
帰国生OG編 帰国子女相談会 in 実践女子学園 (2009.7.26取材)
part 1 > part2
帰国生OG編 part 2
『学校での語学教育システム』
- ▼ 司会
- それぞれの通われた学校の語学教育システムについて、お話を聞かせてください。

- ▼ TI
- 跡見学園は帰国生限定クラスというのはなく、みんなと一緒に6年間過ごしました。今は変わっているかもしれませんが、私の時は中学2年・3年の時に英語は習熟度別にクラスが分かれるようになっていまして、中2は2クラス分割、中3で3クラス分割になりました。
- ▼ TS
渋谷教育学園の話をさせていただきます。渋谷教育学園には帰国生が学年に20人くらい在籍していますが、帰国生だけの英語取り出し授業がありまして、アメリカの教育で使うようなテキストや本の素材を使って、リーディング、ライティング、オーラルコミュニケーションなど、幅広く全般的に専門の教育がなされていました。また、帰国生だけに専門の英語プログラムが別に組まれています。日本に帰ってきたばかりだと、国語や数学など一般生と比べて劣る部分があると思うのですが、それらの科目に関しても取り出しで個別に指導を受けて、ある程度力が付いてきたら一般の授業に戻るというようなケアをしていました。英語の授業でも詩やエッセイを書いたりする機会もあり、アメリカの学生達と同じようなシステムで英語教育を受けていました。
- ▼ OY
頌栄では、帰国生と一般生は完全に英語のクラスが分かれていまして、帰国生にはだいたい週4時間2名のネィティブの先生による英語の授業がありました。そこでは、特別なテキストを使って、いろいろなビデオを見たり音楽を聴いたり、主にコミュニケーションが重要視されていたのですが、特別なプログラムが組まれていました。
英文法の定期試験は、一般生が受けている授業と同じ範囲となりますが、その英文法のクラスも帰国生・一般生完全に別でした。帰国生は最初から文法をやらなくても、自然と身に付いている部分がありますので、ポイントだけやって他はネィティブの先生達とのコミュニケーションを重要視した授業が行われました。
高校1年生になると、帰国生・一般生という別がなくなり、完全にレベル別で大学受験に向けての英語の授業になります。そこでは必ずしも帰国生がいちばん上にいるというわけではなく、一般生でも英語を頑張っている人はどんどんどんどん伸びてきます。帰国生はそういう人達に負けないように頑張ろうと英語力を保持し、それが自分のレベルをあげていこうとする気持ちに繋がっていきますので、そういう意味でも頌栄の英語の授業は良かったと思っております。

- ▼ YM
- 横浜英和のクラスでは帰国生限定のクラスというのはなく、みんなで一緒に勉強する中で、取り出し授業をして欲しい帰国生が個人的に先生にお願いしていました。5~6年になりますと、英語は習熟度別のクラス編成になります。授業外のサポートとしては、英検を学校で開催してくれるなどのサポートもありました。その他にも漢字検定やニュース検定などもあるそうです。
『大学入試と帰国生としての経験』
- ▼ 司会
- ありがとうございました。みなさんは大学に入られて素晴らしい進路を歩んでいらっしゃいますので、大学入試において帰国生としての経験がどのように活かされたのかというお話を伺いたいと思います。大学受験において「語学」もしくは「海外での経験」が、どのようにメリットとなったのか、もしくはご自分の経験が進路選択にどういう影響を及ぼしたのかという話を伺わせてください。
- ▼ YM
- 私は長く海外に暮らしていまして言葉に興味がありましたので、東京女子大学の言語文化学科に進学しました。その理由としましては、主に2つありました。まずは少人数教育。横浜英和も少人数ですが、東京女子大学にもそのような共通点がありました。ひとりひとりアドバイザーもついていますので、それも安心でした。東京女子大学にはキャリアイングリッシュ課程というのがありまして、1年生の時に選抜試験を受けて学年で60人選抜され、その60人だけが3年間英語をツールとして、仕事で使うために「国際平和」か「国際ビジネス」でプレゼンテーション能力を上げながら学ぶという課程がありまして、そこに入りたくて東京女子大学に入学しました。
- ▼ OY
- 私は慶應義塾大学法学部政治学科に進んだのですが、学校からの推薦という形で慶應に行かせて頂きました。指定校推薦は高校3年間の全部の科目の成績が高3の時点で反映され、枠が1つでしたが運良くいただけました。大学受験に向けての勉強は、夏休みや高3の時もずっとしていました。どの大学も英語の配点がすごく高いので、英語力では有利だったと思います。法学部政治学科を選んだ理由は、政治学科では政治学も法律学もやりますし、経済学はマクロ経済やミクロ経済もやり、多角的な視点で世の中の勉強ができるということを聞きましたので、法学部政治学科を選びました。私は海外居住経験から、国際政治に興味を持ちました。大学3年からは、国際政治を専攻にして勉強していきたいと思っています。
- ▼ TS
- 私は、慶應義塾大学法学部法律学科に一般入試で入りました。渋々の高3時に、帰国生英語の中で一般入試対策を1年間通してやっておりました。国立大学の記述対策や私立のマーク式の問題を取り扱ったり、海外の大学に進学したい人向けには海外大学用の対策授業というのがありました。その授業を通して、日本の大学入試の英語は少し特殊な部分もありますので、文法面では一般生より不利に感じる面もあり、その授業でカバーしてもらいました。
私が法学部に進もうと思った理由は、海外経験を通して国際関係に興味を持ちまして、それを法律の面からアプローチするために国際関係法を学びたいと思いました。その中でも特に慶應義塾大学を選んだ理由は、この大学が帰国生の英語教育をとても重視し、特殊クラスというのを設置していることです。それから第二外国語のカリキュラムが充実していまして、私はフランス語をとっているのですが、なるべく力を付けたいと思い、慶應義塾大学の法学部に入学することに決めました。
帰国生は一般生に比べると、はるかに短い時間で英語で高得点が取れると言うことは非常に有利だったと思います。また学校によっては小論文を書く大学もあると思うのですが、一般生とは違った経験を海外で積んでいますので、より視点が広くなったり、自分の持っているネタが多くなったり、他の人と差をつけるユニークな小論文が書けるという点で、自分の経験がとても役だったと思っております。 - ▼ TI
- 私は上智大学の外国語学部英語学科に、公募推薦試験で入りました。上智大学への進学は、中高6年間の生活を通して決めたことですので、中高6年間の話をさせていただきます。私はアメリカでは日本人学校に行っていましたので、毎日のように英語の授業はあるのですが、日常生活では日本語を話していて、毎日1時間だけ英語の授業がありました。たまにまわりの外国人の子どもと遊んだりするくらいでしたので、アメリカにいた2年間で英語はあまり上達せず、経験をしたというだけでした。
日本に帰ってからは、小学校でも中学校でも「帰国子女なので英語ができて当然だ」という風に見られるのがとても辛かったです。それで自分ひとりで英語を学ぼうと思い、中学2年生の時に英検2級を取り、中学3年から英検準1級の勉強を始めて、高校1年生で英検準1級を取りました。私は9.11を経験していますので、このテロの経験を自分でいかしていこうと思い、高校1年の時に跡見で開催されているスピーチコンテストで9.11についてスピーチし優勝しました。発音もアメリカでの2年間に練習したことはありませんでしたので、中学3年と高校1年の2年間にひとりで発音の練習もしました。その発音の練習方法は、CDを聞いたり映画を見てマネするという方法でした。高校1年の終了時に、もちろん先生方にサポートはしていただいきながらも、自分ひとりで英語は学べると言うことやテロについて話すことで何か変わるのではないかと思い、国際関係やテロや英語に興味を持ち始めました。それから、一般受験でも対応できるようにと、高校2年生で予備校に通い始め、3教科勉強しました。
上智の外国語学部英語学科には公募試験というのがありまして、TOEFLやTOIECなどの点数が高い人、学校の成績が良い人を評価する入試システムがありますので、これにチャレンジしようと思いました。上智の外国語学部英語学科にしたのは、もちろん英語を使いたいというのはあったのですが、3・4年生になったら国際関係を専攻し、9.11後の社会のあり方や我々の経験したことをもっと考えて深めていきたいと思っています。また上智大学は留学制度もとても充実していますので、国際関係やテロが起きた背景や資本主義、現代社会でのメディアの役割を学びたいと思い、この夏休みからケンブリッジ大学に留学します。 - ▼ YM
- 先ほど言い忘れたのですが、私は東京女子大学に指定校推薦で入りました。横浜英和では指定は指定、一般は一般と分けているわけではなく、土曜日や夏休みを使って土曜セミナーが開催され、自分が苦手な科目やもっと伸ばしたい科目を指導して頂けますので、それもとても役に立ったと思います。小論文の授業もありましたので、それも役に立ちました。
- ▼ 司会
- ありがとうございました。
part 1 > part2
滞在国や滞在期間、通った学校など、帰国生には一人ひとり個別の事情があります。しかし当日は全く異なる環境の先輩の体験であっても、共感しながら聞き入る方々の姿が多く見受けられました。また異なる文化を経験し、それを受け入れながら、困難は乗り越え、自分の足で歩んでいる姿勢に励まされたのは、帰国生だけではありません。
当日ご協力いただきました帰国生、各学校の先生方にこの場を借りて御礼申し上げます。
日能研グローバルサービス