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親と子の栄冠ドラマ -中学入試体験記-

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母だけが知っている、あの数日間

  • 年度:2026
  • 性別:男子
  • 執筆者:
2月1日。

「特待生いけるかも」
そう笑っていた息子の顔を、私は疑いもしなかった。
ここまで積み重ねてきた努力を、ずっと見てきたから。

だから――
開智日本橋学園中学校、不合格。
桐蔭学園中等教育学校、不合格。

現実を見た瞬間、頭が真っ白になった。

その夜、布団に入っても眠れない。
目を閉じると、息子の顔が浮かぶ。
明日の朝、私がこの結果を伝えるの?
親なのに、どうしてこんな役目があるのだろう。

朝。
午後受験の不合格を伝えたとき、息子は小さく言った。

「あ・・・じゃあ僕、栄光学園中学校受けられないのか」

胸の奥がぎゅっと潰れた。
でも、ここで諦めさせるわけにはいかない。

「行こう。
今まで、栄光を目指して頑張ってきたのだから」

言いながら、実は自分にも言い聞かせていた。
大丈夫。まだ終わってない。

すると、息子の目に光が戻った。
子どもはこんなにも早く前を向けるのかと、逆に教えられた。

出発前の朝食。
納豆ご飯と味噌汁を、無言で食べ続ける横顔。

まるで戦に向かう人のようだった。

「まだ12歳なのに・・・」

誇らしさと、守ってあげたい気持ちが入り混じる。
あの横顔は、一生忘れない。

パパから動画が届く。
栄光の階段を、ぴょんぴょん跳ねながら上がっていく息子。

思わず叫んでいた。
「頑張れーー!!」

届くはずのない声なのに。

試験後、息子は目を輝かせて言った。
「すごい楽しかった!」

その言葉を聞いた瞬間、思った。
この子はもう大丈夫かもしれない。
結果に関係なく、前に進める子だ。


リベンジ桐蔭。

待ち時間、パパが問題の“あること”に気づき、
電車の中でも会場でも必死に伝える。

帰宅した息子が言う。
「昨日より国語できた」

その一言で、どれほど救われただろう。

兄に抱きつく姿を見て、
「ああ、全部出し切ったんだ」
と分かった。

食欲のない私たちの横で、
「お腹空いた!」とご飯を頬張る息子。

励ましているつもりだったのに、
励まされていたのは私のほうだった。

結果は聞かずに寝ると決めた息子。
強いな、と静かに思う。

23時。
時計の針が進まない。

「公立から高校でリベンジ」
そんな未来まで考え始めていた頃――

合格。

パパの雄叫び。
気づけば私も泣いていた。

安心って、こんなにも涙が出るものなんだ。



翌朝、合格を伝えると、
息子はホッとした顔で朝ごはんを食べ、笑っている。

子どもは未来を見るのが上手だ。
私はまだ昨日にいるのに。

次は逗子開成中学校。
過去問では何度も最高点。
「この学校、きっと合う」
母の勘が、静かにそう言っていた。

帰宅する頃、栄光の発表。
動画を回したけれど――届かなかった。

悔しいはずなのに、息子は前を向く。
夕方には芝中学校の対策をして、早めに眠った。

私はまた眠れないのに。



2月4日。送り出す。

これで終わるのか。
それとも、もう一日続くのか。

受験期間中、何度思っただろう。
「代わってあげたい」と。

そして9時。

パパからのLINE。

逗子開成 合格

声が出るほど泣いた。
嬉しさと同時に込み上げたのは――

「この子、こんなに強かったんだ」

という驚きだった。

最後は受験会場で迎えたい。
気づけば芝中へ向かっていた。

少し離れた場所で合格を伝えると、
息子は力強くガッツポーズ。

その瞬間、やっと思えた。

終わった。
この子は、自分の力で道を切り開いた。

21時。
最後の発表を見届け、
逗子開成への進学を決めた。



母になって知ったこと。

合格したから誇らしいのではない。

何度崩れても、
自分で立ち上がる姿を見せてくれたこと。

あの納豆ご飯の朝も、
跳ねるように上った階段も、
兄に抱きついた背中も、
全部、私の宝物になった。

受験が終わって気づく。

私がこの子を支えていたんじゃない。
この子が、私を母にしてくれていた。

栄冠は、息子の頭の上にある。
でもその光は、間違いなく家族全員を照らしていた。
今後も寄せられたドラマを、各カテゴリーに随時アップしていきます。
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