出題校にインタビュー!
市川中学校
2016年03月掲載
市川中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
3.歴史は現代とのつながりを意識して教える
インタビュー3/3
昔の暮らしぶりが想像できる例を紹介
相馬先生 私は中学で歴史を教えています。授業では歴史が「遠い昔のこと」になってしまわないように、食べ物や生活様式など当時の人たちの暮らしぶりが想像できて、身近に思える例を示すように心がけています。
例えば現代はメールやLINEでいつでも簡単に連絡できます。でも、昔は時間も手間もかかりました。どのように手紙のやり取りをしていたのかを考えてもらいますが、今の生徒にとって「手書きの手紙」というのは新鮮なようです。そうした身近な例を出すと、「今と同じ」「今とこんなに違う」とわかるので、生徒は興味を持ってくれます。
市川中学校
定期試験の振り返りで記述の読解力を鍛える
相馬先生 中学の定期試験では3〜4行記述させる問題を出すようにしています。試験の振り返りで、「設問文でこう聞かれたら、資料のココとココを書かないと設問の要求を満たせないよ」というように解説しています。
最初は戸惑っていた生徒も、「こうした聞き方のときは、これについて書かなければいけない」と読解のコツをつかんでいきます。資料1、資料2、資料3があれば、触れなくてもいい資料があるわけではなく、すべて盛り込まなければならないなど、試験問題で具体的に解説すると生徒は実感を持って学んでくれているように思います。
グループワークを興味・関心のきっかけに
川崎先生 比較的時間に余裕のある中学ではグループワークやディベートなどのアクティブラーニングを取り入れるようにしています。教科書に載っていないことも取り上げるので、「こんなこともあるんだ」といろいろな発見があると思います。それが興味や関心を持つきっかけになれば、高校に上がったときに自分で調べたり、本を読んだりして自発的に学ぶようになればと期待しています。
相馬先生 中学では学期に1〜2時間、グループワークを行っています。生徒が持っている資料集の中からテーマを決めて、班でまとめて発表してもらいます。先日は、鎌倉時代と室町時代の農村風景の違いについて話し合ってもらいました。室町時代になると人が多くなって作業を指示する人が出てくることから、惣村(自治体)の話につなげます。
同じ資料を使っても班によって発表内容が微妙に違います。「ここを取り上げたのは着眼点がいい」「ここはもう少し説明が必要」などとアドバイスします。どのように情報を読み取り、整理して活用すればいいか、生徒がグループワークをきっかけにつかんでくれればと思います。今後はこうした機会をもう少し増やしていきたいですね。
市川中学校
模擬裁判は実際の法廷で行う
相馬先生 中3の公民の模擬裁判もアクティブラーニングの1つです。裁判所も見学しますが、実際の裁判所(千葉地方検察庁 特設模擬法廷)で行うので、生徒は裁判をリアルに感じると思います。
弁護士の先生が被告人の役で、生徒たちが裁判官、裁判員、検察官や弁護人の役でロールプレイングします。裁判終了後、各グループに分かれて意見交換し、判決を決めます。
18歳選挙権が今年夏の参院選から適用されるので、模擬選挙も考えています。
少し物足りないくらいの方が自分で考えて動く
相馬先生 社会科、特に歴史の授業は受け身になりがちです。板書を写して大事なところを覚えて終わりになっているように思うので、もう少し自分から考える姿勢を養いたいですね。
川崎先生 社会科は残念ながら考える教科とはとらえられていません。それは教員が与えすぎているせいもあると反省しています。
例えば板書を完璧にせず、「ここは自分で調べて」と少し突き放してみる。少し物足りないくらいの方が、生徒は自分で考え自分で動くのかもしれません。
点が取れるかどうかにとらわれすぎず、「おもしろいから知ろうとする」「知ることで楽しくなる」ということも学ぶ価値として大切にしてほしいと思います。
市川中学校
批判的な視点で物事を見られるようになろう
川崎先生 生徒には教科書に載っていることや今まで習ったことが、果たして本当なのか疑ってほしいですね。教員の話を100%鵜呑みにせず、「こんな見方もあるようですが」と突っかかってくるくらいでいい。ただ、ここ3〜4年、生徒が従順でおとなしくなっているように感じます。世の中に対して「本当なの?」と批判的な目を持ち合わせてほしいですね。
高森先生 古今東西の哲学を学ぶ講座「市川アカデメイア」では、参加した生徒(高2)たちは自分の考えをしっかり述べていました。普段は周りに遠慮しているのかもしれませんが、本校の生徒は、自分なりの思いを内に秘めていて、話すべきときに話せるだけのものを持っていると思います。
インタビュー3/3