出題校にインタビュー!
自修館中等教育学校
2015年04月掲載
自修館中等教育学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
2.自分で調べたことを2万字の修論にまとめて、発表する体験は、大学や社会で必ず役立つ。
インタビュー2/3
本と接しているかを知りたい
2011年の条件作文は、本とインターネットのすぐれている点を書くという問題でした。今回の問題では手紙を出す相手が出版社ですが、本に思い入れがあるのでしょうか。
鈴木先生 かつて国語辞典と漢和辞典の違いを出したこともあります。意識しているわけではないですが、本を題材にすることは多いですね。小学生が、日頃、どのように本と接しているのかが気になるので、国語辞典と漢和辞典の問題は、その違いを意識させたいという意図があったと思います。本とインターネットの問題は、インターネットが普及した時に、情報の調べ方として、本とインターネットの違いをきちんと押さえておくべきだと思い、出題しました。
海老名教頭 在校生の様子を見ていて、出題しているケースが多いと思います。本とインターネットは「探究」の調べ学習に欠かせません。いろいろなメディアの特徴を知った上で活用するために、授業の中でも辞書の使い方を勉強した上で、国語の授業を始めています。
教頭/海老名豊昭先生
探究を通して国語が好きになっていく
探究の活動を通して、生徒さんが1番伸びるのはどんなところですか。
黒瀧先生 ゼミに携わっていると、1年生の間はインターネットに頼ったり、本からの引用ばかりだったりするのですが、次第に自分で疑問を持つようになり、調べてみようという主体性が出てきます。そして調べているうちに疑問が疑問を生み、さらに主体的に取り組むようになります。年を追うごとに、調べれば調べるほど疑問が出てくるというように、まさに探究そのものになっていきます。
実は本校に入ってくる生徒に、国語好きはあまりいません。どちらかというと算数が好きな生徒が多いのですが、入学してから国語が好きになっていきます。それはなぜかと国語科で話して結論づいたのが「探究」があるからではないかということです。読んで、書いて、発表するということを繰り返し行うことにより、読解力や表現力がついていくのではないかと思っています。
早いうちから新書を体験
黒瀧先生 図書室に新書がたくさん置いてあります。中学生はあまり手にしないジャンルだと思いますが、興味ある分野であれば読んでみようという気持ちになります。「探究」の個人研究の中で、「関連書物が新書の中にあるよ」というと、興味があるので読んでみようという気持ちになるのです。そうすると早いうちに新書を知り、読む体験ができて、他にどんな内容があるのだろうと興味が涌くので、国語科としては新書に手が届くきっかけになるのはありがたいです。
今日も、3年生に「新書を選びに行こうよ」と声をかけ、図書室へ連れて行きました。最近はおもしろいタイトルのものが多くて、例えばジブリの『風立ちぬ』を研究するような、子どもたちの興味を引く新書があります。そういうものをきっかけに、小説以外のものに手を伸ばしてくれればいいと思っています。
鈴木先生 昨年、受けもっていたクラスの生徒に「どんなものに興味があるの」と聞いたら「アイドル」「ももクロ」と言うので、書棚を見てみると「ももクロ」を研究した新書があるのです。すると「借りてみようかな」となる。そういう本でも、彼女にとっては初めての新書体験ができるのならいいことだと思っています。
図書室に新書が揃っているということですか。
鈴木先生 ジュニアの新書はかなりあると思います。岩波ジュニアやちくまのプリマ新書、パンセという、哲学的なことを中学生向けに書いたものなど、中高生向けの新書も充実してきているので、司書の先生が意識してそういうものを揃えるようにしていると思います。
自修館中等教育学校 『探究』
主体性を引き出すことが教師の役割
ゼミをもつ先生は、得意分野のテーマを受け持つケースが多いのですか。
黒瀧先生 基本的にはそうなります。私は国語ですが、受け持つテーマは歴史、世界情勢、平和、税金関係など多岐に渡ります。必ずしもすべてに精通しているわけではないので、生徒たちの発表を聞きながら、純粋に疑問をぶつけて、調べるように促します。
アドバイザー的な役割を果たしているのですね。
黒瀧先生 そうです。2年生あたりまでは、「本を読みなさい」ということが多いですが、3年生になると自分で関連のある書物を見つけてくるようになります。一つのことを調べた時に、これも派生して調べておいたほうがいいだろうと思い始めるのです。
取っつきの悪い生徒さんもいるのでしょうか。
黒瀧先生 それはいますね。ただ発表の場がありますので、その時に「なんでもいいから調べたことを発表してごらん」と言うとなんとかします。そうこうしながら1年くらい見守っていると、これを調べてみようかなというものが固まってきます。
異学年とともに取り組む探究は刺激が多い
海老名教頭 ゼミ活動は上の学年と一緒にしますので、先輩の取り組みがモデルケースになります。コンクールもありますので、それを見て自分だったらどうしようかと考える場面があるので、それも取り組むきっかけになっていると思います。同じ学年だけでは動かない気持ちも、先輩がいることで動くことがあると思います。
ゼミはどのように活動しているのですか。
海老名教頭 全部で27のゼミがあります。1年生は冬までクラスでグループワークをしますが、ゼミに分かれると、各学年5名くらいずつ、1年生から3年生まで、計15名くらいが週1回、1つの教室に集まって活動します。「今週は3年生が発表するよ」というように、日頃調べて、まとめていることを順番に発表し、学年を超えて意見交換を行うこともあるので、上級生も下級生も刺激を受けます。
鈴木先生 上級生と一緒に授業を行うことはまずないですからね。
意欲のある下級生が、先輩に意見するなどというケースもあるのですか。
海老名教頭 探究文化発表会につながる、パワーポイントを使ったプレゼン形式のコンクールがあるのですが、毎年、ゼミで予選を行います。その時期はまだ、1年生はゼミに入っていないので2、3年生だけですが、各ゼミから1名が選ばれて、コンクールでは27ゼミの代表が発表をするのですが、たまに2年生が出てくることがあります。
自修館中等教育学校 作品
2万字の修論は4年生の通過儀礼
途中でテーマを変えたくなる生徒さんもいるのでしょうか。
黒瀧先生 いると思います。4年生になったら2万字の修論を書かなければいけないので、3年生でテーマを変更すると苦労すると思います。変えるなら2年生のうちだと思います。
2万字の文章を書くのは大変ですね。
黒瀧先生 ゼミの中で発表する時にまとめたものをベースに、1年間かけて仕入れた情報を反映させていくので、積み重ねがきちんとできている生徒はそんなに大変ではないです。ただ、どこかしらが抜けてしまったり、テーマが急に変わったりすると、積み重ねが少ない分、苦労します。
中高の間にこういう経験をするので、卒業生と話をすると、大学でレポートやパワーポイントを使ったプレゼンなどの課題が出ても「楽にこなせる」と言ってくれます。
鈴木先生 修論を提出する時期が迫ると、みんな形相を変えて必死にやるので、それが終わると一つ肩の荷を下ろせたというか、達成感を得られるようです。高校受験がないので、その分、2万字という課題があるのはいいことだと思います。生徒と面談すると「修論をやり終え自信になった」という話をよく聞きます。
黒瀧先生 たしかに4年生にはちょうどいい通過儀礼ですね。やりきったという達成感は大きいと思います。
インタビュー2/3