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パネルディスカッションレポート

私立中高一貫校 帰国生OB&OGによるパネルディスカッション 第一部
帰国子女相談会 in 実践女子学園 (2011.7.24取材)

私立中高一貫校 帰国生OB&OGによるパネルディスカッション去る7月24日(日)開催の帰国子女相談会への多数のご参加、誠にありがとうございました。当日開催の「私立中高一貫校 帰国生OB&OGによるパネルディスカッション」の模様をレポートします。現在、大学に通う先輩の語る、海外生活、帰国してからの受験、中高生活、そして進路選択に、参加者は熱心に耳を傾けていました。

第一部、第二部に分けてお届けします。
第一部では、学習院白百合学園を卒業したお二人の話を紹介します。第二部に登場するのは、かえつ有明加藤学園暁秀渋谷教育学園渋谷ご出身の方々です。

第一部 > 第二部

第一部

『自己紹介』
▼ 司会
司会時間になりましたので、パネルディスカッションの第一部を始めたいと思います。まず第一部は幼少の頃から海外で生活され、帰国して中学受験を経て私学の中高一貫校で6年間を過ごした後に大学進学されたお二人の帰国生をお迎えしています。まずは自己紹介をお願いします。
MS▼ MS
おはようございます。MSです。白百合学園中学高等学校を卒業し、現在早稲田大学国際教養学部で学んでいます。イギリスに1歳から11歳、小学校を卒業するまで10年間住んでいました。
SH▼ SH
初めまして。学習院高等科を卒業しまして、現在は慶應義塾大学法学部1年のSHと申します。僕は2歳から7歳までイギリス、7歳から10歳までアメリカのコネチカット州におりました。宜しくお願いします。
『現地での学校生活』
▼ 司会
自己紹介の中でも簡単に海外経験を伺いましたが、もうちょっと詳しく教育歴などを教えて下さい。
▼ MS
イギリスにいた時は、1歳から3歳くらいまではオックスフォードに、その後はロンドンにずっと住んでいました。そこでは現地校に通いながら、小学校の1年生の頃から4年生まで毎週土曜日に補習校に通っていました。5年生からは、中学受験に向けて塾にも通い始めました。
▼ SH
僕は2歳から7歳までイギリスのロンドン郊外に住んでいました。幼稚園と小学校は現地校で、週末には補習校に通っていました。アメリカでは、けっこう日本人の方も多く住んでいるコネチカット州のグリニッジに住んでいまして、そこの現地校と補習校に通っていました。高校の頃には学習院と留学協定を結んでいる私立校に10ヶ月間留学させていただきました。
▼ 司会
お二人が通われた補習校では、具体的にどのような授業が行われていましたか?
▼ MS
小さい頃からずっとイギリスに住んでいましたので、日本語の勉強をきちんとしたことがありませんでした。補習校では日本語の勉強をしていました。
▼ SH
僕の場合は、日本人が通う学校で新しい友だちを作って、そこで日本語を使う場面を作り出して欲しいということで、親が通わせてくれました。
▼ 司会
海外生活の中で、日本を意識する機会はありましたか?
▼ SH
僕は、日本にいる家族から「ドラえもん」などのアニメのビデオが送られてくるのを見たりする時に、日本を意識していたと思います。
▼ MS
私は、半年遅れくらいで放送される日本のテレビ番組を見たりした時に、日本を意識していました。
『帰国が決まって~帰国』
▼ 司会
帰国が決まった時期と、その時にどう思ったかを聞いてみましょう。
▼ SH
僕は小5の夏に帰国しました。正確な時期は覚えていないのですが、小5のはじめの方に帰国が決まったのですが、その頃から「じきに帰国するから」と言われて、日本の受験用の塾に通い始めました。「あぁ帰国するんだ」ということが心の中でちゃんとわかっていましたので、自然に受け入れられて、特に衝撃などはありませんでした。
▼ MS
オックスフォードからロンドンに移った時には、仕事の関係で滞在はあと3年くらいだと思っていたのですが、けっこう伸びてしまいましたので、私の小学校卒業にあわせて帰国することになりました。ちょうど環境が変わる時期にあたり、小学校の友だちも受験して違う中学に行くことになっていましたし、私も帰るんだなぁと受け入れていました。
▼ 司会
帰国された時の日本の印象はいかがでしたか?
▼ MS
想像していたのとぜんぜん違いました。特に習慣や人との接し方の違いに戸惑いました。日本人は、とにかく遠慮するんだなと思いました。例えば、帰国後に通った小学校に中学受験をする友だちが何人かいたのですが、私が「志望校はどこなの?」と聞いても、「いや…いやいやいや…」って答えないのがすごく不思議で、理由がわからなかったのです。私は「ここ受けるんだ。絶対に受かりたいんだ」って言っていたのに、友だちは遠慮するので、そんな所に戸惑いを感じました。
▼ 司会
日本人でありながら、日本人の奥ゆかしさみたいなものが理解できないという経験ですね?
▼ SH
僕は、勉強面と生活面の二つで苦労しました。勉強は一般受験を目指して頑張っていましたので、相当大変でした。生活面では日本の生活に馴染むまでが大変でした。例えば集団行動。どうして給食はみんなで一緒に食べるんだろうとか、遠足はなぜこんなに過密なスケジュールで出かけるのだろうとか、疑問に思うことも多かったです。僕は海外にいた時も日本人としてのidentityを持っていましたので、帰国したらすぐに馴染めるだろうと思っていましたので、逆カルチャーショックが大きかったです。
▼ 司会
日本人としてのidentityはどこで育ったのでしょうか?
▼ SH
周りはイギリス人で自分は外見もまったく違う日本人。学校の先生が授業の中で僕に「日本はどこだい?」「日本だったらどうなんだろう?」「日本人だったらどうするんだろう?」って質問をふってくれていましたので、自分は日本人なので、もっと日本のことを学ばなければならないと思ったり、そういう小さいことの積み重ねで日本人としてのidentityが育ったのだと思います。
▼ MS
私も現地校で唯一の日本人でした。同じように授業の中で質問をふられたりすることもありましたので、「自分は日本人だから」と感じる場面は多くあったと思います。
『中学受験と中高時代』
▼ 司会
どうして中学受験をすることになったのですか?
▼ MS
小学校を卒業したら帰国することが決まっていましたので、高校受験よりは帰国してすぐに受験をした方が良いだろうと両親が判断して、中高一貫校を受験することに決めました。
▼ SH
みんなテニスをする。みんな水泳をしたり、みんな中学受験をする…というノリでした。小学校3年生から塾に通い始めたのですが、その時は特にどこの学校に入りたいということまでは考えていなくて、単なる習いごとのひとつとして捉えていました。
▼ 司会
すでに海外にいらした時から、お二人とも中学受験を意識して準備を始めていたということですが、中学受験を意識した勉強とそれまでの勉強は違いましたか?
▼ MS
違いましたね。補習校に通っていた時には、日本語を身につけるために通っていたのですが、私は本当に国語が苦手でしたので、ことわざや漢字を覚えるとか、受験に向けた勉強という意識が強くなりました。
▼ 司会
学校選びのポイントは何でしたか?
▼ SH
学習院のお話をしますと、学習院は附属校で学習院大学がついています。意外と知られていない事実ですが、学習院大学に進学するのは高等科の卒業生の6割くらいしかいないのです。例年4割くらい、今年は5割くらいが外部に進学しました。学習院は附属校ですので、自由な雰囲気と、他校にはないような珍しい部活、例えば馬術部とかボート部もあります。また、いろいろな幅広い課外活動があるにも関わらず、勉強をしっかりしている人も多いので、そういった両立ができるのは、とてもいい中学高校ではないかと親が薦めてくれました。
▼ MS
私は海外でもずっと女子校でしたので、最初は中学は共学校にしようと思って、渋谷教育学園渋谷を目指していたのです。それ以外には、白百合学園を受験しました。どちらに進学するか決める段階で、もう一度学校を見学しに行ったのです。白百合学園は雰囲気も良い学校で、けっこう校則は厳しいのですが、その分しっかりした先輩方がたくさんいらっしゃって、あぁ凄く素敵だなと思いました。厳しいことも多いけれど、こういう先輩方みたいな人になりたいと思って白百合学園に進学を決めました。
▼ 司会
それぞれが通われ中高一貫校の生活についてお話を伺っていきます。まずは帰国生対応のプログラムについてお話を伺います。
▼ MS
帰国生対応のプログラムではないのですが、白百合学園では中学から英語もしくはフランス語のどちらかを学ぶことができるのです。私は中学3年間はフランス語を選択して勉強していました。高校に進学する時にフランス語を続けるか、英語に変わるか決めるのですが、大学受験は英語でしたいと思いましたので、私は英語を選択しました。中学入学時に、帰国子女が一般の生徒と一緒に一から英語を勉強するのは、けっこうきついことだと思います。私は代わりに他の言語であるフランス語を学べて良かったと思います。
▼ 司会
学校生活の中で、自分の英語力を活かして活躍できたエピソードを教えて下さい。
▼ MS
私は中高では部活動でESS部に所属して、毎年文化祭では英語のミュージカルを上演していました。そこには帰国子女じゃない一般生もたくさん所属していて、みんなでひとつの作品を作り上げていました。私の中高の生活でいちばん大きな経験でした。高校2年生の時に、初めてオリジナル作品で東京都英語プレイコンテストに参加して、総合優勝と主演女優賞と主演男優賞という全部のいちばん良い賞をいただきました。私はその時男役でしたので、主演男優賞をいただきました。
▼ SH
僕は今は文系の法学部に進学していますが、高校時代は理系をがんばっていました。インドで開催された科学の国際会議「国際アジアサイエンスキャンプ」の日本代表に招集されたり、模擬国連にも参加したり、英語のスピーチコンテストで全国3位も取りました。小学生で帰国すると英語力の維持が難しいのですが、中高の間に頑張れば結果はきちんとついてきます。
▼ 司会
模擬国連には何年生の時に参加されたのですか?その時のエピソードを聞かせて下さい。
▼ SH
高校2年生の時に参加しました。参加者に幼なじみが多くて、驚きました。小学校の時の同級生が1人と、グリニッジ出身で同じバックグラウンドの人にも3人会えたことが面白かったです。高校のカリキュラムと違い、本気で英語を使う場を提供していただいて、貴重な経験をさせていただきました。
『進路選択について』
▼ 司会
それぞれに素敵な中高6年間を過ごされて大学に進まれていますが、今の大学を選んだ理由を聞かせて下さい。
▼ MS
現在早稲田大学国際教養学部に通っています。早稲田大学はオープンキャンパスに行った時、いろいろな場面で学生たちが熱いところに魅力を感じました。みんなで校歌を熱唱したり、応援団が盛り上がっているのを見て、とても活発な学校だなと思いました。国際教養学部では英語が活かせるというのもありますが、専攻がなくて、いろいろなことが学べます。授業は全部英語なのですが、多様な分野から様々なことを学べることや、1年間の留学が必須であることなどが魅力で選びました。ほとんどの学生は2年生の後期から1年間留学をするようですが、私は今年の9月から、スコットランドのグラスゴー大学に留学することが決まっています。
▼ SH
僕は高校時代は理系だったのですが、弁護士になりたいという夢があり、慶應義塾大学の法学部法律学科に決めました。今は、興味が少し変わってきて、将来は経営ビジネスをしたいと思っています。
▼ 司会
大学受験に際して帰国生のメリットは何かありましたか?
▼ SH
僕は慶應義塾大学法学部のFIT入試を受験しました。FIT入試というのは、高校生を多面的に見るAO入試です。まずは書類審査で課外活動や成績、高校3年間で何に燃えたのかが問われ、さらに学力についても問われました。僕の場合は、高校3年間の間に学生団体を立ち上げたり、アジアの国際会議で金メダルを取ったり、スピーチコンテストはじめ様々な受賞経験等をアピールしました。英語力という表面的なスキルではなく、すべて帰国生としてのidentityと言いますか、帰国生としての自信、いろいろな活動や経験を通して培った自信が良い結果に結びついたと思っています。
▼ MS
私も早稲田大学のAO入試を受験しました。書類には英語プレイコンテストに出場したことを書きました。同時に志望理由書も提出するのですが、私は将来舞台女優になりたいということについて書きました。面接の時に、「なぜここを志望するのですか?」と聞かれ、その時も「舞台女優になりたいから」と答えました。「舞台女優になりたくて、どうして大学に行くの?」という展開になるのですが、「早稲田大学で様々なことを学んで、いろいろな経験をすることが自分の演技に生きてくる」ということを、自信を持って答えることができました。先ほども帰国した時に「日本人の奥ゆかしさ」に戸惑ったという話をしましたが、私は海外生活の経験から、「主張していく」ということを学んだと思いますので、それがとても役立ったと思います。
『帰国生のみなさんへ、先輩としてのメッセージ』
▼ 司会
最後にお二人から、本日お集まりの帰国生、それから帰国生のお父様、お母様たちに、先輩として何かアドバイスやエールを贈るような一言をいただきたいと思います。
▼ SH
僕は帰国してからの逆カルチャーショックが大きかったので、帰国してすぐに日本に馴染めると思わない方が良いと思います。保護者の方には、僕の母もそうだったのですが、強引にお子さんを引っ張ってあげた方が子どもとしては助かります。
▼ MS
帰国生は様々な場面で戸惑うことが多いと思いますが、二つの文化を経験できるのはとても貴重なことだと思います。最近になって友人から「帰国子女って苦労するんだね」って言われたのですが、二つの文化を経験できたことは友だちからも羨ましがられますし、自分にとってもすごく良い経験だったと思いました。皆さんも、その経験を活かして頑張ってください。
『会場からの質問』
▼ 司会
貴重なお話をたくさん聞かせていただきまして、どうもありがとうございました。ここで、会場の皆様から何か質問等がございましたらお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。
▼ 質問者(1)
海外の大学は検討したのでしょうか?検討したとしたら、なぜ今の大学を選ばれたのでしょうか?
▼ SH
海外の大学にも出願しましたが、今回は縁がなく、慶應義塾大学法学部に進学しました。
▼ MS
私は受験を考えた時に、むしろ海外はもういいや、日本の大学に普通に通おうと思っていました。でも調べていくうちに、早稲田大学の国際教養学部に魅力を感じましたので、今通っています。
▼ 質問者(2)
小学校5年生の娘がいて、アメリカで育ちました。彼女にとって英語は勉強する教科ではなく、普通に友だちとおしゃべりをしたり、授業を受けたりするものだったのですが、日本に帰ってからは誰も周りに話す相手がいなくて、英語が自分にとって勉強しなければならない教科になってしまいました。英語が好きだけれど、嫌いという気持ちになっています。単語や熟語を覚えなければならない。英語を話したいけれど、英語を勉強として教科書の内容を覚えたりするのがイヤという状態です。そのような経験を、お二人はされたのでしょうか?
▼ MS
私は学校ではフランス語をやっていましたので、英語力を維持するために塾に通っていたのですが、勉強としての英語塾ではなく帰国子女用の塾でしたので、みんなで話したりWritingしたりしていました。日本の学校教育の英語を学んだのは高校の時からなので、その時に改めて「勉強としての英語」に衝撃を受けました。
▼ SH
中学の時は帰国子女用の塾に行っていました。学習院中・高には帰国子女用のカリキュラムはありませんでしたので、学年に帰国生は僕ひとりでした。塾では帰国子女の仲間もいて、楽しくやっていました。高校では交換留学で10ヶ月アメリカに行ったのですが、停滞していた英語力がその時にぽーんと上がったので、良かったと思います。
▼ 司会
ちょうどお時間となりました。どうもありがとうございました。皆様拍手をお願い致します。

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