出題校にインタビュー!
本郷中学校
2016年02月掲載
本郷中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
3.自分で考え、生徒同士が学び合う文化
インタビュー3/3
実験もあくまで生徒主体
小杉先生 本郷の理科では、実験や観察を通して生徒が主体的に学ぶ姿勢を身につけられるような授業を心がけています。
実験の過程で化合物ができるなら、どんなものがどれくらいできるかを想像しながら実験を進められるようになるには、失敗してもいいからとにかく自分で考えてやってみることです。実験の経験を積み重ねることで、「こうなるだろう」という想像力も養われていきます。
実験中、教員は見回りはしますが、ほとんど口出しはしません。実験は4人1組または2人1組で、役割分担をして進めています。結果の考察についても「自分はこう思う」と話し合っています。予想と違う結果が出たら、なぜそうなったのか、行った作業や手順と照らし合わせて原因を考えてもらい、どうすればうまくいくかを検討するよう促しています。
北原先生 本郷には、生徒同士が学び合い、教え合う文化があります。2014年に完成した2号館に、学びの共有スペースとして「ラーニング・コモンズ」を設けました。開放的な空間で、グループ学習やディスカッション、ミーティングなどが活発に行われています。
校長/北原福二先生
制限があるから創意工夫が生まれる
北原先生 「文武両道」「自学自習」「生活習慣の確立」の3つが、本郷が貫く3つの教育方針です。
本郷は文武両道を目指す学校です。部活動は中学が週3日1日2時間以内、高校は週5日1日3時間以内と決められています。限られた時間や環境の中で効率よく練習するにはどうすればよいか、部員同士でよく話し合って工夫しています。部活動での経験が学習や日常生活の時間の使い方にもつながります。
本郷独自の取り組みの「本数検(本郷数学基礎学力検定試験)」と「本単検(本郷英単語力検定試験)」は、自学自習のきっかけになります。どちらも始業式の日に試験を行うため、自分で目標を設定し、長期休暇中にどのように準備すればよいか自己管理能力が鍛えられます。
生活習慣の確立には「生活記録表」を活用します。中学生は自己管理できているわけではありませんが、高2、高3になると、睡眠時間の確保など生活時間をうまくコントロールできるようになります。時間管理能力は社会人になって非常に役に立つはずです。
仲間の力になりたい、仲間の期待に応えたい
北原先生 本校は中学卒業時点で大多数の生徒が英検準2級を取得、2級も学年の2~3割の生徒が取得します。これも、本郷の学び合い、教え合いによるとろこが大きいといえます。
3級から面接がありますが、3級に合格した生徒が“面接官”になって模擬面接を7〜8年前から行っています。教員は時間設定だけで内容は生徒に任せています。
面接官役の生徒はどんな回答にも応じられるように、上のレベルの勉強をして備えます。クラブの仲間や後輩にはぜひ受かってほしい。だから熱心に教えています。受検する生徒もその期待に応えようと、懸命に受け答えします。
このように、本郷には仲間や先輩という良き手本が身近にあります。学習にしても、部活動や学校行事においても生徒間で話し合い、学び合っています。生徒たちはできるだけ自分たちの力でうまくやるにはどうすればいいかを考えています。
中学2年生が中学1年生を教える「合同授業」もそうですが、学び合い、教え合いができるのは、既に部活動などで人間関係が築けているからです。先輩・後輩の縦のつながり、仲間同士のつながりが強いというのも本郷らしい文化と言えるでしょう。
本郷中学校 グラウンド
「自分で考え行動する力」を養う6年間
北原先生 本郷では、教員が生徒を叱ることは滅多にありません。生徒が自分で考え行動するように、「待ち」の姿勢を貫いています。
例えば、宿泊行事で朝礼の集合に寝坊したグループを、頭ごなしに叱ることはまずありません。いっそ叱ってくれた方が生徒はラクでしょうが、教員は生徒からの反省の一言をじっと待っています。だからこそ、「みんなを待たせてしまってまずいことをした」と深く反省し、同じことを繰り返すまいと思います。今度はどうすればいいか自分たちで考えますから、教員が一喝するよりよほど効果があります。
他の生徒も「声をかけてあげればよかった」と自分たちができることを考えます。自分だけよければいいのではなく、全体がよくなるにはどうすればよいかを考えられるようになるので、はるかに生徒の力になります。
本郷は、学校生活のあらゆる場面で「自分で考え行動する力」を養い、次世代を担うたくましいリーダーを育てます。
インタビュー3/3