シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

明治大学付属中野中学校

2017年04月掲載

明治大学付属中野中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

1.「どうなる」理屈を追いかけ順序立てる

インタビュー1/3

どの順番に並べると理屈としてスムーズに通るか

齋藤先生 文の並べ替えは過去にも何度か出題しています。この問題のように、文を並べ替える問題では、物事を順序立てて考える力を見ています。情報を整理して理屈がわかれば、順を追って考えることができます。方程式を計算の過程を示しながら解くような要領で、理屈を押さえていきます。そうして全体の意味がスムーズに通る順番を見いだします。

国語課主任/齋藤 視知先生

国語課主任/齋藤 視知先生

文の並べ替えは順番がわかる「手がかり」を見つける

齋藤先生 得点できるのは完全解答のみです。そう難しい問題ではないと思っていたので、もう少しできてもよかったかなと思います。

受験生は(オ)の位置に迷ったのではないでしょうか。

齋藤先生 5つの文の中で、「このため」の指示語で始まる(ウ)が全体のまとめになっているので、最後になるのがわかると思います。
「水がどこからくるのか」というと、 (エ)「森に雨がふる。」で始まることもわかるでしょう。こうして1番目と5番目が決まります。
中1の授業でも並べ替えを取り上げますが、最初か最後は順番が決まります。指示語や接続語が手がかりになるので、まずそれを見つけようと助言します。押さえるべきところがわかると、順序立てて考えやすくなります。
あとは(ア)(イ)(オ)の3つです。雨が降ったら雨水はどうなるかというと、2番目は「水は森の土にしみこむ」という (イ)の文が一番しっくりきます。残りは(ア)と(オ)ですが、「森の土」の役割を説明している(オ)の文が3番目にくるとわかりやすい。したがって、4番目が(ア)になります。こうして「この順番でなければ意味がうまく通らない」という順番を見いだします。

なまじ知識があると読解の目が曇ることも

この問題は理科や社会科の知識があると解きやすいでしょうか。

齋藤先生 他の教科の知識を活用するのは構いません。でも、その知識がなければ解けないというのでは国語の問いではありません。この問題は、理屈を追いかけていかないと正解を導き出せないので、国語の力を測ることができると判断し出題しました。

並べ替えの直前に、「こんなふうに語られるのを聞いたことがありませんか」という投げかけがあります。天然の浄水場などを「聞いたことがある!」と知っていることに飛びついて、「こういうことだろう」と思い込みで並べた受験生がいたかもしれません。国語の問題は、教養が読解の助けになることもあれば、それが先入観となって読解の邪魔になることもあります。

齋藤先生 だからこそ、「文脈に沿って読む」ことが大事になります。思い込みで読まずに、書いてあることから読み取る、これが文章を読む基本です。

明治大学付属中野中学校/校舎

明治大学付属中野中学校/校舎

読解はまず文全体の大意をつかもう

齋藤先生 問いで聞いているのは「あなた」の意見ではなく、「筆者」の意見です。自分に都合よく読んでしまうと文脈に沿わず、正解にたどり着けません。
この筆者は、「水をためる」と「水をきれいにする」を同じような意味でとらえています。自分の知識にもとづいて、「両者は違う」と考えるのではなく、筆者の考えに沿って読み取ることが求められます。
筆者の言いたいことがわからないと問題を解き進められません。「筆者が言いたいことは、こういうことだ」と文全体の大意をつかむことができれば、正解の方向に進むことができ、答えを大きく外すこともないと思います。
きちんと読むことは大事ですが、まず、筆者の考えを大まかにとらえるようにしましょう。

明治大学付属中野中学校/校舎

明治大学付属中野中学校/校舎

インタビュー1/3

明治大学付属中野中学校
明治大学付属中野中学校1929(昭和4)年に、御木徳一により旧制中野中学校開設。1949年に明治大学の付属校となって再出発した。2009(平成21)年に創立80周年記念式典を挙行。
「質実剛毅」「協同自治」の精神にのっとり、知・徳・体のバランスの取れた教育を実践。生徒一人ひとりの自我と個性を尊重する姿勢は、「完責・修学・研心・錬身」を校訓としていればこそ。付属校の利点を生かし、のびのびとした学園生活のなかでさまざまな可能性が伸ばせる。他大学への進学に対応できる指導も実施。
中学では、高校との関連を重視。特に英語に重点をおき、中1・中2では外国人講師による少人数制の英会話を実施。高1から外進生と混合し、高2から文系・理系のコース別クラスを編成して他大学受験も意識したカリキュラムを展開する。平常講習は全学年が対象で早朝・放課後に。全学年対象の夏期講習は希望者制で行われるが、指名制補習もある。全体の75%近い生徒が併設大学へ進学。一方、他大学受験をする生徒も増えており、早慶上智大など難関大学への合格実績も徐々に上昇。明治大推薦希望者の国公立大併願も認められているので、国公立大進学者も増えている。
クラブ活動はとても盛んで、加入率は中学で約9割。柔・剣道などの武道や水球、ラグビーなど運動部の活躍ぶりや実績は有名。文化部を含めるとその数は35におよび、ほとんどは中高合同で活動しているので上級生・下級生の団結力も強い。高1の11月には全生徒に向けて、明治大学キャンパスでの特別進学講座(各学部紹介)を実施。各学部の公開授業の聴講、理工・農学部の実験・実習見学会なども行い、付属校ならではの進路指導をしている。