シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

捜真女学校中学部

2016年07月掲載

捜真女学校中学部の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.創立130周年の伝統校が育む、豊かな感性と人間性

インタビュー3/3

本物に触れる機会を大切に

稲川先生 国語科ではとくに、生徒たちが、本物に触れる機会を大切にしています。たとえば、文楽がその一つです。戦前、文楽が冷遇されていた時代に、捜真の当時の教頭先生が個人的に支援をしていたご縁で、現在でも学校で文楽の実演を鑑賞しています。人間国宝級の実演を間近で見られ、人形にも触れる貴重な経験となっています。

石黒先生 また、高1では東京国立博物館に行って、作品に触れる機会を設けています。展示されている作品のなかから一つを選び、鑑賞文か創作を書きあげます。制限しないと何十枚と書いてくる生徒もいますよ。今はインターネットで手軽に作品を知ることはできますが、本物に触れて、感じる機会を大切にしています。

国語科/石黒明子先生、稲川さつき先生

国語科/石黒明子先生、稲川さつき先生

日常生活のなかでも育まれる、豊かな感性

稲川先生 特別な体験からだけではなく、毎日の学校生活のなかでも感性を豊かに育ててほしいと思っています。花を楽しむこともその一つです。学校の中庭には学校創立時の130年前に植えられた藤の花があり、毎年、見事な花を咲かせています。また、100年前に校庭に植えられた桜の木も、大空襲で100本あったうちの多くを失ってしまいましたが、残った木は毎年、花を咲かせてくれています。

石黒先生 学校内に花を飾ることも大切に続けていますね。受験の日に、「花が飾ってあったことで本当に心が和んだから」と、卒業したあとも「受験生のみなさんに心を和ませてほしい」と、毎年入試の日に花を送ってきてくださる方もいます。

図書館は生徒の人気スポット

石黒先生 「言葉の力」を育むためにも、本をたくさん読んでほしいと思っています。捜真の図書館には約42,000冊の蔵書があり、大きな窓からは光が降り注いでいて、遠くの街まで一望できます。ソファーがある“ブラウジングコーナー”には、大学進学情報誌のほかに、雑誌や絵本なども並べられていて、生徒たちにも人気の場所になっています。図書館は昼休みや放課後には自習する姿も多く見られる、生徒にとって居心地のよい場所です。

最後に、受験生のみなさんへメッセージをお願いします。

石黒先生 説明会でもよく言っているのですが、日常の生活の言葉を大事にしてほしいと思います。読書や家族との会話も大切にしながら、日常でふれるさまざまな文章を、積極的に読んでいってください。出題も広い分野から出していくつもりです。

稲川先生 毎日の生活のなかで、物事に「感じること」を大切にしながら、感性を育てていってください。自分の言葉を見つけるためにも、本をたくさん読んで世界を広げてください。みなさんにお会いできるのを楽しみにしています。

捜真女学校中学部 図書館

捜真女学校中学部 図書館

インタビュー3/3

捜真女学校中学部
捜真女学校中学部1886(明治19)年、横浜山手に米国バプテスト派宣教師ブラウン夫人により英和女学校が創立。プロテスタントの日本バプテスト同盟に属する。1892(明治25)年に現校名に改称した。1986(昭和61)年の創立100周年にチャペルにパイプオルガンを設置。1991(平成3)年には新校舎を落成。2016年に、創立130周年を記念して食堂と自習室のある新校舎を建設。
校名のとおり、「真理を捜し求める」ことを建学の精神として、礼拝・聖書の時間、自然教室や修養会などをとおして、イエス・キリストによって示されている神の愛に基づく人格形成を行っている。校名の頭文字を白い富士と青い海に重ねた校章は、学院精神を象徴したもの。独自のプログラムにより国際性も育成するほか、保護者との連絡も密で、PTA活動も盛んに行われている。
小・中・高校が同じ敷地にある。体育館(含室内プール)も含めた7つの校舎、土の運動場、ベタニアガーデン、テニスコートなどを擁する。校内の施設にはパイプオルガンのあるチャペル、コンピュータ室、同校の教師だった日本画家・小倉遊亀に因んだユキホールなどがある。静岡県御殿場には自然教室ももっている。
特に英語に力を入れており、中高とも全学年で英語は少人数クラスでの授業を行っている。英会話は外国人教師による授業。中2以上の英語、中3以上の数学、高校生では、国語・社会で習熟度別授業も実施。高2・高3では大幅な選択科目を採用し、個々の進路を尊重した受講を可能にしている。聖書は高3まで必修科目。土曜日、放課後、長期休暇中に必要に応じて補習もある。4年制大学への進学率は9割に達し、早慶上智大、MARCHなど難関私大への合格者も増加している。
毎日20分の礼拝がある。共練会(生徒会)は、積極的、自主的に運営されている。クラブ活動は体育部門13、文化部門19あり、ソフトボール部、バトン部、水泳部、放送部は県内でもトップクラスの実力。母の日礼拝やクリスマス礼拝などの宗教行事のほか合唱コンクール、古典芸能鑑賞会、体育祭など、楽しい行事も盛りだくさん。共練会とは別にJOC(クリスチャン生徒の集まり)、YWCA(キリスト教女子青年会)、聖歌隊があり、聖書研究や奉仕など宗教的活動を行う。中1から参加できる春のアメリカ短期研修のほか、高1以上の希望者には、メルボルンでのオーストラリア夏期短期研修も。