中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!

頌栄女子学院中学校

2015年01月掲載

頌栄女子学院中学校【理科】

2014年 頌栄女子学院中学校入試問題より

太陽高度が45°のときの作図をしていた頌子さんが突然、「お父さん、大変だよ。影は短足になっちゃうんだよ」と叫びました。
そこで頌子さんの作図を見せてもらうと、確かに下の図のように上半身の影の長さに対してあしの影の長さはかなり短くなっていました。

2015年01月 頌栄女子学院中学校 作図

(問)頌子さんの作図は正しいでしょうか。頌子さんのお父さんになって、頌子さんに説明するつもりで、できるだけ詳しく説明しなさい。説明は文章だけでも、図を用いてもかまいません。

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この頌栄女子学院中学校の理科の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、出題意図についてのインタビューを見てみましょう。

解答と解説

日能研による解答と解説

解答

太陽を近くに描きすぎている点が正しくない。太陽を遠くに描くほど『あしの影』は長くなっていく。現実の太陽ははるかに遠くにあり、図は描けないので、太陽光を平行光線で表して良い。すると『上半身の影』と『あしの影』の長さの比率は,上半身とあしの長さの比率と等しくなる。

解説

光源から出る光は、光源から遠くなるほど平行光線に近づきます。太陽は地球から約1億5000万km離れているため、地球に届く太陽の光は平行光線となります。問題中の図では、人の背の高さの割合に対して、太陽の距離が実際と比べて近すぎるため、太陽の光が平行光線として描かれていない部分が正しくありません。したがって、太陽を近くに描きすぎていることや、太陽の光が平行光線になっていないことに着目した記述例を考えます。

また、頌子さんが「影は短足になっちゃうんだよ」と叫んだことから、太陽の光を平行光線に直して作図すると、人の上半身と足の比が、影の上半身と足の比と同じになることに着目した記述例も考えられます。

日能研がこの問題を選んだ理由

一見、当たり前に正しいように感じてしまう太陽の光と人の影の図。しかし、よく見てみると、影が短足になっていることに気付いた頌子さんが驚いて叫んでいます。

この問題では、太陽の光をもとにした人の影の作図を素材とし、図に示された情報を読み取り、関連する知識と照らし合わせながら、図にふくまれている矛盾点を明らかにしていきます。そのうえで、明らかにした矛盾点を論理的に伝えられるように、考えを筋道立てて表現していきます。また、「影は短足になっちゃうんだよ」と叫んだ頌子さんのお父さんになったつもりで説明する、という設定によって、子ども達は示された情報を自分事としてとらえ、自分自身と結び付けながら考えを進めていきます。

この問題を通して、初めて出あうことがら(読み取った情報)と既知のことがら(関連する知識)を試行錯誤しながら結び付けていく過程を楽しみ、結び付けていくプロセスにおいて新たなネットワークが構築されることにつながると考え、日能研ではこの問題を□○シリーズに選ぶことにいたしました。