今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!
晃華学園中学校
2015年12月掲載
2015年 晃華学園中学校入試問題より
- 問題文のテキストを表示する
次の文章は、江戸時代の時刻の定め方のひとつについて述べたものである。
江戸時代の日本では、太陽の動きを基準に定めた時刻を用いて生活していた。日の出が近づいて明るくなるころから、日が沈んで暗くなるころまでを昼とし、日が沈んで暗い時間帯を夜としていた。そして、昼と夜をそれぞれ6等分して、その一区切りを『一時』とし、干支で表していた。江戸時代の『一時』の長さは現代の約2時間であるといわれることが多い。しかし、正確には昼と夜とでは『一時』の長さは異なっており(図1)、季節によっても異なっていた(図2)。
日の出の約30分前から空が明るくなり始め、日の入りの約30分後には空が暗くなると考えて、表1を参考にしながら次の各問いに答えなさい。
表1 | ||
---|---|---|
日の出 | 日の入り | |
1月21日 | 6:48 | 16:59 |
2月21日 | 6:21 | 17:30 |
3月21日 | 5:44 | 17:55 |
4月21日 | 5:01 | 18:21 |
5月21日 | 4:32 | 18:45 |
6月21日 | 4:25 | 19:02 |
7月22日 | 4:41 | 18:55 |
8月23日 | 5:06 | 18:23 |
9月23日 | 5:29 | 17:39 |
10月23日 | 5:54 | 16:58 |
11月22日 | 6:23 | 16:33 |
12月22日 | 6:47 | 16:34 |
(問1)『一時』の長さが最も短いのはいつか。次の(ア)~(エ)の中から記号で選び、答えなさい。
(ア)春分のころの夜 (イ)夏至のころの夜
(ウ)秋分のころの昼 (エ)冬至のころの昼
(問2)夏至の日の昼の『一時』は現代の何時間何分に相当するか。
また、冬至の日の昼の『一時』は現代の何時間何分に相当するか。
表1を用いて求め、次の(ア)〜(カ)の中から最も近いものをそれぞれ選び、記号で答えなさい。
(ア)1時間10分 (イ)1時間30分 (ウ)1時間50分
(エ)2時間20分 (オ)2時間40分 (カ)3時間00分
中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この晃華学園中学校の理科の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)
解答と解説
日能研による解答と解説
解答
(問1)イ
(問2)(夏至)オ(冬至)ウ
解説
(問1)『一時』の長さが最も短いのは、昼または夜の長さが最も短いときであると言い換えることができます。(ア)~(エ)のうち、現代の時間でとらえたとき、(イ)の夏至のころの夜の長さと、(エ)の冬至のころの昼の長さはほぼ同じくらいになります。しかし、問題文から、日の出の約30分前から日の入りの約30分後までを昼ととらえることが読み取れるため、夏至のころの夜の方が、冬至のころの昼の長さよりも短くなることがわかります。なお、表1をもとに、実際に昼の長さや夜の長さを計算することでも確かめることができます。
(問2)問題文から、昼の『一時』の長さは、日の出の約30分前から日の入りの約30分後までを昼ととらえて6等分することによって求められることが読み取れます。表1より、夏至の日の日の出は4時25分、日の入りは19時02分であることから、現代の3時55分から19時32分までの15時間37分が昼にあたり、15時間37分を6等分した約2時間36分が夏至の日の昼の『一時』となります。同様に、冬至の日の日の出は6時47分、日の入りは16時34分であることから、現代の6時17分から17時04分までの10時間47分が昼にあたり、10時間47分を6等分した約1時間47分が冬至の日の昼の『一時』となります。
- 日能研がこの問題を選んだ理由
江戸時代の時刻の定め方について述べた問題文や図、現代の時刻で日の出、日の入りの時刻をまとめた表から読み取った情報や関連する知識をもとに、江戸時代の『一時』の長さが季節や時間帯によってどのようにちがうのかをとらえる問題です。
この問題では、「1時間の長さは一定である」という、現代での「当たり前」が成り立たない設定のもとで問題文に示された情報(江戸時代の時刻の定め方について述べた問題文や図、日の出、日の入りの時刻をまとめた表)を読み取り、関連する知識(季節による昼と夜の長さの変化)と照らし合わせながら、課題の解決に向かって考えを筋道立てていきます。
この問題を通して、初めて出あうことがらと、これまでに学んできたことがらを結び付けていく過程を楽しみ、そのプロセスにおいて新たなネットワークが構築されることにつながると考え、日能研ではこの問題を□○シリーズに選ぶことにいたしました。