出題校にインタビュー!
芝浦工業大学柏中学校
2016年10月掲載
芝浦工業大学柏中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
1.入試問題は新たな学びのチャンス
インタビュー1/3
問題を解きながら「そうなんだ」と気づいてほしい
相馬先生 学校の定期試験もそうですが、教わったことを覚えて、それを答えるような機械的に解く問題ではつまらないというのが私の考えです。試験問題を解くことが新たな学習になるように、試験問題のうち1~2問は、生徒が「そういうことか!」「なるほど」と思えるような出題を心がけています。この問題も、そうした考えで作問しました。
この問題は問1~問3がワンセットになっています。順番に解き進めて、6つの選択肢から4つ、2つ、最後に1つに絞り込んでいくと、「植物によって開花の時期が違う」という日常よく目にする光景の理由が、「そういうことか」と気づけるようになっています。
生物科/相馬融先生
条件を実際の条件と照らし合わせて比較する
これらの問題の正答率はいかがでしたか。
相馬先生 入試問題の正答率は6割程度を目指して作問しています。生物分野の正答率は全体で6割程度で、この3問は前半の問題ということもあり、正答率は6割以上だったと思います。問題の流れに乗って考えることができたのではないかと思います。
これらの問題を解くにあたり、どんな力が求められるでしょうか。
相馬先生 1つは、物事を論理的に考えることができるかどうかです。この問題は選択問題ですが、単純に覚えていること、知っていることを選ぶ問題ではありません。
条件を絞り込むにあたっては、植物が開花する季節が毎年ほぼ決まっているなどの実際の状況と照らし合わせて、選択肢を比較しながら、論理的に考えることが求められます。
例えば、温度を条件として考えたとき、まず浮かぶのは「ある温度」に達したら花が咲くということでしょう。選択肢を見ると、「ア. 一定の温度(低温または高温)」のほかに、「オ. 温度の変化(上がる、または下がる)」があります。温度に時間という条件を加えた「温度の変化」を科学的にとらえ、両者を比較して論理的に考えます。日長時間も同様に考えます。
身近な自然現象を「当たり前」と素通りしない
相馬先生 もう1つは、日常生活の中で、季節の変化などの自然現象に目を向けているかです。私たちの身の回りには、問2の「アブラナもキクも、春と秋に年2回咲くことはありません」のように、当たり前に思っていて、意識しないと素通りしてしまう自然現象がたくさんあります。
普段から身の回りの自然現象に目を向けて、どの季節にどんな花が咲くのか、日本の風土と併せてとらえるようにしましょう。この問題で取り上げたアブラナ、イネ、キクのような身近な植物がいつ花を咲かせているか、実際に自分の目で見て確認してみるといいですね。
芝浦工業大学柏中学校 グラウンド
身の回りに目を向けると一般教養的な知識が身につく
相馬先生 キクは秋を代表する花です。また、昔から死者にささげる花として日本では欠かせません。けれど秋以外でも、春のお彼岸や夏のお盆、正月用と、いつでも花屋に並んでいます。1年中あるのはなぜだろうと、目にしたこと、気づいたことを出発点にして学習がどんどん広がっていくといいですね。
ところで、春と秋は同じような気温や日照時間になることがあります。これは地学分野の知識ですが、日本で暮らしていれば分かる、いわば一般教養的な知識です。日常の当たり前に意識を向けることで、教科の枠を超えて実生活に根づいた知識を蓄えることができます。
インタビュー1/3