も、そういうことを理解して、高校生になったら寮に入りたいという子が毎年います。

僕が言うのはおかしいですが、自宅から通えるのに「寮に入りたい」という中3はすごいと思います。また、「先生になりたい」という生徒が多いことも誇りです。そういう意味では、先生方の思いが生徒に通じているのだろうと思います。

 地歴公民科/田邊時久先生

地歴公民科/田邊時久先生

文理の志望者数に大きな偏りはない

文理の割合はいかがですか。

田邊先生 年によって違います。今年は理系が多いですが、私が送り出した昨年は文系のほうが多かったです。

昨年、文系が多かったのは、先生の影響ですか?

田邊先生 自分の影響だとは思っていませんが、センターの日本史が、例年に比べて非常によかったんですよね。その学年の担当者として、胸をなで下ろしました。

全クラスの授業を担当するのですか。

田邊先生 本校(高校)には、難関国公立大をめざすTKコース、難関私大・国公立大をめざすSKコース、英語に特化したILコースがあります。コースごとに内容が異なるので、高校はコース別の担当となります。中学もアドバンスト叡智コースとエッセンシャル叡智コースの、2つのコースに分かれていますが、こちらはコースに関係なく1学年2名が、それぞれ2クラスずつ担当しています。

学年担当の教員同士で授業の内容をしっかり共有

田邊先生 2名の教員の間で内容や成績に大きな開きがあってはいけないので、板書案を共有します。その上で、タブレットを持っていき、パワーポイントを映して、板書をしながら授業を進めます。説明は個々に任されていますが、話す内容は共有しているので、大きな差はないと思います。高校の世界史も、3名で担当していますが、同じパワーポイントを使っています。使っているプリントも共通です。

授業の下準備が大変そうですね。

田邊先生 今年は一緒に授業を担当している教員が先輩なので、先輩が作ったものをベースにやっています。ただ、日本史は僕が専門なので、意見を取り入れてもらっています。

たとえば「大阪」の「さか」は、中学の教科書ではすべて「阪」ですが、高校では、明治より前は「坂」が使われています。それは、明治維新で県政をふるう時に、「坂」という字は土がひっくり返ると書くので縁起が悪い、ということから「阪」に変えたのです。ですから、渋沢栄一が創る「大阪貿易会社」は「阪」ですが、大坂城は「坂」なのです。そういう背景から、「高校でとまどわないように、中学から高校仕様でいこう」などという提案をしています。

麗澤中学校 校舎前の中央広場

麗澤中学校 校舎前の中央広場

見たり、聞いたりしながら、興味を深めよう

受験生にメッセージをお願いできますか。

田邊先生 受験問題に埋没しないで、少し広く社会を見てほしいと思います。私は「ブラタモリ」という番組が大好き。歴史の痕跡が今にどうつながっているのか。まさにそれを体験する番組ですよね。そういうことが社会科の学びだと思うので、入試問題をつくる時も授業でも、そこを意識しています。

最近の傾向として、家の中で家族と話をする機会が減っていると思います。僕の場合は両親が高齢だったので、いろいろな話を聞きました。戦争の話を聞いたこともあったので、自分と社会、自分と歴史がつながっていました。高校で高橋是清を勉強して、家で「今日は高橋是清を習った」と話したら、祖母が「ダルマさんね」と言うんです。今も政治家にニックネームをつけますが、僕は知りませんでした。祖母が「ダルマさん」と呼ぶのを聞いて、この人(祖母)も歴史上の人物なんだなと思いました。今春、卒業した高3に、授業で中曽根康弘元首相の話をした時に、「ロン」「ヤス」と呼び合っていたという、私がまだ小学生だった頃に聞いた話を思い出しました。それを生徒に話すと「へぇ~」と言われた時に、僕も歴史上の人になってしまったと思いました(笑)。

このように、社会科は実際に見たり聞いたりして、いろいろな体験ができる教科です。家でもぜひいろいろな話をしてください。生徒にも「習ったことがテレビなどで出てきたら、お父さん、お母さんに聞いてごらん」と言っています。

子ども時代から好きだったことが仕事になっている

田邊先生 余談ですが、僕の父は漆職人でした。僕は3人兄弟の末っ子で、誰も父の仕事を継がないので、プレッシャーを感じていました。ただ、父の技術を絶やしてしまうのは嫌だったので、中3の時に心を決めて「お父さんの仕事を継ぎたい」と言ったら、「歴史が好きなんだろう。だったら、歴史を教える中で、伝統を大事にする人を育ててくれればいい。それでもお父さんの技術は守られていくから」と言ってくれました。そこで「教員になろう」と、腹を決めました。

僕自身も、好きな歴史と学校での学習がくっつき始めたのは高校時代からです。ものの始まりを知りたがるタイプの人間で、「なぜ、女性はスカート、男性はズボンをはいているのだろう」という疑問から、調べていくと「始まりはローマにあった」とか。そういうテレビアニメが好きでよく見ていました。子どもの頃は、好きなことと教科の勉強をつなげて考えることは難しいかもしれませんが、高校、大学と進むにつれて一つになっていったので、自ら興味をもつということも、大事にしてほしいです。

麗澤中学校 制服

麗澤中学校 制服

インタビュー3/3

麗澤中学校
麗澤中学校1935(昭和10)年、法学博士の廣池千九郎により、現在の麗澤大学の前身・道徳科学専攻塾が開校。2002(平成14)年に麗澤中学校が新設され、同じキャンパスに大学・高校・中学校・幼稚園がそろう総合学園となった。
創立者が学問的に体系づけたモラロジーに基づく「知徳一体」を教育理念とし、「感謝の心」「思いやりの心」「自立の心」を育てることを教育方針に掲げる。
麗澤教育のシャワーを浴びて巣立った卒業生たちは、様々な領域で活躍の場を広げている。6年間を「自分自身をみつめ、発見する」「興味・関心を深め、進路につなげる」「進路を選択し、道を拓き夢を実現する」の3段階に分け、それぞれリサーチ、実践体験、情報処理、再構築、そして成果をプレゼンテーションする作業を基礎から学ぶ。
とりわけ、2003年から始まった「言語技術教育」は、全ての学問領域で必要となる「聴く・話す・読む・書く」を総合的に鍛える麗澤ならではの教育。中高一貫カリキュラムの1年から4年次を通して、グローバル社会で通用するものの考え方、そして、自らの考えを主張できる発信力を研鑽していく。
「よりよく学ぶためには自然の中で心を癒すことが必要」という創立者の信念に基づき、47万平方メートルの広大な校地は緑豊かで自然がいっぱい。グラウンド3つ、体育館2つ、テニスコート6面、ラグビー場(人工芝)、武道館、寮(高校のみ)、メディアセンターや9Hのゴルフコースなど施設は申し分なし。