出題校にインタビュー!
淑徳与野中学校
2015年02月掲載
淑徳与野中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
1.世の中の動きをつかむ興味・関心のアンテナを張ろう
インタビュー1/3
インターネットの普及がもたらす経済活動のメリットを考える
味沢先生 インターネットの普及によって、私たちの生活は一変しました。受験生にもそうした社会の変化に関心を持ち、また理解してほしいと思っています。
インターネットの取り上げ方はメリット・デメリットに偏りすぎないように留意しました。当初はスカイプやグーグルアースなど利用者の利便性を向上させるツールを取り上げようとしました。しかし、本校は携帯電話の所持を禁止していますし、安易な使い方を問題視する考えもあります。そこで、時差を利用した経済活動が広がっていることから、グローバリゼーションをとらえる問題にしました。
中学入試で聞くことは限られています。とはいえ、基礎的なことを聞くだけでは受験生も解いていてもつまらないでしょう。入試問題を通して、社会科は単なる暗記教科ではないことに気づいてほしいし、現代社会の問題を取り上げることで、「こんな見方があるのだ」という気づきの機会になればと思って作問しています。
社会科/味沢先生
理由を『2つ』答える問題
味沢先生 設問文に「時差を利用して」というヒントがあるので、これについては書けたのではないかと思います。ただし、問題は理由を「2つ」挙げることを求めています。理由を1つではなく2つ挙げるようにしたのは、中学で教えている教員の提案です。
2つ目の理由は、書いて間違えたというよりも書けなかった答案が多かったですね。この問題の部分点を含む正答率は27%でした。理由をもう1つ書けなかったということは、発想を広げられなかったということでしょう。インド単独ではなく、アメリカとの関係(相違点や共通点)を聞いています。日本とは別の2つの外国を比べてその関係性をつかむことは、予想以上に難しかったようですね。
「職業体験」の様子
日本と中国の関係を、アメリカとインドの関係に応用する
小学生がインドについて知っているのは、「人口が世界第2位」ということくらいでしょう。「人件費が安い国」というと「中国」を連想するでしょう。人件費について、「日本(先進国)に比べて中国(新興国)は安い」という関係性を、アメリカとインドにも当てはめることができるのですが、小学生には難しいですね。
味沢先生 「英語が話せる人が多い」という解答は思ったよりありませんでした。インドがイギリスの植民地だった歴史と結びつけなければいけなかったからでしょう。与えられた情報と持っている情報をつなげる力も求められます。
中2「台湾海外研修」の1コマ
普段から自分の考えを文章化する練習をしよう
味沢先生 論述問題は2問出題しています。ちなみに、2014年第1回入試のもう1つの論述問題は、「徳川氏が、諸大名に名古屋城築城を命じた理由」で、正答率は43%でした。正解のポイントは、幕府と大名の関係性をきちんと理解しているかどうかです。
論述は、用語だけの箇条書きだけでは点数をあげていません。それなりに文章化することを求めています。文章化は一問一答式の暗記学習だけでは対応しきれません。「知っている」から「理解する」ところまで掘り下げて、普段から文章を書いて説明する練習をしておきましょう。
論述問題についてはほとんど何かしら書いてくれています。文章は書き手の考えがよく表れますが、採点していると、中には配点以上の点数をあげたいと思うような答案もあります。この時点で「書く力」があるお子さんが上位に位置するわけではありませんが、そうしたお子さんは学力が伸びる余地があると思います。
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