今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!
浅野中学校
2015年08月掲載
2015年 浅野中学校入試問題より
- 問題文のテキストを表示する
(問)
【表1】は、東京都と3つの道府県とを移動する年間の人数をそれぞれ100としたときの、公共交通機関別の移動人数を示しています。
(A)~(C)は、北海道、大阪府、石川県のいずれか、(P)・(Q)は、自動車※、鉄道のいずれかです。
大阪府と鉄道に当てはまる正しい組合せを、後の[あ]~[か]の中から1つ選び、その記号で答えなさい。
※バス(貸切バス、乗合バス)、営業用自動車をさします。
移動区間 | 航空機を利用 | (P)を利用 | (Q)を利用 |
---|---|---|---|
東京-(A) | 97.8 | 2.2 | 0.0 |
東京-(B) | 58.3 | 26.8 | 14.9 |
東京-(C) | 26.1 | 71.8 | 2.2 |
移動人数とは、各都道府県の住民を対象とした人数ではなく、各都道府県を出発地・到着地とした人数です。
「府県相互間輸送人員表(国土交通省)」により作成。統計年次は2012年度。
あ | い | う | え | お | か | |
---|---|---|---|---|---|---|
大阪府 | (A) | (A) | (B) | (B) | (C) | (C) |
鉄道 | (P) | (Q) | (P) | (Q) | (P) | (Q) |
中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この浅野中学校の社会の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)
解答と解説
日能研による解答と解説
解答
お
解説
直通の新幹線がまだ開業していなくて、最も距離がある東京‐北海道間では、航空機を利用する人が圧倒的に多いと推測できます。したがって、(A)が北海道だと判断できます。また、青函トンネルは現時点では鉄道路線しかないことから、「0.0」という割合に着目して(Q)が自動車であると判断できます。そして、(C)は(B)と比べて、鉄道を利用する割合が高いことから、東京から新幹線で2時間半ほどで移動できる大阪府だと判断できます。
なお、この問題で使われている統計年次は2012年で、北陸新幹線の開通前です(入試当日も2015年2月3日なので開通前)。3月に北陸新幹線が開通し、東京-金沢間が新幹線で結ばれたことで、東京都から石川県への移動は航空機の利用が減って鉄道の利用が増えると予想されます。さらに、2016年の3月に北海道新幹線が開通することで、東京都から北海道への移動手段にも、多少の変化があらわれるのではないかと予想されます。
- 日能研がこの問題を選んだ理由
東京都と3つの道府県(北海道・石川県・大阪府)との間を移動する人の数を考える問題です。移動する人数自体は、東京都-大阪府がもっとも多いと予想できますが、この問題の表では、「公共交通機関別に」、「割合で」しめされています。最大の手がかりは航空機を利用する人の割合です。例えば、東京都から大阪府に行くのに、航空機を使う人はたくさんいるでしょうか。東京‐新大阪間は、東海道新幹線(のぞみ号)なら2時間30分ほどです。航空機は、乗っている時間だけならば新幹線よりもずっと短いですが、空港まで行くのにかかる時間や搭乗手続きにかかる時間をふくめて考えると、鉄道を利用するより便利とは言い切れません。このように、目的地までの距離と選ぶ交通手段の関係に目を向けることがポイントとなります。
この問題を解くのに、利用者の割合を暗記している必要はありません。表から読み取れる情報と、東京都と3つの道府県との位置関係、そして交通網についての知っていることを組み合わせ、論理的に推測していくことで解答にたどりつくことができ、受験生の思考力、とくに筋道立てて考える力を試すことができる問題です。
このような理由から、日能研ではこの問題を□○シリーズに選ぶことに致しました。