息子が小学2年の頃、日頃の力試しに日能研のテストを受けていました。
テスト中に偶然参加した保護者会で、本部から来たという方が「サイレントサッカー」の話をしてくださいました。
今思えば、中学受験を全く考えていなかった我が家にとって、この“ちょっとした偶然の縁”が、後に息子の大きな成長へとつながる最初の一歩だったのかもしれません。
「保護者の皆さん、サイレントサッカーを知っていますか?
小学生サッカーチームの大会で、試合中に『そこ、右をカバー! よし、ボールを奪った、全体、前に押し上げるぞ!』と大声を出しているのはすべて子どもたち。保護者や監督・コーチは一切指示を出してはいけない大会です。」
短期的には大人が指示した方が勝てるかもしれない。しかし、長い目で見れば、子ども自身が判断し、ゲームを組み立てる経験こそが成長につながる。
この話は強く心に残り、我が家が中学受験に興味を持つきっかけとなりました。
小学3年の秋、息子が「塾に通ってみたい」と言い、中学受験という新しい世界に挑戦することになりました。最初は新鮮さもあり楽しそうでしたが、学年が上がるにつれ内容は難しくなり、体調を崩したり、やる気が出ない時期もありました。親としてどう声をかけるべきか悩むことも多かったです。
そんな時、日能研の「親業講座」の体験会に参加したことが、私たち親子にとって大きな転機になりました。
それまで“親主体”で進めていた勉強を、少しずつ“子ども主体”へ。栄冠への道が終わらないままテストに行くこともあり、成績も下がりましたが、息子の成長に目を向けながら声をかけるようにしました。
6年の春、受験校を決める時期に息子と話し合ったところ、息子は「友達と一緒に合格して、栄光学園中学校へ通いたい!」と強い気持ちを口にしました。その言葉を受け、2月2日は栄光学園を受験し、第1希望とすることに決めました。
私自身も、自然に囲まれた環境や“やるべきことを、やるべきときに、やる”という学校の考え方に惹かれていました。
2月1日については安全校を受験するつもりでいましたが、息子が「2/1麻布の初見問題を解けるのは麻布受験生だけだから、受けてみたい。」と言いました。私は不安もありましたが、息子の決定を尊重し、麻布中学校をチャレンジすることに決めました。
10月から過去問を始めましたが、好きな算数・理科は進む一方、国語・社会はなかなか進みません。1月に入り一緒に計画を立てると、苦手科目も自分で進められるようになり、間違えた問題は解説を読み、理解しようと努力していました。
受験予定校の過去問を終えた後、納得できていない教科だけ追加で取り組み、「よし、もう大丈夫。」と息子自身が確認する姿に成長を感じました。
迎えた2月1日。麻布中学校に到着し「いつも通りでいいよ。」とだけ伝えると、息子は淡々と教室へ向かいました。受験後、「結果は分からないけど、この問題が面白かった。」と帰りの電車で話す元気があり、「頑張って午後も受験するよ。」という言葉を受け、予定通り午後も受験しました。初日からハードスケジュールで2校受験しましたが、2校とも手応えはよく分かりませんでした。
2月2日は第1志望の栄光学園。「いつも通りでいいよ。」とだけ伝え、この日も息子は淡々と教室へ向かいました。受験後、「算数が難しかった。全然できなかった。」と全く手応えがありません。「3年間の思いをぶつけて、今の力を出し切れたのなら十分。」と励ましたものの、明日の結果を見るのが少し怖くなってしまいました。
2月3日、息子の表情にも疲れが見え始め、行きの電車ではぐっすり眠っていました。それでも受験会場に着くと、いつも通り淡々と教室へ向かいました。ただ受験後、「いや、難しかったなぁ。」と今日も手応えはありませんでした。
自宅に戻り、栄光学園の合否発表。息子が「自分が先に確認する」と言うので、「合格でも不合格でも、やってきた努力はちゃんと意味があるよ。」と声を掛け、覚悟をしていました。
息子が画面を確認し、「やった! 合格だ!」と笑顔が弾けました。「え、本当?」と思わず耳を疑い、私も画面を確認して「おめでとう!」と。
息子は「明日から学校へ行く!」と言い、我が家の中学受験はここで終了となりました。
1時間後に麻布の結果を見て「番号があった!」とまた笑顔。家族全員が達成感を感じました。ありがたいことに1月受験も含め全て合格をいただきましたが、改めて簡単な受験は一つもなかったと感じました。
全勝の結果としては、
1つ目は、息子自身が受験を“自分のこと”として捉え、準備を進めながら一つひとつの試験で力を出し切ろうと取り組んできたこと。
2つ目は、日能研の教科の先生方や室長をはじめスタッフの皆さんが、知識だけでなく心構えまで教えてくださり、息子の能力を最大限に引き出してくれたこと。
3つ目は、日々の通塾や日曜日の日特がハードでありながらも、一緒に戦う友達と切磋琢磨しながら通えたことです。特に6年4月頃は弱音をこぼす日もありましたが、塾友と一緒に頑張っているうちにそんなこともなくなり、好きな科目の日はイキイキと授業の話をしてくれました。
(私自身は日能研全国公開模試の外部会場への送り迎えと、たまに算数や社会の問題を解く対決をしたくらい。4年生の頃は私が勝つことが多かったですが、6年ではほぼ負け、息子に解説してもらっていました。)
5年前は中学受験を全く考えていませんでしたが、日能研の保護者会での“ひとつの縁”をきっかけに、息子は多くの出会いに恵まれ、大きく成長することができました。
合格をいただけたことはもちろん嬉しいですが、それ以上に、学び方や心の持ち方まで成長した息子を誇りに思います。
これからも、小さな縁のひとつひとつに感謝しながら、息子の歩みを見守っていきたいと思います。
P.S.
合格後、息子に「3年前に戻ってもう一度受験勉強をやりたい?」と聞くと、「いや、やりたくないよ。」と笑っていました。
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- 今後も寄せられたドラマを、各カテゴリーに随時アップしていきます。