シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!

淑徳与野中学校

2015年02月掲載

淑徳与野中学校【社会】

2014年 淑徳与野中学校入試問題より

今、インドには、アメリカの消費者のためのコールセンター(電話窓口)が置かれるようになりました。とくに、IT関係では、時差を利用して消費者のニーズに素早く対応して、ソフトを完成させたり、必要な商品を送るサービスが行われています。

(問)インターネットの普及は、グローバリゼーションといわれる世界経済の大きな変化を生み出しました。上の文章がその例の1つです。このようにアメリカの消費者のためのコールセンターがインドに置かれた理由を2つあげて説明しなさい。

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この淑徳与野中学校の社会の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)

解答と解説

日能研による解答と解説

解答例
  • 時差によって、アメリカが夜中の時間帯に仕事ができるから。
  • 英語が話せる人が多いから。
  • インドは労働力が豊富でしかも人件費もアメリカより安いから。
解説

資料の中に「時差を利用して消費者のニーズに素早く対応して、ソフトを完成させたり…」という部分があります。これをコールセンターに応用した場合、アメリカが夜中の時間帯でも消費者からの電話に対応できるからという理由が考えられます。理由を2点述べるとなると、もうひとつはインドについて自分が持っている知識と設問の情報とを結びつける必要が出てきます。解答例では、インドに英語を話せる人が多い点と、インドの人口が多く人件費が安い点をコールセンターの仕事に結びつけました。解答例は3つのせてありますが、実際には2つの点にふれて説明すれば正解となります。

日能研がこの問題を選んだ理由

インターネットの普及によって世の中がどのように変化したのかということは、現代社会のさまざまな課題を探る上で非常に重要な視点です。中学入試で、このようなIT技術や情報化による社会の変化を題材とする学校は多いのですが、時差と経済のグローバリゼーションそしてインターネットの関係性を問う問題はこれまでありませんでした。その意味で非常に新しく、子どもたちにとっても新たなものの見方を入試のその場で体験できる問題だと思います。

この問題の解答を書く場合、特別な世界地理の知識が必要なわけではありません。問題文や資料にしめされている情報に、インドについてこれまで学んだことがらをつなげて考えることで、解答することができるでしょう。

2つあげてという問いも非常に工夫されていると感じました。2つ目を考えるためには、どうしても問題に書かれていること以外の知識を関連づける必要が出てきます。つまり、読み取る力、知識を関連づける力、簡潔に表現する力を同時に試すことのできる問題だともいえるでしょう。

このような理由から、日能研ではこの問題を□○シリーズに選ぶことに致しました。