シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

横浜共立学園中学校

2017年01月掲載

横浜共立学園中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.進路は生徒自身の希望が第一。女子校だが以前から理系志望が多い。

インタビュー3/3

中学時代は読書ノートを課して読書を習慣づける

読書離れについてはどのように感じていますか。

鎌田先生 読書量は人によりますが、読む人は年間200冊を超えます。中学の間は「読書ノート」を取り入れて、2冊以上読んで提出します。読書案内が「読書ノート」や教科書に載っているので、そういうものを参考にしながら、年間4冊以上は読むことになります。「読書ノート」にはあらすじと感想を書かせていますが、みんな一生懸命書いています。書く人はものすごく書くので、2冊以上になる子もいます。そして、よく書けているものはみんなに紹介します。やはり自分で言葉にしてみることが大事だと思います。あらすじと感想という大きな枠の中で、書く内容を工夫することも力になると思っています。

横浜共立学園中学校/図書館

横浜共立学園中学校/図書館

授業は日々切磋琢磨して充実を目指す

教科の枠を超えた活動というのはしていますか。

深川先生 できたら良いですね。国語はすべての教科に関わるので、可能性はあると思うのですが、授業の中で行うのは難しいと思います。

先生方で授業を見合うことはありますか。

深川先生 お互いに、授業実践を報告して見に来てもらう機会も設けています。そうすると生徒がいつもより張り切って答えたりしますので、おもしろいです。授業実践を報告し合うことで、良い刺激をたくさん得られますので、できるだけお互いの意欲的な取り組みを取り入れて切磋琢磨していきたいと思っています。

横浜共立学園中学校/図書館

横浜共立学園中学校/図書館

進路は本人の希望で決める

進路についてはどのような傾向が見られますか。

鎌田先生 高1から高2になる時に、文系、理系の選択科目を決めるのですが、その時は自由です。ご家庭の意向もあるでしょうし、本人のこういう分野に進むには何を勉強すればいいのだろうというところから入っています。

星野先生 学校として誘導することはなく、生徒の希望で決めています。

鎌田先生 ただ、世の中の影響は受けています。女子は文系という時代から移り変わって今は理系が増えています。

星野先生 昔から3分の1は理系志望でしたから、女子校では比較的多かったと思いますが、さらに増えているということです。

中3あたりから進路を考え始める

キャリア教育は行っていますか。

星野先生 もちろん、その過程で行っています。中3では、ホームルームの時間を使って職業調べを行い、発表します。そのあたりから、生徒は自分はどうなりたいのか、どういう職業に就きたいのかということに関心をもつようになります。高1になると、いろいろな分野で活躍されている卒業生に来ていただき、お話をしていただく中から自分の進路が見えてくる生徒もいます。そういうことをしながら自分の進路を定めていき、高2からの選択授業に向けた、うちでは1類、2類という言い方をしていますが、いわゆる文系、理系の選択をしていくような形になっています。それが高1の秋です。

深川先生 センター試験を受ける理系の生徒は現代文が必要なので、ほとんどの生徒が高3まで国語を学びます。

鎌田先生 必要ないのは薬学系の大学を受ける子たちくらいですね。

横浜共立学園中学校/掲示物

横浜共立学園中学校/掲示物

文化祭で生徒の作品に触れてほしい

最後に受験生に向けてメッセージをお願いします。

深川先生 共立の学園生活は、生徒の言葉を通して知るのが一番です。中1では手紙文の書き方の訓練として『受験生への手紙』を書きます。中2では情報を正しく伝える訓練として『学校紹介パンフレット』に取り組みます。それらは文化祭の時に見ていただけます。『受験生への手紙』は、共立生活を生き生きと伝えるだけではなく、中1から受験生に向けたエールも書かれています。『学校紹介パンフレット』は生徒の目線から見た学校紹介ということで、大変ご好評をいただいておりますので、文化祭においでの際はぜひ見ていただきたいです。

インタビュー3/3

横浜共立学園中学校
横浜共立学園中学校1871(明治4)年、米国婦人一致外国伝道協会から派遣された3名の婦人宣教師により「アメリカン・ミッション・ホーム」として創立。戦前の女学校時代を経て、戦後、共立学園中学部、高等学部に。1951(昭和26)年、学校法人へ組織変更し、現校名に改称。
「真理と愛を学ぶ崇高な精神」を基本に、キリスト教教育を推進し、神を敬い、常に人間としての生き方を問う教育に努めている。激しく揺れ動く時代に、最も大切なことは真理と愛を教えることであると考え、新しい時代を創造する女性を育てることを目指す。このような、キリスト教信仰に基づいた教育を実現するために、優秀な教師集団と充実した教育施設を備えている。
1931年建築の赤い屋根をもつ木造3階建の本校舎は、横浜市の有形文化財に指定されている。特別教室棟と中学校舎は120周年記念事業として建てられたもので、教室の床や廊下にすべて天然の木を使用。2001年、球技コートが新設。横浜山手の丘にある校地からは横浜港も望める。
理系大学にもしっかりと対応できるカリキュラムを組んでいる。英語のテキストは中1から『ニュートレジャー』を使用、英会話の授業は4名いるアメリカ人の教師が1クラスを2分割して指導する。高2からは選択科目が大幅に導入され、各自の目的に沿った科目がとれるようになっている。グレード別編成は、英語は高2・高3の選択科目で、数学は高1で行うが、中学では行わない。中学では、各教科で小テストを頻繁に行ない、基礎学力を着実につけていく。夏休みには中1~高1で指名制の補習、高2・高3は各教科の受験補習を実施する。国公立大、早慶上智大への合格実績は安定している。
キリスト教教育を推進するうえで、授業週5日制とし、日曜日には教会に出席することを奨励している。毎朝礼拝が行われ、聖書の授業も週1回ある。クラブ活動は、生徒会指導部所属の部が美術部など文化系15、ダンス部など体育系8、園芸同好会など同好会8、ハンドベルクワイアーなど宗教指導部所属のグループが3ある。生徒は自由に希望する部に加入し活動する。趣味、適性、目的に従って同好の者が集まり、自主的に活発に活動するなかで、個性を伸ばし楽しい時を過ごす。学校行事で、特筆すべきはクリスマス礼拝。なかでも生徒によるページェント(聖劇)は無言劇で降誕を演じるもので素晴らしい。ほかに、文化祭、運動競技大会などがある。