シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

カリタス女子中学校

2017年02月掲載

カリタス女子中学校の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.数学への導入を意識した問題も出題

インタビュー2/3

大問1の小問集合問題は正答率80%

安原先生 入試問題はどの分野もバランスよく出題するように心がけています。基礎的な問題だけでなく、この問題のような典型ではない問題を出すことも考えています。
大問1の小問集合問題は、受験生に得点してもらいたい問題で、8割程度は正解しています。大問や設問の難易度は最初の問いは易しく、あとになるほど難しくなるように構成しています。

長谷川先生 この問題は最後の大問5の設問3ですが、設問1と2は解きやすい問題です。大問5だからといってあきらめないことです。問題をよく見てもらえれば得点できる問題があります。

数学科/安原 朋男先生

数学科/安原 朋男先生

記述はひと言よりも図で説明する受験生が多い

貴校の問題は記述問題が多い印象です。受験生の記述力をどのように見ていますか。

安原先生 答案を見ると式だけというのがほとんどです。小学生の段階ではやむを得ないと思っています。

長谷川先生 式の前に「~のように考えた」とひと言ある答案はありますが、少ないですね。式だけの場合は、こんなふうに考えたのかなと、できる限り意図をくみ取るようにしています。

安原先生 文章よりも線分図など図をかいて説明する受験生が多いですね。
自分の考えを相手に説明する記述力の養成は、強く意識しています。単に式を立てて解ければいいのでなく、どうしてその式を立てたのか、式を解くためにどのような式変形をしたのかなどは、中1でもきちんと説明するよう指導しています。

知っている記号に置き換えて式を立てる

この問題もそうですが、貴校は方程式を使って解けそうな問題を出題していますね。入学後の学びとして、数学への導入も意識されていますか。

安原先生 算数から数学へのスムーズな移行は意識しています。中1でも数学への切り換えは難しいと感じていますから、受験生ならなおさらです。数学の前段階として、わからないものを□(四角)などの記号に置き換えて式を立てることが、中学の文字式の学習につながってくれればと思っています。

長谷川先生 新しい記号が出てきても、「ルールを押さえれば対応できる」という感覚はとても大切です。

カリタス女子中学校/中1夏休み課題

カリタス女子中学校/中1夏休み課題

正解で満足せず、自分の疑問をとことん追究しよう

長谷川先生 授業をしていると、こちらが教えたこと以上を追究しようという生徒が年々少なくなっているように感じます。
生徒は素直でまじめですが、正解して安心するのではなく、解説のここがわからない、解説と違う解き方をしたけれどこの解き方でいいのかなど、突っ込んだ質問をしてほしいですね。「なぜ」を納得できるまで突き詰めるところに、数学のおもしろさがあると思います。
学びの姿勢は従順なだけでは足りないことを、受験生にも伝えたいですね。数学に限らず、ふだんから世の中のことに目を向けて、自分で考え、疑問を持ってほしいと思います。

今後は教科横断型の授業も

「人口問題」というと社会科で取り上げられそうな題材ですが、問題を検討する過程で社会科の先生は関わりましたか。

安原先生 それはありませんでした。ただ、今後は授業で教科横断的な取り組みも構想中です。
例えば、数学と美術。絵画の中には透視図法や黄金比・白銀比など、数学的な考え方や図形を使った技法で描かれたものがあります。既に夏休みの数学の課題で、中1は「コンパスを使えるようになろう」、中2は「相似を使って楽しもう」というテーマで自由に図形をかき、アート的にアプローチしています。数学と物理とのコラボレーションも考えられます。
まずは外国語と国語、社会科で、同じテーマについて多角的にアプローチすることで、生徒の理解を深めたり、多様なとらえ方を育むことにつなげたいと考えています。

長谷川先生 現在、「戦争と平和」というテーマで、各教科からアプローチできないか、教科の垣根を越えた取り組みを模索中です。

カリタス女子中学校

カリタス女子中学校

インタビュー2/3

カリタス女子中学校
カリタス女子中学校ラテン語で「愛」を意味するカリタス。カナダで、聖マルグリット・デュービルが創立したケベック・カリタス修道女会を母体に、1961(昭和36)年にカリタス女子中学・高校が創設された。62年に幼稚園、63年には小学校が創設されている。
多摩川沿いの閑静な住宅街にあり、緑にも恵まれた環境。2階建てアリーナ、人工芝の広いグラウンド、テニスコート、屋内プールなど、スポーツ施設も充実している。生徒に人気のある図書室は蔵書も豊富で明るくきれい。専用回線で常時インターネットに接続されているコンピュータ室も完備。聖堂や1200名収容の講堂もある。カフェテリアでは飲み物、パン・弁当を販売。06年4月に「教科センター方式」の校舎が完成した。
キリスト教の愛と真理の原理に基づく教育方針。祈る心、学ぶ心、交わりの心、奉仕の心の「4つの心」をもった人間を育成することを目指す。また、異なる文化を理解する力を育み、国際的なセンスを身につけるため、中1から英語とフランス語の2つの外国語を導入。
中1から古典学習や体系的な作文教育を行い、豊かな国語力を育成する。独自の教材も含めて進められる英・仏2つの外国語教育は密度の濃い内容。中1から2時間の授業が設けられた仏語は、高校で第一外国語として履修も可能で、大学入試にも対応する。英語は中学が週6時間のうちネイティブ教員によるオーラル1時間、さらに2016年度より始まった英語既習者クラスではネイティブ教員の時間が2時間ある。中1・中2の理科実験や、英・仏・数の授業は、1クラスを2つに分けたハーフクラスで行われる。補習は必要に応じて実施。高校2年から私立文系・国公立文系・理数の3コース制。大学受験に的を絞った意欲的なカリキュラムで、国公立大、難関私大に多数の合格者を輩出。現役進学率も着実に伸びている。
制服は「カリタスブルー」を基調としたスーツスタイル。放送を通じての「朝の祈り」で1日が始まり、全学年で聖書の心を学ぶ「カトリック倫理」の授業がある。奉仕活動を行うアンジェラスの会を中心に、教育里親の会、バザー、施設訪問など幅広いボランティア活動を展開。球技大会や体育祭、文化祭など学年を越えた交流があるほか、1月の外国語発表会は、学年ごとに劇、歌、スピーチなどで日ごろの語学学習の成果を発表する。中2で2泊3日のイングリッシュキャンプがあり、高1の希望者には、カナダ研修が実施されている。またターム留学やセブ島英語研修も参加者が増えている。高2の修学旅行は九州北部。クラブ活動は、運動部8、文化部14あり、中高合同で活動。