出題校にインタビュー!
晃華学園中学校
2015年12月掲載
晃華学園中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
1.覚えた知識を身の回りの現象と結びつけるのが理科の醍醐味
インタビュー1/3
生活の中で日の出・日の入りを意識する
林先生 受験生は、日の出や日の入り、南中などについてよく勉強しているのと思いますが、そうしたことを実感することが少ない生活を送っているのではないでしょうか。代わりに、私たちは時計の時刻を気にしながら生活しています。そう考えるとちょっと窮屈なようにも感じます。私たちの生活は便利になりましたが、その反面“不便さ”にも目を向けてもらいたいと思ったのが作問のきっかけです。
江戸時代は、日の出とともに起きて日が沈んだら寝るのが一般的な生活でした。実は、私は一時期、日の出とともに起きる生活をしました。朝は日が出て明るくなったら自然と目覚め、体調も良く、朝時間を有効活用できました。冬は日の出が遅く仕事に支障を来すため断念しましたが、これが体にとって自然なんだと改めて思いました。
理科/林美幸先生
江戸時代の一時の長さは年中固定ではなかった
林先生 時計がなかった江戸時代の「一時」の長さは現代の約2時間と言われますが、年中固定ではありませんでした。受験生が「一時=2時間」ということを知っていたとしても、実際はそう単純ではないということに思いを巡らせてもらえたらと思います。
現代の当たり前が昔は当たり前ではなかったということは、現代の当たり前も将来当たり前でなくなるかもしれません。そのことを受験生はこの問題を通して学ぶことができたのではないでしょうか。
林先生 中学受験は暗記型の学習でもある程度カバーできますが、中学、高校、大学と学び進んでいくと、教科書通りではなかったり例外にも直面します。入試問題を解きながら、「なるほど!」「そういうこともあるんだ」と少しでも感激してもらえたらうれしいですね。
晃華学園中学校
知らないこととの出会いをおもしろがろう
この問題は、示された情報と持っている知識を結びつけて考えるところにおもしろさがあります。見たことがないことを知ることをおもしろがれる、興味を持てる受験生は解き進めることができたのではないでしょうか。
林先生 この問題を含む地学分野の大問は全部で8問で、7問目までは知識があれば比較的解ける問題ですが、この問題は受験生の答案を見ると、総合力が問われたと思います。文章、図と表、知識すべてを活用して解くというのも最終問題らしい手応えのある問題だと思います。
この問題の正答率は、問1が38%、問2は問1よりも低かったです。最後の問題だったため、しっかり考える余裕がなかった受験生もいたでしょうから、正答率が低めになるのは予想していました。誤答の傾向は特に見られませんでした。
この問題の前に、12月22日(冬至)の昼の長さを答える問題があります。問2はこれをヒントに考えられればと思いました。この問題を見て、突拍子もない問題だと驚いた受験生もいたでしょう。文章量も多く、見たことのない図があって「なんだか難しそう」という印象を持ちながらも、冷静に分析して取り組めたかどうかも問題を解くポイントだと思います。
晃華学園中学校 図書館
学習したことを生活に取り込む
林先生 入試では一問一答式に知識を答えるような問題はできるだけ避けたいと考えています。例えば、単に夏至の日を答えさせるのではなく、1年で昼が最も長いのは何月何日か、表から読み取らせています。この問題は大問の2番目ですが、正答率は90%以上でした。ただ、問題が進むにしたがって、合格者と全体の平均正答率が10%以上差がついていました。
最近は十二支が頭に入っていない受験生もいます。その点でも難易度が高い問題になったかもしれません。冬至にゆず湯に入る習慣がなくなっているように、現代の生活と暦にある日本の季節感がかけ離れていることも、正答率が低い一因かもしれません。学んだことを自分の生活に置き換えて考えたり、別の次元の話に想像力を働かせることが本当の学びではないかと思います。
「学んだ知識を生活に置き換える」とは、言い換えると「応用力をつける」ということになりますが、高度な応用力を求めているわけではありません。1つ知ったら、「だからこっちもそうなんだ」というように一歩進められるといいですね。
理科という学問は、いろいろな現象から共通点を見いだして1つの法則を導き出す学問です。1つわかるとこちらもあちらも当てはまることを理解することで学びが深まっていきます。習った通りだけでなく、それを応用して別のことを考えることができるといいなと思います。
インタビュー1/3