シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!

佼成学園中学校

2016年08月掲載

佼成学園中学校【理科】

2016年 佼成学園中学校入試問題より

中国では、農家の庭で家畜(かちく)(ウシやブタ)を飼うように、池で食用の魚を育てる文化があります。そのような魚を「家魚(かぎょ)」といいます。また、ある4種類の家魚を同時に育てるための仕組みに「混養(こんよう)」というものがあります。なお、「混養」される4種類の家魚にはそれぞれ次のような特徴(とくちょう)があります。

家魚の特徴

(問)この混養には自然界の生物に見られる「食べる・食べられる」の関係が応用されています。次の空欄(くうらん)に当てはまる生物の名まえを次のア〜クから選び、記号で答えなさい。

岸辺の水草を植えておくと、ソウギョが食べ、その糞(ふん)を池の底で( A )が食べる。( A )は( B )のえさになる。また、糞や水草の腐(くさ)ったものが微(び)生物に分解されて栄養分となり、植物プランクトンや水草が増える。これらはハクレン、ソウギョのえさになる。また、植物プランクトンが増えるとそれをエサにする( C )も増えるため、( D )のえさとなる。

  • (ア)植物プランクトン
  • (イ)動物プランクトン
  • (ウ)水草
  • (エ)タニシ
  • (オ)ハクレン
  • (カ)コクレン
  • (キ)ソウギョ
  • (ク)アオウオ

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この佼成学園中学校の理科の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)

解答と解説

日能研による解答と解説

解答
  • A(エ)
  • B(ク)
  • C(イ)
  • D(カ)
解説

問題中に示された図から、ハクレンは植物プランクトン、コクレンは動物プランクトン、ソウギョは岸辺の水草、アオウオはタニシなどの貝類を食べることが読み取れます。また、4種類の家魚が食べるえさのうち、動物プランクトンは植物プランクトンを食べ、タニシなどの貝類は生き物の糞や苔などを食べます。これらの読み取った情報や知識をもとにすると、ソウギョの糞を食べるタニシがAにあてはまり、タニシを食べるアオウオがBにあてはまります。また、植物プランクトンを食べる動物プランクトンがCにあてはまり、動物プランクトンを食べるコクレンがDにあてはまります。

このように、A~Dに生物をあてはめてみると、岸辺の水草を植えておくことによって、岸辺の水草を食べるソウギョだけではなく、他の家魚もふえることがわかります。

日能研がこの問題を選んだ理由

家魚を育てる仕組みを、食物連鎖の関係をもとにとらえる問題です。

問題からの刺激を受けた子どもたちは、異なる種類の魚を同時に育てる「混養」という未知の仕組みと、自然界の生物どうしに見られる「食べる・食べられる」の関係という既知の知識や考え方を結び付けていく過程を楽しみながら、新たな知識や考え方のつながりをつくっていきます。また、この問題をきっかけに、日常生活の中で子どもたちが出あう未知の仕組みについても、既知のことがらを結び付けることによって、新たな発見ができることに気がつくでしょう。

このような理由から、日能研では、この問題を□○シリーズに選ぶことにいたしました。