聖光学院中学校高等学校は、JR京浜東北・根岸線の山手駅を下車して、徒歩8分ほどの距離にある学校です。
神奈川県の男子校として、憧れる子どもが多い私立中学高等学校のひとつにあげられるでしょう。入試問題も、どの科目ともよく練られた、歯ごたえのある問題がそろっています。
校長である工藤誠一先生は「入試出題のポイント」でこのような言葉を述べています。
「中学入試問題は、どういった力を身につけてほしいのかという学校からのメッセージでもあり、その学校のスクールカラーを知る上で非常に大切なものです。この入試問題解説を通して本校の特色を感じ取っていいただき、お子さんの志望校選択の参考にしていただければ幸甚です。」
そうです!入試問題は受験生の努力を見るためのものでもありますが、どのように学んでいくか、自ら学び続ける受験生にとって、羅針盤(らしんばん)にもすることができます。
いくつか例を挙げると、国語では「言葉」についての出題が多くなっています。SNSが発達して情報過多の今の世の中において、人と顔を突き合わせてやり取りをすることが減っていく昨今ですが、聖光学院の入試問題で出題されている言葉は「なんとなく知っているだけでは太刀打ちできないのではないでしょうか。」「普段何気なく触れている言葉について、やり過ごすとなく、貪欲に言葉を吸収してほしい」と明記されています。知っている、聞いたことがある、漢字で書ける、など受験生は日々努力していると思いますが、「意味がわかった上で、その言葉をどのように使うのか」まで求められる、そういう努力を日々惜しまないでほしいというメッセージが込められていると思いました。
日能研の4年生のテキストでもこのようなことを投げかけています。
「私たちはふだんの暮らしの中で、どのくらいの数の言葉にふれているのでしょうか。~中略~『広辞苑』という辞書には二十五万語くらいの言葉が載せられています。人の一生を百年と計算しても ~中略~ 毎日、一つ新しいことばにふれるとしても、出会わない言葉の方が多いほど、言葉は豊かに存在します。」
これだけ豊かに存在する言葉ですから、出あった言葉には興味を持ち、調べ、世界を広げるきっかけにしてほしい…日能研にも共通の考えがあります。
また、算数では、数学を学ぶことを通して、ものの見方や考え方に磨きをかけることが大切だと言っています。
そのためには「何事にも好奇心旺盛で、まずは自ら積極的に手を動かし、情報を整理しながら~中略~粘り強く丁寧に考える、そして分からなければ疑問点をそのままにしないで、友人や先生に質問したり議論したりして納得するコミュニケーションの習慣」の大切さを訴えています。これは受験生に対して、算数で面倒だと思うことを真正面から突き詰めることができてほしいというメッセージなのではないでしょうか。
いずれも、入試問題を作成するにあたって、聖光学院の先生が入試問題にどういう思いを込めているのかを感じられる部分を取り出してみました。
詳しくは聖光学院のホームページを検索して「入学をご希望の方へ」-「中学入試問題 解説資料(過去3年分)」-「入試出題のポイント」をご覧ください。志望校として興味をお持ちであれば、ぜひ、お子様とご一緒にいかがでしょうか。
この記事を書いている筆者本人も聖光学院の入試問題に取り組み、頭を悩ませながらも何度もそのメッセージを受け取ってきました。
12歳の小学生でしか味わえない中学入試を一緒に経験することは、私たち大人にとっても大切な何かを気付かせてくれるような、そんな気がしました。
<これまでの聖光学院中学校のコラム>
2021/06/28(月) 「「みなさんは何色が好きですか?」と問われたら?前編」
2021/07/02(金) 「みなさんは何色が好きですか?」と問われたら?後編」
2021/08/12(木) 「カリキュラムは学校にとって命」
2022/07/25(月) 「ユニークな部活動と『聖光塾』」
≪聖光学院中学校のホームページはこちらから≫
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