中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!

桜美林中学校

2014年11月掲載

桜美林中学校【社会】

2014年 桜美林中学校入試問題より

次の文は、スーパーマーケットで買い物をする親子の会話を文にしたものです。
会話文を読んで、あとの問いに答えなさい。

「あら、お肉が安くなってるわ。晩ご飯は久しぶりにステーキにしようかしら。」

「やったあ。久しぶりだね。んっ、となりに置いてある和牛はすごく高いね。」

「うちは和牛のステーキなんて無理よ。買う人がいるから置いてあるけどね。でも外国のお肉でもおいしいから充分よ。」

「高い和牛ばかり食べる人もいるの?」

「そりゃあ、お金持ちで和牛の味が好きな人はそうするんじゃないのかな。だから、お金持ちが多く住んでいる都心のお店には、お肉に限らず、高くていい物がたくさん置いてあるからね。」

「お姉ちゃんもそう言っていたよ。そういえば、野菜も日本の物が高くて、外国の物の方が安いイメージがあるなあ。スーパーにも外国の野菜がたくさんあるでしょ。充分においしいのに何で安いの?」

「それはね、(1)

「なるほど、だから外国の野菜は安くできるんだね。とにかく、いつもお母さんが言ってるけど、安くておいしいが一番でしょ?」

「その通りよ。よくわかってるじゃない。」

「あっ、そこにならんでいるお米は何で日本の物ばっかりなの? お店で外国のお米が置いてあるところをあまり見たことがないよ。」

「そうね。日本にとって、お米はちょっと特別なのよ。日本は、あなたが産まれる前から、外国のお米がたくさん入ってこないようにしてきたのよ。」

「何でそうしてきたの?」

「それはね、(2)

「うちでいつも食べているのは日本のお米だけ?」

「そうよ。実は、お米はちょっと高いものを買っているのよ。おいしいでしょ? 野菜やお肉は、日本の物と外国の物を両方買っているかな。でも、これからは外国の物がもっと多く店に置かれる時がくるかもしれないわよ。」

「ふーん、そうなんだ。将来ぼくがお母さんぐらいになった時、ご飯の時に食べるものは今と変わっているのかなあ。でも、おいしいお米をずっと食べたいなあ。」

(問1)
赤字部分に関して、スーパーマーケットで働く人たちは、売り上げを増やすために色々なことを考えています。もし、あなたがスーパーマーケットの店長として、たくさん売って利益を増やしたいのならば、どのような物をいくらの値段でどのくらいの量を置くかを決める時に、何を重要なことと考えますか。簡単に答えなさい。

(問2)
(1)にあてはまる母親の言葉を、文の流れに合うように考えて答えなさい。

(問3)
(2)にあてはまる母親の言葉を、文の流れに合うように考えて答えなさい。

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この桜美林中学校の社会の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、出題意図についてのインタビューを見てみましょう。

解答と解説

日能研による解答と解説

解答例
  • (問1)季節や天気による消費者の動向。
  • (問2)大規模な農場で、少人数で農業をおこなっているからだよ。
  • (問3)日本人の主食である米の生産と味は、国産で守りたいからよ。
解説
  • (問1)会話文の中にある「安くておいしいが一番でしょ?」という消費者の要望に応えつつ、「値下げ」を進めるだけでは「利益」が得られません。「旬」や「消費者の購買意欲」など、「供給量」や「需要量」さらには、「品質と価格のバランス」など、多くのことを考慮しながらアイデアを出す必要があります。
  • (問2)「安くする」ためには、「コストダウン」を図る工夫があります。日本の農家の経営と外国の農家の経営とを比較して考えることが必要です。
  • (問3)日本の農畜産物は、外国産の農畜産物に対して価格競争で太刀打ちできません。その中で、「お米はちょっと特別」であるのはなぜなのか。「お米はちょっと高い物を買っている」ことや「おいしいお米をずっと食べたい」というこの親子の会話によって代弁される日本人の国産米に対する思いをふまえて書くことが求められています。
日能研がこの問題を選んだ理由

生鮮食品の価格と、需要量と供給量の変化の関係を理解することは大切なことです。しかし、その関係を理解し、応用しながら、小売業の経営者としての視点で、利益を増やすためのアイデアを自由に出す、という問題は、これまでにあまり出題されることはありませんでした。

人は、社会の中で、流通とかかわりのない生活を送ることはできません。こうした、生活と切り離すことのできない社会現象について、小学生自身の「消費者」としての視点からだけでなく、「小売業者」や「生産者」「政策決定者」といった多角的な視点からものごとをとらえていくことはとても大切なことです。小学生の子どもたちが取り組める範囲で、「スーパーマーケットの店長の工夫」「生産過程におけるコストダウンの工夫」「政策決定の背景」について取り上げたこの問題は、中学校に入学してからも子どもたちに考えて続けてほしいテーマです。

以上の理由から、日能研ではこの問題を□○シリーズに選ぶことにいたしました。