シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!

昭和女子大学附属昭和中学校

2016年04月掲載

昭和女子大学附属昭和中学校【理科】

2016年 昭和女子大学附属昭和中学校入試問題より

次の会話文を読んで、あとの問いに答えなさい。※会話文は一部抜粋しています。

女の子A:
私も実験は好きだったわ。小学校のとき、フナの解ぼうをしたのがとっても印象に残っているの。うまくいかなくて、どれが何の臓器かぜんぜんわからなかったけれど、心臓だけは形もくずれず、すごくじょうぶなんだと感動したわ。

女の子B:
へぇ。ずいぶん難しいことを実験していたのね。でも実際に手を動かして、観察しながら学べるとすごく楽しいわ。

(問1)文中の下線部のフナの心臓の位置を、下図の(ア)~(エ)の中から1つ選び、記号で答えなさい。

図1

(問2)ある実験をした結果、教科書とちがう結果になってしまいました。そのときの実験レポートの書き方として最も適切なものを、次の(ア)~(エ)の中から1つ選び、記号で答えなさい。

  • (ア)実験をして得られた、教科書とちがう結果をそのまま書く。
  • (イ)教科書に書いてある正しい結果を自分の結果として書く。
  • (ウ)近くのうまくいった人の結果を自分の結果として書く。
  • (エ)実験に失敗したことだけ書いてどうなったかは書かない。

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この昭和女子大学附属昭和中学校の理科の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)

解答と解説

日能研による解答と解説

解答
  • (問1)イ
  • (問2)ア
解説
  • (問1)フナの心臓は、えらのすぐ近くの腹側に位置しています。なお、ウの背側の内部には浮きぶくろがあり、エの尾側には消化器官の腸があります。
  • (問2)教科書に書かれている手順どおりに実験を行ったとしても、実際には条件のわずかな違いなどによって、予想とちがう結果が出ることもあり得ます。そのようなときには、予想とちがう結果であったとしても、得られた結果を事実として認め、実験レポートに残します。その上で、なぜそのような結果になったのかを検証していくことが大切です。
日能研がこの問題を選んだ理由

「実験を行ったところ、教科書に示されている通りの結果が出なかった」という場合に、実験レポートをどのように書くのがよいのか、選択肢からもっともふさわしい考えを選ぶ問題です。このような問題に触れた子どもたちは、科学における実験の意味や結果に対する姿勢を考えるようになります。問題そのものが、これから子どもたちがどのように学び進むのかをいざなっていると言えるでしょう。また、このような問題に触れることは、子どもたちがさまざまな状況に直面した時に、どのように行動するのかを自ら考えて決めることへとつながっていきます。

このような理由から、日能研では、この問題を□○シリーズに選ぶことにいたしました。