シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

佼成学園中学校

2016年08月掲載

佼成学園中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.佼成学園には好きな教科を好きなまま高校へ上がれる仕掛けがある。

インタビュー3/3

勉強はおもしろい。それを実感してほしい

中高一貫生と高校からの入学生とでは、どのような違いが感じられますか。

石井先生 理科でいえば、高入生はバラツキがあります。その点、一貫生は、中学時代に実験、観察をたくさん行い、理科が好きなまま高校に上がれるよう工夫していますので、理科が好きな生徒は特に、興味関心を深めています。

現在の高1が中3の時の学習合宿では、「勉強はおもしろいということに、気づいてもらう機会にしよう」と学年で話し合い、5教科の中から好きな教科を選んで、卒業研究のようなことをしてみました。すると、小説を書いた子もいました。理科を選んだ子たちは、そこで自由研究を行いました。たとえば『うまみの研究』では、しいたけ、昆布、それぞれのだし汁を飲んでもおいしくないけれど、2つを交ぜると抜群においしくなる。そういう研究をした子もいました。『昆虫ゼリーの研究』では、独自の調査を行い、樹木性の花粉を入れた蜂蜜を使ったほうが、昆虫には人気があるという研究結果を得た子もいました。

そういう機会を設けた時に、理科は人気がありました。複数の希望を出してもらったら、第1志望だけで募集人数を上回り、抽選になりました。授業を担当する教員としては、中3まで理科好きを引っ張って来られたことを実感できて、嬉しかったです。それはやはり、中1から実験や観察を中心とした授業をやっている成果だと思います。他教科でも同じように、好きでいられる佼成学園ならではの仕掛けをしているので、一貫生は6年間という長いスパンの中で、大きく成長できると思います。

理科・高1学年主任/石井学先生

理科・高1学年主任/石井学先生

中学3年間は化ける時。飛躍的に成長する生徒も

石井先生 男子だけの学校はすごく楽しいと思います。女子の目を気にすることなく過ごせるので、体育祭のダンスも楽しさ全開で踊っています。男子だけだからこその充実した体験ができると思います。私が担当している学年の中に、入学当初の模擬試験で、約100名中限りなく100番に近いところにいた生徒が、中3が終わる頃に30番以上。教科によっては10番台という、非常に伸びた生徒がいました。中学3年間は化ける時。中学受験時にポテンシャルはあるけれど、うまく波に乗れなかった子もいると思います。そういう子たちは、中学に入ってから花開くので、生徒と教師の距離が近い佼成学園を選んでもらえれば、もっとも伸びる時期に飛躍させてあげられる機会が多いという気がします。

スポーツの応援活動に女子校の生徒も参加

佼成学園女子との交流はありますか。

石井先生 今年は日程調整がうまくいかず、同じ日に文化祭を行うことになってしまったので交流できませんが、文化祭では、男子校の生徒が女子校の文化祭でお店を出したり、女子校の生徒が男子校の文化祭でお店を出したりしています。女子校にバトン部、チアリーディング部があるので、その生徒たちが、本校のアメリカンフットボール部などの試合応援に参加してくれることもあります。野球応援では、女子校の吹奏楽部も参加します。本校の吹奏楽部も熱心に活動させてもらっていますが、女子校の吹奏楽部にも参加してもらい、一緒に演奏します。また、難関国公立クラスの生徒が、女子校の上位層の生徒たちと一緒に学ぶこともあります。

佼成学園中学校

佼成学園中学校

一緒に理科を楽しもう

最後に、メッセージをお願いします。

石井先生 僕はダンゴムシを捕まえるのが好きな子どもでした。小学生の頃は、実家の裏の草原で虫捕りに興じ、中学生から魚釣りを始めました。自然豊かな土地で過ごしたくて、大学は四国の高知大学で学びました。昆虫から動物へ興味が移り、大学では動物行動学を専攻しました。虫がいる、魚がいる、山に入ればイノシシがいる、という環境に好んで飛び込んだ僕は、今年39歳になりますが、まだ魚釣りをしています。多摩にある自宅の裏ではカブトムシを捕っています。

そんな僕が理科の教員になって、最初に担任した生徒の中に、カナブンの研究に取り組み、読売新聞が主催する『学生科学賞』東京大会で最優秀賞を受賞。全国大会でも入賞した生徒がいます。筑波大学から京都大学大学院に進みましたが、その子とは一緒に虫を捕りに行くなど、彼の興味に合う学習が奇跡的にできたと思っています。サイエンス部の顧問もやっていて、生徒と楽しみながら生き物に触れる機会、理科に触れる機会に恵まれているため、話題には事欠きません。ですからマニアックな話をおもしろがってくれる子が入ってきてくれたら嬉しいです。時々授業が脱線しますが、好奇心をくすぐるにはそれも大事なことだと思っています。理科の学習では興味関心をもつことが一番ですので、小学校でもそういう学び方をしてきてほしいです。

インタビュー3/3

佼成学園中学校
佼成学園中学校「建学の精神」は、「法華経の精神に基づき、豊かな宗教的情操を培い、知に偏らず、情・意の教育にも力を注ぎ、心身一如の円満な人格をもった平和社会の繁栄に貢献できる人間を育成する」ことである。
一人ひとりが素晴らしい心を持っていることを知り、多くの人とともに生き、磨きあい、助け合いながら、現実の社会と積極的にかかわろうとすること、また、生涯にわたり自らを支える豊かな心と幅広い視野、そして確かな学力。一人ひとりがそんな「自ら育つ力」を身につけることを目指している。
機能的で広さや採光に十分に配慮された校舎は、伸び伸びと気持ちよく過ごせる空間になっている。また、コンピュータ教室、LL教室、音楽教室などの本格的な設備も完備し、全ての普通教室に電子黒板機能つきプロジェクターおよびWi-Fi環境が整備されている。 2015年度高校入学生より導入のタブレット端末とあわせて、新しい学びの形の実現がすすめられている。
生徒と先生の距離が近く、職員室ではいつも、気軽に先生に相談する生徒の姿が見られる。生徒同士、生徒と先生、先生同士という、その人と人との関係の強さが、東京大学に5年連続で合格者が出ているのを始めとして、年々、難関大学への進学者が増加という成果につながる。もちろん、勉強面だけではなく、数多くある体育系・文化系のどちらの部活動も盛んである。