出題校にインタビュー!
東洋英和女学院中学部
2014年10月掲載
東洋英和女学院中学部の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
3.数学のもとになるのが小学校の算数。知識をもとにたくさん考えよう。
インタビュー3/3
力が違うのは当然。だから比べない
入学してきた生徒さんは、数学が好きという印象ですか。
井上先生 いえ、好きだとは思っていないです。私は算数も数学も好きになれとは言わないです。ただ、嫌いだからできないというのはおかしいと思います。中学生のときに、なにかしらに興味を持ったり、できると思える分野を持ったりできれば、高校の数学につながっていくので、嫌いでもいいからそこはやってほしいと思っています。
小学部から入ってくる生徒さんと、中学入試を経て入ってくるお子さんに、違いは感じられますか。
井上先生 私はこのところ中1、中2、中1、中2と繰り返し担当していますが、だれが小学部で、誰が中学入試でという情報は頭に入れないようにしています。おそらく違いはあると思います。計算力にも幅がありますし、読解力においても(中学入試の生徒は)訓練を受けてきていますから、その差は大きいと思いますが、それを意識すると均等に教えることができないので、そういうことは考えずに「新しい数学をやる」「これまで学んできた算数に上乗せしていく」ということしか最初は考えていないですね。取り組ませる課題も同じです。できない子には、それに応じた対応をしています。
東洋英和女学院中学部/先生
数学が苦手な生徒には数学検定で力を確認させる
割合はどのくらいですか。
井上先生 小学部から入学する生徒が約80人、入試を経て入学する生徒が約110人です。学校の方針としては「比べない」。スタートラインは同じという意識で取り組んでいます。
数学が苦手なお子さんにはどんなフォローをしていますか。
井上先生 もちろん個別のフォローもしますが、数学検定を勧めています。授業の進度は速いのですが、中1だったら5級、4級、中2だったら4級を取得して、3級にチャレンジするというように、目標を持たせて「私はここまでの基本的な能力はあるんだ」ということを植え付けるようにしています。
まだ始めたばかりですが、子どもは点数が取れる教科を得意だと思い、好きになる傾向があります。数学検定がその子の自信になれば次につながると思うので、成果を期待しているところです。
推薦に頼らず入試を受ける生徒が増えている
高校に上がっての文理選択はどんな状況ですか。
井上先生 大学入試で数学を使う生徒が2割から3割です。
楠山先生 理系は毎年、4分の1弱です。
井上先生 平均は40~50人。多い年で60人程度です。
楠山先生 指定校推薦の枠もたくさんありますが、使う生徒の数は減っています。積極的に受けに行っています。自分の志望する学部、学科が指定校にはないということですね。合格すればいいというのではなく、自分のやりたいことが優先されているということです。
井上先生 単に指定校の枠を使って合格者の数を増やそうということはしていません。本校では生徒が選ぶのです。それが本当の進路指導だと考えています。学校説明会などでもご案内しているように、中3から将来に目を向けて進路指導をしていこうというのが学校の方針です。
理系の進路としては、薬学部、医学部、理学部、それ以外の理系。数学科に進む生徒は少ないですが、受験で数学を使う生徒はいますので、しっかり対策は行っています。
教頭/楠山先生
SGHアソシエイト校に認定された
最近のトピックがあれば教えてください。
楠山先生 SGHアソシエイト校になったことでしょうか。昔から「世界に通用する、教養ある女性を育てる」ことを大切にしている学校で、方針が一致しているということで、応募しました。バングラデシュに寺子屋を建てるというプロジェクトも生徒会主導で進めて5年になります。2014年度に、新たに始まることといえば、高1の1~3月あたりに、2~3カ月間の短期留学です。英語圏の学校に10人選出して派遣します。
考えることは楽しいことだと思える子に育ってほしい
では最後に受験生へのメッセージをお願いします。
塩田先生 数学に関しては、意欲をもって楽しんで勉強してきてほしいです。くじけないで、あきらめないで、とことん考える。その「考える」ところを楽しんで経験してきてほしいですね。そしてわかる喜び、できる喜びを大切にしていただきたいなと思います。
楠山先生 それは数学だけじゃないですよね。何事においても好奇心をもって、いろいろなことと向き合って、それがなぜこうなっているのかということを自分で考えてほしいです。意欲をもって、自分で考えるということが大切ですね。
東洋英和女学院中学部
自分の思考に即して手を動かせるようになろう
井上先生 算数では教科書どおりのことをきちんと学んできてほしいと思います。高校生によく言うのは「具体化しなさい」ということ。やみくもに手を動かすのではなく、自分の思考に即して手を動かすことができる。それが数学でいうところの「具体化」であり、その過程で楽しみを味わうことを大事にしてほしいと思います。
知識がない人はなにもできません。ですから、小学生が大切にしなければならない知識を6年間で学んできてください。そして、しっかりとした基礎知識のもとでいろいろなことをやってみましょう。すると読解力にも論理的思考力にもつながって、考えることが楽しくなりますよ。
インタビュー3/3