子どもたちが9歳前後に迎える大転換期

9歳前後、子どもたちは大転換期を迎えます。自分中心の世界から抜け出し、「自分以外の人=他者」の存在を意識し始める。自分と他者の違いを感じ始める。「初めて」だからこそ、生まれる不安やストレス。成長していくプロセスで、誰もが必ず直面するこの問題を、「9歳の壁」「9歳の危機」などと呼ぶ人もいます。

この「9歳の壁」という言葉の命名は、東京教育大学付属聾学校長の萩原浅五郎氏といわれています。「聾学校の子どもたちは小学校低学年(9歳頃)までは健聴児と同じように発達はするが、高学年になってくると学習が具体的なものから抽象的な内容になるため、学習面や言語面の発達において乗り越えられない壁につきあたることが多い」というものです。それが一般的にも使われるようになりました。おそらく発達心理学で言われる「大きな節目」の時期に関係しているからでしょう。

この「壁」にきちんと向き合うこと、しっかりと乗り越えることは、その後の成長や学びに大きな影響をもたらします。そういう意味で、「学びの大転換期」でもあるのです。

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  1. 9歳の壁
  2. 子どもたちが9歳前後に迎える大転換期
  3. 大転換期の前に——
  4. 大転換期を迎えて——