出題校にインタビュー!
桜美林中学校
2014年11月掲載
桜美林中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
2.外に目を向ける前に自分の国のことをまず知ろう
インタビュー2/3
記述問題は質問の条件に沿って答えること
高下先生 (問2)は「ものすごく広い畑でたくさん作っているから」といった内容の解答が非常に多かったですね。中には「外国のものの方が安い」ではなく、「日本のものの方が高い」ことに視点を置いた答案がありました。どちらも同じことですが、設問に「文の流れに合うように」と指示していますから、ここでは「外国のものの方が安い」ことに視点を置いて書いてもらいたいので、「日本のものの方が高い」理由では満点はあげられません。
社会科/高下先生
日本の食文化や歴史を踏まえて書けるとなおよい
(問3)は「日本の農家を守るため」という解答が多かったのではないかと思います。しかし、日本の農家を守るためなら、野菜の生産者や酪農家も同じではないか。ここではお母さんが「お米は特別」と言っていることを踏まえた解答が求められているのではないでしょうか。(問1)とは解答の自由度が違うでしょうか。
高下先生 おっしゃるとおり、「日本の農家を守るため」という解答が多くありました。小学生の答えとしてはそれで満点です。しかし、公民だけを学習しているわけではありませんから、米作りが日本の農業にとってどれだけ重要であるかは、地理や歴史の学習でとらえていると思います。作問者としては、日本がいかに米作りを大切にしてきたかをとらえて「日本の米を守る」ということ、すなわち日本の食文化や歴史を踏まえて書いてくれるとなおいいです。
「食文化」や「歴史」といった言葉を使っていなくても、「米は昔から日本の農業の中心だった」というように、今だけでなく「ずっと前から」という視点で日本の米作りを捉えた解答は、少数でしたが印象に残っています。そうした答えは二重丸をあげたいくらいです。
専門用語を自分なりに説明できれば十分
高下先生 入試では、基礎知識をしっかり習得しているかどうかを第一に見ます。基礎知識を問う問題はおもしろくない、つまらないかもしれませんが、地道な努力を惜しまず取り組んできたことが発揮できるような問題を出題します。その上で問1のように、その場で考えてもらって受験生の意見を聞く問題も出したいと思っています。
受験生に求める社会科の記述力としては、質問にきちんと答えられるかどうかです。何を聞いているのか、その事実を説明すればいいのか、自分の意見を加えることが求められているのか。それにはまず問題文をきちんと読むことです。事実から外れていたり、キーワードが抜けていると点数をあげるのは難しいですが、専門用語そのものを書けなくても、その内容を説明できていれば十分です。
この問題で言えば、「需要量が多い」という用語を使わなくても、「大勢が買いたがっている」などと表現できれば、そこで優劣はつけないということですね。
高下先生 そうです。自分の言葉で書こうとしている姿勢は評価したいと思います。
桜美林中学校
まず、自分の国のことを知ろう
ここ3年くらいの傾向として、公民分野は、この問題のように食に関すること、あるいは食料問題をよく取り上げていますね。また地理分野は、統計資料から都道府県名を答えさせた後に、解答欄の日本地図にその都道府県の位置を示す問題を出題しています。パターン化されていることから、社会科を「このように学習してほしい」という意図があるのでしょうか。
高下先生 入試では身近にある事柄を題材に考えてもらうようにしているので、子ども達にとって身近な食べ物は取り上げやすいテーマであるのは確かです。
世の中では盛んに「国際化」と言われていますが、意識が外にばかり向いているような気がします。外に目を向ける前に、まず日本人なら知っていて当たり前のことを大事にしてほしいし、そのことは中学生や高校生を教えていて強く感じます。
地理は地形や立地に根拠を見つけることができる
都道府県名とその地図上の位置はセットで正解しなければ理解しているとは言えませんが、採点はどうなさっていますか。
高下先生 入試では、前の問題を間違えると連動して次の問題も自動的に間違いになるような出題は避けるようにしています。地理分野は、地理という教科の性質上、都道府県名や地名などは地図上の位置と結びつけて覚えてほしいと思います。
受験生は、日本で一番長い川は信濃川、越後平野は米作りが盛んということは暗記していますが、信濃川と越後平野の地図上の位置は案外覚えていません。なぜ米作りが盛んなのかを、地図からしっかり押さえたいですね。
桜美林中学校
インタビュー2/3