■コロナとともに
・コロナ禍でマスクとともに歩んだ3年間でした。日能研に通い始めた2020年2月は、以降3年以上続くコロナ禍の入口に立っていました。香港から入港した大型クルーズ船が横浜に入港し、大黒ふ頭に停泊していたことを記憶していらっしゃる方も多いでしょう。新学期が始まる頃には緊急事態宣言に伴い学校は休校となり、日能研への通塾もZoom授業という初めての試みに切り替わりました。志望校見学の機会もままならず、学校説明会や文化祭の参加チケットは先着順で、さながらライブチケットのよう。チケットが取れずに入場できない志望校へ出向き、在校生の雰囲気だけでも垣間見ようと、学校敷地の外から校内の様子を覗き見たこともありました。
・暑い夏でもマスク着用。マスクは汗ばみ、口の周りは汗疹。それでも汗かき机に向かい、顔を真っ赤にして熱い夏期講習を頑張り切った君。入室からの3年間がコロナ禍と重なったため、最も学校見学の機会に恵まれなかった学年となってしまい、第一志望が栄光学園中学校と固まったのも6年秋のオープンスクールまで待たねばなりませんでした。あまり参考とはなりませんが、多少でも来年以降、栄光学園を目指される皆様の一助になればと思い、少し振り返ってみたいと思います。
■6年春、突然の偏差値10ポイントダウン
・4年次の平均偏差は60前半、順調に成績を伸ばして5年次は平均偏差60後半。算数は得点源、社理も問題無く、このまま御三家も狙えるのではないかと総じて本人任せで、国語についてのみ何らかの対策が必要な状況でした。6年次が始まる頃、おぼろげながら栄光学園にチャレンジすることを意識していましたが、今後大きく国語を伸ばすことは難しいと考えていたので、選択問題で無得点となるよりも部分点を得られる記述問題の出題が多い学校を視野に、新6年2月より記述の強化を開始。正答出来なかったすべての日能研全国公開模試・育成テストの記述問題を解き直し、毎週、ノートを提出して室長や担当講師に改めて添削して頂く対策を始めました。記述問題だけでなく選択問題も誤答分析を実施。なぜ誤った選択肢を選んでしまったかの思考回路を振り返り、誤った選択肢で本文と合致しない箇所を突き止める訓練をしました。(すぐに効果は表れませんでしたが、この営みを地道に1年間続けたことで、合格平均点まで届かないものの、算数含む他教科で挽回できる範囲で苦手の国語で大きく離されない記述力をつけることが出来ました。この記述特訓のみに費やしたノートは1年で3冊になりました。有難うございました)
・さて成績の方は、5年次までは順調に向上していたものの、6年春の日能研全国公開模試で、まさかの10ポイント以上ダウンを経験しました。が、本人と一緒に振返りをしたところ、各教科ともまだまだ深く理解していない分野があるということが分かりました。この6年春の大幅ダウンを良い機会ととらえ、夏期講習が終わるまでは弱点ポイントの補強期間として、社会・理科の5年次以降テストで間違えた設問を蓄積し、繰り返し解くことで、徹底的に弱点の補強に努めました。難関校にチャレンジする以上、正答率の高い設問で取りこぼすことは致命的です。
■夏期講習
・6年夏の夏期講習は通常5コマ、特別講座も含めると8コマある日もあり、体力的にもかなりハードです。ですが、秋から志望校対策が始まるため、弱点を補強するには最後の機会です。ハードな日程にメリハリをつけるため、苦手分野が授業範囲となる日は計画表にマークを入れるなどの工夫をしてもいいかもしれません。また、夏期講習は午後からのため、午前中を効率的に過ごすことも重要で、弱点の補強に努めるとともに、夏が終わるまでに確実にメモリーチェック1回目が終わるよう計画をたてる必要もあります。ただし、詰め込み過ぎも良くないので、毎週日曜は息抜きの日にするなど、メリハリをつけて夏期講習に集中できる計画を立てることが重要です。6年夏の夏期講習はかなりハードですが、この長い期間ペースを乱さずに規則的に過ごすことが学力向上につながります。また長丁場を乗り切るために十分な睡眠時間を確保することも非常に重要です。この時期を地道に乗り切り、受験を迎えるにあたっての基礎学力を定着させることで、秋以降の志望校対策・過去問対策においても、実践問題を通じて実践力を高めていくための礎を築くことになります。
■学校別日特・栄光研究講座と過去問対策
・秋以降は、志望校別の日特も開始され、いつもと違う日能研校舎で志を同じくするライバル達と切磋琢磨することで、徐々に本番に向けた気構えなども醸成されていくようです。この時期、過去問にも着手しなければなりませんが、9月に入った頃には、2月の本番までに過去問を何校/何年分こなせるかおおまかな計画を立てておく必要があります。「第一志望は過去問10年分必須」とよく耳にしますが必ずしもそうは思いません。過去問は傾向をとらえることを優先し、第一志望・第二志望は5年分を目安に可能な範囲で対応と考えれば十分だと思います。10年分こなすだけの時間確保は非常に難しいです。秋以降、さらに日程はハードになりますが、まだまだ受験本番まで半年近くあると考え、毎月、毎週の学習目標を常に明確に維持しておくように努めました。メモリーチェック(社・理)の2回目を10月末まで、3回目を12月末までとも言われますが、こちらもあくまで目安です。志望校の社理の配点によっても力の入れ具合が変わりますし、志望校の傾向によっても、メモリーチェックを回数こなすよりも、過去問や特定分野を強化したことが効果的な場合があるかもしれません。
・過去問へのチャレンジも取り組む順番を考慮すると良いかもしれません。10月時点でいきなり第一志望校の過去問に挑んでも合格ラインの半分にも届かないでしょう。まずは抑えの学校の得意科目から気軽に取り組んでみるなど、これまで日能研で学んできたことが、過去問においても確実に得点に繫がると自信をつけながら進めていくのもひとつのやり方かもしれません。最終的に、抑えの学校から取り組み始め、第一志望の栄光学園は5年分のみ実施。算数が難化した2022年を除いては、合格者平均点をクリア。12月以降、直前に向けては時間も限られているので、合格者平均をクリア出来ている以上は、5年分で手を止めて、日能研「栄光研究講座」テキストを時間測って解き直すように軌道修正しました。
■受験直前から本番まで
・正月休みは、授業がないために気が緩まないようにすることも大切ですが、詰め込みすぎないよう空気を入れ替えることも必要です。我が家では、冬期講習もないお正月は散歩を兼ねて受験校の正門に赴き、1か月後に控えた本番に向けてイメージを高めるようにしました。
・さて、順調に合格者平均点をクリアしていたはずの栄光学園の過去問ですが、1月押し迫った直前に取組んだ前年2022年の算数は難問だったようで、合格最低点にも届かず間際で焦りましたが、室長に相談したところ、算数の担当講師が本番直前の忙しい時期にも関わらず、授業の合間と授業後に個別にご指導して下さるとのことで、大変ありがたかったです。本番直前の緊張ピークに達した時期での、プリント裏面を活用した熱のこもった個別ご指導メモは、息子曰く「日能研での最後の宝物」だそうで、今でも大事に保管してあります。今後、中学高校と成長していくなかで、挫折することもあるでしょうが、そのときは、この白熱メモを見て、あの本番直前の緊張感の中で、合格最低点に届かずとも諦めずに頑張り切れた自分を思い起こして欲しいものです。
・栄光学園の本番試験は、国社理算の試験順です。3教科受け終わって疲れた頭で最後の高難度の算数に挑まなければなりません。2月2日の本番試験後、「3教科目の理科のグラフ作図を回答できず、このままでは落ちると思ったので、最後の算数は力出し切った。2022年に続いて難しかったけど、考え抜いたし、手動かし続けて答案書き切った」と清々しい表情でしたので、結果はどうあれ本人ともども悔いなくやり切ることが出来たと実感できた瞬間でした。翌2月3日の合格発表、講堂前階段を一足飛びに駆け上がり、合格発表掲示板の前から、栄光坂を登り息切れている私達を見下ろして「番号あった!」と大きく両腕で○を作った息子の大喜びする姿は今も脳裏に蘇ります。第一志望校合格という最高の結果となり、これまで日能研を信じて、室長はじめ担当講師の皆様のご指導賜りながら学びを進めてきて良かったと言えた瞬間でした。
■最後に
・富士山を望む広いグラウンド、屋外に出るまで10秒の清風吹き抜ける校舎、分け隔てる壁の無いオープンな職員室など栄光学園は魅力で一杯です。来年以降、受験をお考えの皆様には是非一度ご見学に足をお運び頂ければと存じます。息子には、コロナ禍で思い通りにいかず辛かった3年間の鬱憤を晴らし、腹の底から大声出してあの広大な敷地で躍動してくれることを願っています。入学後は大好きな鉄道研究会にも入って新しい仲間達と出会うことでしょう。♪栄光に向かって走るあの列車に乗って行こう~♪というナンバーがありました。第一志望合格に向かって走り続けたその列車から降車し、乗り換えの時間となりましたが、ここまでの3年間の道中、ときに笑い、喜び、或いは悔しい思いもして、喧嘩しながらも、見たこともない景色を車窓から見せてくれた息子に感謝です。最後になりますが、この拙稿が少しでも来年受験の皆様の一助となりましたら幸いです。志望校行きの日能研列車に乗って、来春、皆様が目的地に到達されることを祈念致しております。
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- 今後も寄せられたドラマを、各カテゴリーに随時アップしていきます。