中学受験は本当に大変でした。子どもの将来が少しでも良いものになれば、と親の希望で受験を始めたわけですが、本気にならない子どもとの気持ちの差がなかなか埋まらず、最後まで苦戦し続けました。
息子は3年生の5月から日能研にお世話になりました。入塾したころは親子で比較的楽しく学習に取り組んでいたような気がしますが、学年が上がり反抗期に突入しました。6年生になってからは勉強ばかりの毎日に飽き、家庭での態度が悪化しました。親から言われたことに対して一度は反発しないと気が済まないようで、息子の態度の悪さにある日父が「中学受験なんてやめろ」とブチ切れ、母はオロオロ。6年生6月、クラス担当の先生にお願いし本人を交えて3者面談をしていただきました。先生は息子を優しく諭してくださり、中学受験をやめても明日からの毎日がバラ色になるわけではないぞ、とおっしゃってくださいました。その言葉に息子はハッとしたようです。家庭の中だけでは煮詰まっていましたが、先生が第3者として間に入ってくださったことで息子も納得でき、受験を続けることになりました。
6年生の夏休みは、国語は漢字・語句、算数は夏期講習テキストの共通問題428題、社会・理科はメモリーチェックを指示されました。算数は共通428が解けるようになれば偏差値50台の学校なら十分戦えますとのお話があり、その言葉を信じどこにも遊びに出かけずただひたすら勉強漬けの夏休みを送りました。しかし、結局どれも終わりきりませんでした。9月の日能研全国公開模試では4科全体の偏差値は上がるどころかやや下がり、中学受験の厳しさを実感しました。
9月に入り過去問を解くよう指示されましたが、志望校を絞り込めませんでした。そのためいくつもの学校の過去問を広く浅くやる形になってしまい、対策は不十分でした。2月校の敗因はこれだと考えています。
我が家は都内も埼玉も通学圏内で、埼玉県のK中学校を学校説明会に訪れた際にとても気に入り進学させてみたいと考えました。11月半ばからはK中学校の対策ばかりをしていました。過去問を解き始めたばかりの頃は合格点までほど遠い点数でしたが、先生方が大変丁寧に過去問をみてくださり、合格点がとれるようになっていきました。
1月の埼玉入試、K中学校の入試はすべての回を受験しました。しかし、K中は15000人を超えるものすごい数の出願者数。前年度よりも合格最低点が40~90点もupし、前年度ならば余裕で合格できた点数で不合格となってしまいました。しかも難問ができず不合格になったのではなく、計算ミス、転記ミスをいくつもしていました。親子で徒労感いっぱいになりました。ただ、他校で一つ合格がいただけて心のお守りになりました。
2月の受験校は悩みましたが、1月の受験がうまくいかなかったので、2月は前半戦でランクを下げた学校の合格を確保した上で、後半戦で本当に行きたい学校を受験する、というプランに変更しました。しかしこれが裏目に出ました。
1/15の埼玉入試が終わってから2月の入試まで時間がわずかしかなく、過去問対策は不十分でした。偏差値的には合格できると思っていた学校で2/1、2/2と続けて不合格(2/1午後の安全校は合格)。しかも2/2朝の試験会場の受付で、息子がここは自分の行きたかった学校ではない、と不満を漏らしました。息子の不満を聞いて、母は2/1、2/2という中学受験において最も大事な日の受験校の選択を誤ったと思いました。が、時すでに遅し。
息子が試験を受けている間に、日能研の先生に相談させていただき、先生からは『行きたくない学校を受けても受かる可能性は低く、本人が納得して受けることが大切。残りの日程は悔いがないよう、本人に決めてもらってはどうか。』とのお返事をいただきました。
中学受験は親にやらされたものかもしれないですが、勉強してきたのは子ども自身です。行きたい学校を受けさせてもらえずに受験が終わった、と本人が思い続けるのは良くないと思いました。本人が納得できる形で中学受験を終えたいと思い、2/3からは本人が行きたい学校を受けることにしました。
しかし2/3 午前・午後ともに不合格。でも、行きたい学校の試験に不合格になったことで、やっと本人にとって受験が自分事になりました。なかなか本気にならなかった息子ですがついに2/3夜に受験生の自覚が芽生え、必死で勉強し始めました。
ただ、2/4以降に試験を受けられる学校は限られており、募集人数も少ないです。もっと早く本気になっていれば結果は違ったのかもしれないと思いますが、仕方ありません。
2/6まで入試を受け続け、複数の学校から補欠候補の連絡をいただきましたが、結局繰り上がらず、2/4以降の合格もありませんでした。
入試が始まったばかりの頃は不合格の結果を確認する度に親子で落ち込んでいましたが、あまりにもたくさんの不合格をもらい続けると次第に不合格にも慣れてくるもので、不合格の画面を見ても気持ちが揺れ動くことがなくなっていきました。これまで経験のない不思議な感覚でした。やっぱり、どうせ、何をしても、ダメなものはダメなのよね、という感覚。
子どももつらかったと思いますが、親もつらかったです。子どもは受験に積極的ではなかったのに親のわがままでここまで連れてきてしまった、連れてきた挙句にこんなつらい結果、一体自分は何がしたかったのだろうか、と分からなくなりました。
日能研の先生には毎日電話とメールで連絡させていただいていました。そのたびにたくさん励ましていただきました。「いつか子どもが親に感謝するときが来ます」、「入試期間中は後ろを振り返らないのが入試がうまくいくコツ」、「自分は運がいいと思って生きることが大切」など色々な言葉をかけていただきました。先生が、最後まで支え続けますと言ってくださいましたが、本当でした。
2/5午後入試の待ち時間、保護者の控え室では涙されている保護者がたくさんいらっしゃいました。我が家と同じく入試がうまくいかず2/5午後まで入試を受けることになってしまった方々だと思います。これは行ってはいけない入試に来てしまったと思いました。母も同じ気持ちでしたが、でもその光景を見て、受験に失敗しても子どもは元気だし人生はきっと長いのだからいい時も悪い時もある、となんだか思えてきました。
晴れない気持ちではありましたが、2/1午後校の入学手続期限が迫っており、2/6に入学手続きを済ませました。
もう入試はすべて終わってしまいできることはない、ということで子どもと久しぶりの外出をしていたところ、2/8午後に突然、埼玉のK中学校から繰り上げ合格の電話がかかってきました。電話の先のK中学校の先生が「合格の連絡が遅くなり大変申し訳ございません、繰り上げ合格です」とおっしゃってくださり、本当に嬉しかったです。やっと報われたと思いました
結果は、1月 7戦2勝、2月 11戦1勝、勝率17%。入試前には予想できなかった厳しい結果でした。
親として、反省すべき点はたくさんありました。教育虐待だったかもしれません。
でも、入試を経て息子なりに成長した部分もあるかと思います。人生は自分で切り開くものという実感を持ち、打たれ強くなったことでしょう。自分を応援してくれる人がたくさんいることにも少し気づいたのではないでしょうか。
行きたい学校の一つから合格をいただけたことは本当にありがたく、親子で新生活を楽しみにしています。進学先での学校生活を良いものにするのもそうでないものにするのも本人次第だと思います。これからのたくさんの出会いに感謝し、充実した学校生活を送っていってほしいと思います。
最後に、日能研の先生方には本当にお世話になりました。先生方のサポートがなければ、受験を完走できず合格だっていただけなかったことと思います。本当にどうもありがとうございました。
先生方のますますのご活躍を祈念しております。
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